小ネタ | ナノ

MEMO 

陳宮(無双)
※エンパ夫婦設定

「いやあ、我が子の才が輝きに輝いた戦でしたなあ〜!」


言葉を発する度に機嫌が上昇しているとわかる声。何度聞いたか知れない「誰に似たのでしょうなあ〜」は、ここ最近の中で一番ご機嫌ではないだろうか。

夫婦になって知ったことではあるが、旦那様はごく普通に想いを伝えてくれるし、ごく普通に子の誕生を喜ぶ。
私を賞賛する言葉は大袈裟すぎないかと思いはしたが、出会った頃に感じた癖の強さは、案外発揮されはしなかった。別に期待をしていた、というわけではないけれど。


「我が智謀に我が伴侶の眩さ、いやはや、これ程までに完璧な成長を遂げようとは……。恐ろしいことに、子を導く才も備わっていたんですなあ〜」
「流石ですね、旦那様。……あとは、そうですね。旦那様のような奇特な方がいらっしゃればいいのですが」
「私のような?……はて、異なことを」
「私は旦那様と気がよくよく合いますし、結果あの子も、旦那様と同じく戦での知恵比べを楽しんでますから。……母としては、活躍が嬉しくもあり不安でもある、と」
「ははあ、成る程成る程。確かに勇には優れど、私以上に知恵に長けた者はなかなかおりませんなあ……。加えてあの子は実に、実に聡明!我ら夫婦を凌ぐ才覚であることは間違いないとなると――…。まあ、天女と称しても問題なかろう我が子を嫁がせるならば、あの子が御し易い御仁でもよいのでは、とも思いますが」
「………….」
「おや?何か?」


こういった関係になる前、旦那様は自分が上手く操れる相手に仕えるのも面白い、といった旨のことを話していた。宴の席で口にしていたのだったか。
旦那様にとっては不幸なのか、殿は容易く傀儡になるような方ではなかったけれど。なんだかんだ、旦那様も仕え続けているのだし。

しかし、待て。


「……旦那様、私のこと、御し易いと思ってます?」


言えば更にまん丸になる旦那様の目。
笑い方に話し方、諸々が重なって胡散臭いと言われがちな旦那様は、案外かわいい顔をしていると思う。身長だって私よりも少しだけ、小さいし。いや、そういう話ではないけれど。


「なんと、なんと悲しいことを!!私は、今もこうして並び歩く伴侶に対して御し易いなどと考えたことはありませんぞ!最愛とは思えど意のままに操るなど――…ああ、傷つきましたなあ」
「いや、流石に私も言い過ぎとは思いますが。……少しばかり傷つけてしまったことは、ごめんなさい」
「ふふ、これも夫婦の戯れですな」
「……」
「おや、今度は?」
「――あの子が、というよりは。旦那様が御し易い人間がいいのでは?」
「おやまあ!父心としては、愛しく素晴らしい相手を見つけてほしいものですが――…我ら夫婦の子ですからなあ。動かされる、ということなないでしょう」
「…………そうですね」


いっそ呂布殿のような方がいいのか。
いやそれも、どうなのだろう。


20220202 
賈充(無双)
※エンパ親子ネタ

「よくやった」


父上はそう言うと、誇らしさよりは優しさを多量に含んだ笑みを浮かべ、私の頭を撫でてみせた。
もう何度か父上と戦を共にしているけれど、またなんで急に、こんなことを。

初めてではない。今よりずっと幼い頃、笑顔の母上とその母上ほどではなくとも笑った父上に、こうして撫でてもらうことは、あったけれど。


「…………はい」
「父の使い方も上手くなったな。次代を築くのはお前だ、気にせず思うがまま指示を出すといい」
「使い方って――…」
「危うければ口出しもするが、流石は母の子だ」
「……父上の子でもあるのですが」
「――こういった物言いに拗ねる姿はまさに母、だが」
「……母上には、考えている姿が父上によく似ていると言われます」


鋭い目が父上に似ていて素敵、とは母上の談。最近知り合った司馬昭殿には「親子揃ってると怖さが増す」と苦い顔をされた。

ただし司馬昭殿のよく知る父上の影は私や母上といると薄れるらしく、「そういう声とか顔とか出来るなら、もっと人にも優しくしてほしいもんだよな」と、少しだけ気味悪そうに腕をさするのだ。
私にとって父上は母上に優しく、私に甘い人だ。司馬昭殿の言うことはいまいち理解出来ない。


「ほう?母はそんなことを言っていたか」
「はい。……父上、嬉しそうで何よりです」
「お前が嬉しそうで、父としても喜ばしい限りだな」


それは父上が頭を撫でてくださったし、母上の話で笑ってくださったし。母上にこの話をしても満面の笑みなのだろうとわかるから、余計に。


20220202
父賈充の個別指示、声色が優しすぎてびっくりしたねっていう 
ラップ(千銃士)
「ラップさん?」


深い溜め息を吐いていたその人は、名前を呼ぶとすぐにこちらに顔を向けてくれた。就寝の挨拶を交わしたはず、何故こんなところに。


「これは、マスター。まだ起きていらしたんですね」
「衛生室で休んでいる人の様子を確認しに。ラップさんは…喉でも渇きましたか?」
「……いいえ。あの双子に野宿でもしていろと追い出されましてね。戻るにしても、一旦退出せねば騒がしいままですので」
「ああ、……野宿?」
「陛下とベッドで眠るのだとか」
「ラップさんが野宿する必要性は…」
「あの双子ですから」


