小ネタ | ナノ


MEMO 

志狼と握野(Mマス)
「プロデューサー、花びらついてるぞ」


微笑ましいと言う笑いを含んだ声がして、顔を向けると英雄さんがつまんだ花びらを私に向けて笑っていた。意識をするとどうにもぎこちない表情になってしまう素敵な笑顔の持ち主は、今日も今日とていい笑顔。子供たちだって幸せそうに笑うに違いない。


「ありがとうございます」
「くっついてて悪いもんじゃないけどな」
「そうです――」
「あー!!!何やってんだ、ひでお!!」
「えっ?」


突然大きな声がして、英雄さんとともに体を動かす。するとそこには、怒っていますと全身で表現した志狼の姿。「ひでお!」と続けざまにはなって、指を突きつけながら歩いてくる。


「そーいうの、ぬけがけって言うんだろ!プロデューサーの花びら取るの、オレの役目なんだからな!」
「ぬ、抜け駆け?……というか、役目?そうなのか?プロデューサー」
「あ〜、あの時の…あ!志狼、志狼も頭に乗っけてるよ」
「あ!!」


志狼に花びらを見せるとなんとも言えない表情。悔しいと思うのはこの年頃の子ならではなのだろうか。


「こどもじゃねーし!」
「はいはい」
「お、もう一枚」
「自分でやる!!」


そう言って英雄さんの手を払うように。志狼がお兄さんと、英雄さんが弟と、それぞれどんな風に関わっているのか、見えるような気がした。


20180815 
イエヤス(千銃士)
「どうだろうか、マスター」


最初こそ味わったことのない苦味、渋味に驚きはしたものの、今やすっかり日本のお茶の味も好きなもののひとつだ。抹茶に緑茶、この味は多分、という判断しかできないけれど、イエヤスさんと過ごすこの時間が気が付けば楽しみになっている。


「…おいしい」
「それはよかった。自ら探し歩いたものを好いてもらえるのは、やはり嬉しいものだな」


そう言って、優しく微笑む。イエヤスさん手ずからとなると、ヒデタダさんが恐縮したり感動したりしそうだけれど、いいのだろうか。抹茶なんてそう簡単に手に入るものでなし、度々こうして二人でのんびりいただいてしまって。


「マスター、ヒデタダを気にしているのだろうか?」
「え?……はい、少し」
「安心してくれ、ちゃんとヒデタダにも振る舞っている。ユキムラは受けてはくれぬが」
「……」
「こうしてマスターと二人楽しむのは、まあ。以前約束をしたということも含め――……俺もたまには、独占欲が顔を出すというわけさ」
「……」
「驚かせてしまったか。すまないことをしたとは思うが、嘘ではないのでな。片隅にでもとどめてもらえれば幸いだ」


ああ。とてもとても、難しい。

20180713 
スナイダー(千銃士)
マスター。淡々とした呼び声が、耳に届く。足を止めて振り返ると、頬に随分と熱をもった手のひらが触れていた。


「呑気に水浴びか。……、」


ぴくりと、スナイダーの指先が動く。それから上機嫌を示すように細くなる瞳、言葉を発することなく見詰めていると、彼はまた「マスター」と呼んだ。情を孕んだ、このことろ増えてきた声色で。


「人の体なんてロクでもないと思っていたが、冷えた頬は都合がいい。……悪くないな」


マスター。
呼び声に、また熱がこもった。

20180629 
伊集院北斗(Mマス)
「北斗は、本当に結婚するつもりないの?」


撮影後、残りのメンバーが着替え終わるのを待つ中そう問いかけると、北斗は「おや」とでも言いたげに瞳をまたたかせた。ケーキを食べたがる翔太と、せめて着替えてからにしろという冬馬。兄弟のようなやり取りをしていた二人は北斗より少しだけ遅れて更衣室へ。翼さんを中心に盛り上がっていた輝さんと薫さんも、着替えを終えた北斗を見て思い出したように更衣室へと向かった。


「プロデューサーは、俺に結婚してほしいんですか?」
「いや、そういうわけでも…そう言うのも何か違う?女の子を等しく愛したい、っていう北斗の信条はアイドルとしてある意味正しいのかも――……でもなあ、いや、トラブルはないんだけどね?確かに。……うーん…?」
「何だか主旨がずれている気がしますが」
「あれ?そうだね」
「ふふっ。……冬馬たちにも話しましたけど、まあ、俺の気持ちの問題で。俺が俺である限り、結婚なんて話はないでしょうね。安心してください、プロデューサー」
「安心、なのかなあ…?……ファンの心理としては安心…?」
「……だけど、そうだな」


少し考えるように発すると、穏やかな顔をしてみせる。流石の表情だ、なんて、今思うことではないような気もするけど。


「もしもそんな日がくるとしたら、俺の隣に立っているのはプロデューサー以外にいないでしょうね」
「え」
「あなたなら想像出来るかな」
「……冬馬と、翔太は」
「ははは。それも可能性…選択としてはあるかもしれませんが。二人はウェディングドレスは着ないでしょう?」
「着ないね。――…どこまでが冗談?」
「俺は、あなたには素直な人間だと思いますよ」
「んん…?」