その一言で納得出来てしまうのが何とも。言葉が浮かばず苦笑で返すと、ラップさんは再び溜め息を吐く。


「――失礼。マスターの前だというのに…寧ろ、前だからかもしれませんね」
「ふふ。私でよければ、いくらでもどうぞ」
「では、必要時には甘えさせていただくことにします。……マスターは部屋に戻られるのですか?」
「はい。ラップさん、本当に野宿をするつもりでは…」
「幸い、野宿自体は苦ではありませんので。あの双子の言いなりになるという点は気に入りませんが」
「………」


長期の任務となれば当然外で休むこともある。ラップさんに限らず、全員が。だからといって基地でそうする意味は。上等なベッドではないにせよ、地面とは比べ物にならないのだから。


「…あの、私の部屋、使いますか?」
「…………はい?」
「私は衛生室で、というより、そっちで休む方が都合もいいですし」
「……、ご好意だけ。そうなれば双子どころか陛下まで騒ぎます。ただでさえ声の大きい陛下ですので、他の貴銃士にまでありもしない話が広がるでしょうし」
「あ、あはは、ですよね!ちょっとした冗談というか、はい…」


なんて恥ずかしいことを。
ただただもう、笑うしかない。


20200905
 
スナイダーとエンフィールド(千銃士)
「買い出しに同行するなんて珍しい。何か必要なものでもあったのかい?」


それもそれで珍しいけど。両手に持った紅茶缶を見比べながら投げ掛けても相手からの返答はない。相変わらず話を聞かないものだ、マスターがいたならば。考えて思わず打ち消す。

マスターがこの場にいたらもっと大変だったろう。ただでさえ忙しい彼女の心労を進んで増やす必要はあるまい、勝手に毎日やってくるのだし。


「エンフィールド」
「…何だい?一応聞いておこう」
「あの並んで歩いているやつらは何だろうな」
「並んで?――…手を繋いでいる二人かい?随分と楽しそうだし、恋人、とか」
「恋人、ねえ」


これは何かを踏んでしまったか。敬愛するブラウン・ベスのための茶葉選びとはいえ、含みのある響きを放ったスナイダーを適当にあしらうべきではない。鳴り響く警告に従い、エンフィールドは一度紅茶缶を棚に戻しスナイダーと同じ方向に体を向ける。

スナイダーの目。恋人とおぼしき二人に向いてはいるが、恐らく見てはいない。


「悪くはないがぬるい上に手が塞がる。――…ん?」
「…!あのリードは犬を連れ歩くためのものだし、ケンタッキーには必要かもしれないね!」
「――…戦場では不便きわまりないな、長い。……ああ、捕虜を繋いでおく…」
「君が道を誤る前に尋ねておくけど、何を想像しているんだい?」
「誤る?言葉を繰り返しても理解しないマスターには、叩き込む必要があるだろう?」


何て楽しそうに笑うのだろう。マスター相手にだなんて、レジスタンス全体が大騒ぎではないか。


20200904 
アリ・パシャ(千銃士)
「おい、何をしている」


何時ものテンション、に呆れたというような、訝しむような色がある。手を止めて振り返ると、その人は眉根を寄せていた。


「夜食を作っていました。夕食は終わったけど、まだ作戦から戻っていないメンバーもいたので」


あなたも。
続けると、眉間のしわが深くなる。言わんとするところは察した。音にされることはなかったけれど。


「そこにあるのは俺様の分か」
「はい。あ、怪我はないですか?大小にかかわらず、体の動きに違和感とか」
「ない。――……考えるだけ無駄だな。寄越せ」
「…飲み物は、」
「水でいい。何を笑っているんだ」
「当たり前のように食べてもらえるみたいなので…?」
「呑気でお人好しなお前が作ったとなれば、エセンを呼ぶ必要もお前自身に一口食わせる必要もないだけだろう。それの何が笑えるんだかな」
「信頼かなって」
「事実だ」


結局声に出されてしまったけれど。何だか今日は、悪くない気分だ。


20200903
毒の話。
 
THE 虎牙道(Mマス)
「はあ?」という漣の声に、道流は「だってなあ」と呟き、ちらりと道流を見たタケルは漣へと視線を動かし黙りこむ。

そんな様子がますます不愉快で、漣はこれでもかと言わんばかりに眉を寄せた。漸く騒がしい男が消えたと思ったのにこれだ。一体なんだというのか。


「跡目っていうと、牙崎のってことだろう?漣がそれに興味をもつってつまり、親父さんのとこに行って、将来的には親父さんみたいに弟子をって…そういう話じゃないのか?」
「オマエ、そんなことも知らなかったのかよ。プロデューサーが聞いたのだって、親父さんに会えるってのも含めて…THE 虎牙道としてずっとここにいてもいいのかって話だろ」
「それに…師匠は315プロダクション全体のプロデューサーだし、そうなった場合は漣とは行動しない、俺達だって二人で活動って――…」