一瞬、すべてを持っていかれるのではと考えてしまった。

20180618 
漣と道流(Mマス)
「らーめん屋」
「ん?どうした、漣」
「アイツ、何でシケたツラしてやがんだ。らーめん屋なんか聞いてねぇのかよ」
「師匠?聞いてはいないが……自分もそれは気になっていてなあ、漣も気づいてたか。時期も時期だし、アニバーサリーライブの準備に追われてるのかもしれないな」
「ったりまえだろ。……メシ食ってねーから情けねぇツラしてんだろーが。アニバーサリーだかなんだか知らねぇが、……あ?ンだよ、らーめん屋」
「そうかあ。師匠の変化に気がつくの、当たり前、なんだな。うんうん、そうだよなあ、俺達にとって大事な師匠だ。気づかないわけがないな!」
「ハァ?…………、――……ハァッ!?ち、アイツがオレ様のことを考えるのは下僕だから当然で、何でオレ様がアイツのこと考えなきゃなんねーんだ!フザけんじゃねぇよバァーカ!!」
「ははははっ!師匠には元気で、いつもの笑顔でいてほしいよなあ。よしっ!昼飯でも作るとするか!手伝ってくれるよな?漣」
「ンでそんなことオレ様が……別にオレ様が気にしてるワケじゃねぇし!!アイツが勝手にシケたツラしてンのが悪ぃんだ!」
「そのシケた面に気がついたんだよな?」
「それはいつもと違うから――……目障りなんだよ!ウゼェだけだ!!」
「そうだ、タケルにも手伝ってもらうとするか!」
「ハァッ!?オレ様だけでヨユーだ!!オレ様特製のチャーハンで泣いたのはどこのどいつだよ!?」
「漣もタケルも、勿論自分もだが。師匠のこと、大好きだからなあ」
「っ、オレ様は別に――聞きやがれらーめん屋ァ!!!」

20180614 
大河タケル(Mマス)
妙な夢を見た。それもこれも、昨日隼人と見た映画が原因であろう。

いつか来る恋愛ドラマやジューンブライド企画の勉強に、と彼が手に持っていたのは、簡単に言ってしまえば花嫁をさらって式場を飛び出す男の話。虎牙道ならば花嫁へと辿り着く過程でいくつものアクションをこなしそうだと盛り上がり、やっぱり戦える花婿の方がかっこいいのかなと真剣に問うてくる隼人に明確な答えを返すことが出来なかった、というのが事務所で起こった一幕だ。


そして。
夢の中のタケルは撮影の影響か和装で、舞台は映画の影響か洋風。勿論手を伸ばした花嫁も、ウェディングドレスを身に纏っていた。まあ訳がわからないのは夢特有なので深くは考えないとして、だ。


「――…」

口にした言葉、手を伸ばした相手。そして、振り返ったその人は。

「…綺麗だったな…」


せめて叫ぶなら名前だろうと。どこかにしまったはずの名刺を思い浮かべると、あとはただただ、深い溜め息を吐くことしか出来なかった。

20180604 
山下次郎(Mマス)
「あれ?今日はオフじゃ?」


あと、楽しそうですね。続けて言えば、ソファーに腰掛けていた山下さんはそれはもう楽しそうに笑っている。競馬の予想が当たったのか。いや、それとは違う笑い方だ。それに、競馬の情報なら家でも見られる。オフに事務所に来る理由にはならない。


「ちょっとね〜、待ち合わせに使わせてもらってるのよ。家知らないし、なんだかんだ1番わかりやすい場所だし?」
「待ち合わせ。どこか出掛けるんですか」
「そそ。プロデューサーちゃんは夜までお仕事だもんねぇ。今度誘ってみてもいい?癒されるよ〜」
「癒される?」

「あ。お疲れ、あとおはよう、プロデューサー」
「あれ?タケル?」
「お〜来たね、たいが」
「うす、お待たせしました」
「待ち合わせってタケル?」
「たいがなのよ。…プロデューサーちゃんは興味ある?猫カフェ」
「嫌いじゃなければ一緒にどうだ?今日は無理だろうけど」

「……ねこ番組、出演できないかあたってみます?」
「え。いやさ、イメージってのがあるじゃない?なかなかね〜、……でも、ねこ番組かあ〜…」
「番組…それって触ったり遊んだり出来るのか?……あんま、THE 虎牙道ってイメージじゃねぇけど…」
「二人ともいい顔なんだけど…というか、猫好きって知られてると思うんだけどなあ…?」


20180507 
華村翔真(Mマス)
「何だい?そんなに見られちゃ穴が開くよ」


そう言って笑う翔真さんはやっぱり綺麗だ。窓から差し込む陽光に新たな色合いを見せる髪、造り出される陰影でさえ自身の美しさに変えてしまえる才能を、この人は持っている。


「…翔真さん、私と出会ってくれて、ありがとうございます」
「…おやまあ、本当になんだってんだい?急にそんなこと言われたんじゃあ、流石のアタシだって困っちまうよ」
「翔真さんを見つけ出せたこと、翔真さんをアイドルとして輝かせられること。私にあなたと歩いていく道を示してくれて、本当にありがとう」
「――…変な子だよ、アンタは本当に。だいたいねぇ、プロデューサーちゃん」


首を傾げた翔真さんは困惑したような微笑みを浮かべたけれど、目を奪われた一瞬のうちに見慣れた顔を私に見せていた。だから私はもっともっと、華村翔真という人を知りたくなる。凛とした姿、艶やかな表情、息を呑むくらい鋭い眼光。体の芯からビリビリと痺れる心地好さ。多くの人にもそんな彼を、知ってもらいたい。


「感謝をされて嬉しくない人間なんていないけどサ。ありがとうなんて、アタシがアンタに伝えなきゃなんないんだよ。彩って居場所、アイドルっていう花道。欲深なアタシに沢山の刺激をくれて色んな場所に連れ出してくれる、アタシの大好きで大切な、最高のプロデューサーちゃん。そんな全部に当て嵌まる子なんて、アンタしかいないのよ?」


そう言って照れ臭そうに笑う彼は、どんなアイドルや役者より、華やかだ。


20180321 
黒野玄武(Mマス)
「番長さん、ちょいと見といちゃくれねえか」
「ん?」


言うなり玄武は深く息を吸い、私を真っ直ぐに見詰める。何だろうかと見つめ返すと、意を決したように、頷いた。


「氷刃の玄武、行くぜ!!」


熱い名乗りと共に勢いよく閉じられる両目。ああなるほどと、漸く玄武の意図を汲み取れたことに思わず声を漏らす。と同時に玄武は、沈痛な面持ちだ。


「…くっ、今回も、か…!」
「もしかして、この前のライブ?」
「ああ。ファンには喜んでもらえたが、アニさん方のようにウインクと名乗るに恥ねえもんを届けてえんだ。練習の成果、番長さんに見届けてもらおうと意気込んだんだが――…情けねえ」
「可愛い〜!って好評だったけどなあ。玄武はスマートになんでも出来ちゃうイメージだから、ちょっとした抜けが見えるときゅんとくるんだよ」
「………」
「…と、勿論、頑張ってる玄武を否定はしないよ。ウインクならそうだな…北斗とか…」
「…ああまったく、本当に情けねえ」
「ん?」


深い深い溜め息を吐いた玄武は困ったように笑う。この表情だって魅力的だ。朱雀に聞いたって自信満々に頷くに決まってる。当然だ、なんて、自分のことのように胸を張って。


「番長さんの恩義に報いるって駆けてんのに、番長さんの笑顔に妥協しちまいそうになった。それも武器だと使うには、俺はまだまだ未熟だってのによ」


はにかむ顔は、彼もまだ少年であると言うようだ。


20180313 
漣と四季と麗(Mマス)
※モバWD2018チャットネタ

「つーわけで、プロデューサーちゃんの都合を考えると渡せるのは漣っちだけなんすよ!」
「ああ。些か不安はあるが、牙崎さんに任せる他ない。皆で作り上げた返礼品、必ず届けてほしい」
「チッ…オマエらがやりゃいいだろ。オレ様はヒマじゃねーんだよ」
「…そうしたいのは山々なのだが。牙崎さん、話は聞いていただろうか?わたしと伊瀬谷では都合がつかないと言ったのだが」
「漣っち照れない!麗っちも、自分で直接渡したかった〜ってのはわかるっすけど!今回は漣っちに運命が味方しちゃったワケで。オレらは漣っちを信じて、プローデューサーちゃんの笑顔を願って!最後の仕上げ、やっちゃいましょー!」
「ウッッゼェ!照れてなんかねえよ!!」
「その言い方、逆効果っすよ〜!で、漣っち!プロデューサーちゃんの番号、ちゃんと登録してるっすか?」
「ハァ?バンゴー?」
「……モーレツに不安っす!ちょっと失礼!」
「いっちいちウゼェな…なんだっつっーんだよバンドメガネ」
「伊瀬谷四季っす〜!えーっとどれどれ〜?んー……てか漣っち、数字ばっかなんすけど。どれが誰かわかんねっすけど」
「オレ様には必要ねーからな」
「……大河さんや円城寺さんは苦労するな…」
「あ、でもちゃんと…ちび…と、あとらーめんや……これタケルっちと道流っちのことっすか?………あいつ……?」
「アイツはアイツだろ。返せ」
「あ。あいつ…………もしかしてプロデューサーちゃん!?」
「まだ呼称があるだけいいのか?牙崎さんと話していると、何が常識なのかわからなくなる…」


20180312 






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