淡々と、それにしては少し寂しそうな表情でこぼすタケルと、困惑したように言葉を紡ぐ道流。

その様子に、興味が出たら、と口にした瞬間の表現しがたい表情をしたプロデューサーを思い出す。漣の答えに笑顔を浮かべてはいたけれど、なるほど。そうなると漣の眉間の皺は深くなる一方で、タケルと道流はいつの間にやら呆れたように顔を見合わせているではないか。


「バァーカ!!オレ様にはチビをブッ倒す――…負けを認めさせるって義務があんだよ。そもそも、アイツはオレ様の下僕なんだ。ンでオレ様の存在を無視してオマエらの世話なんざする必要があるんだっつーの!だいったい、誰があんなクソ親父の跡目?なんざ欲しがるか、オレ様には必要ねェ!」
「……やっぱ馬鹿だな」
「ははっ、漣は漣だな!タケルも安心したか」
「…………俺は、別に」
「これからも3人でTHE 虎牙道、全員で師匠を頂点まで連れていくとしよう!」
「だぁから!アイツはオレ様専属の下僕だっつってんだろ!」
「…うるせぇな、少しは静かにしろよ。迷惑だろ」
「ウゼーのはオマエだチビ、バァーカ!」
「……意味わかんねぇ」
「店で騒がしいのはもはや名物扱いだが――…まあ、師匠はみんなの師匠だな。独り占めはよくないぞ〜」
「ハァ!?独り占めとかそういう、オマエも意味わかんねーんだよらーめん屋!!」

20190614 
都築圭(Mマス)
「ああ、動かないで、プロデューサーさん」


思いの外近距離にいる都築さんにそう言われ、なんだかこそばゆい気持ちになりながらじっと耐える。表情を変えることなく私を見詰める都築さんに、吸い込まれそうな気がしてしまう。

そんなことを考えていると、不意に都築さんの口許が、緩んだ。


「……動いても、大丈夫ですか?」
「最近ね、プロデューサーさんとこうして過ごしていると、僕自身から可愛らしい…ピョンピョンと跳ね回るような音が響くんだ。――プロデューサーさんからは僕よりも早い、少し緊張したような音」
「そ、そうなんですか…」
「それに耳を傾けるのが愉快でね。だからつい、君を見てみようと思ってしまう。……けれど、繰り返していたら馴れてしまうのかな?」
「どうなんでしょう、か」
「――…うん。それを確かめてみるのも、面白そうだ」


だからもう少しだけ付き合ってね。

穏やかなその声に、また私はこそばゆくなった。

20180409 
Beit(Mマス)
「恭二、この前はマフラーありがとう」
「いや、別に。あんたが寒そうだったから……風邪、引かなかったならよかったよ」


そんなやり取りを興味津々と言う風に見つめる二人分の目。何時ものように居心地悪そうにゆっくりと視線を動かす恭二に、思わず笑みが零れてしまう。


「恭二、そのマフラー、なくしたって」
「でもピエール、思い出してみて。恭二に聞いたとき、恭二は言い淀んだよね」
「いいよどむ、何?」
「そうだなあ。簡単に言えば、言いにくそうってことかな」
「言いにくそう……うん!恭二、言いにくそうだった!」
「プロデューサーに貸していたからだったんだね。――……別に、隠すようなことじゃないのにねぇ?」
「プロデューサーさん守った、いいこと。どうして恭二は隠したの?」
「ねぇ?どうしてだろう、恭二?」
「いや、別に隠しては――……言う必要もない、というか」


二人も当然知ってはいるけれど。模擬デートの際に貸してもらったという事実は、もう少し時間が経ってから話した方がよさそうだ。


20190325 
タケルと道流(Mマス)
どこか落ち着きのない瞳は紙袋を見ては一瞬考えるようなそぶりを見せる。今日はまたどうしたのだろう。ファンにもらったものかとも思ったが、この様子はそうではなさそうだ。


「気合いの入った袋だな」
「……そう見えるか?」
「ん?見えると不味いのか?」
「………いや、そういうわけじゃ、ないけど」
「タケルが誰かに渡すのか?」


プロデューサーだろうとは思うけれど、素知らぬふりで尋ねてみる。僅かに寄せられた眉はそんな道流の魂胆を見抜くようでつい笑ってしまった。こういうところは思春期の反応、というやつだろうか。実に微笑ましい。


「円城寺さんの家にもあったよな。……手作りの」
「ああ、折角だからな。前のバレンタインみたいに自分で考えて作ってみたんだ」
「包装も全部自分でやったのか?」
「そうだな。師匠っぽいのはどんなのかって考えながら――……楽しくなって、つい色々拘ってしまってなあ」
「…………」
「……」
「……来年、」
「ん?」
「教えてもらってもいいか?俺も、自分で作ったのを渡してみたい」
「自分でいいのか?」
「ああ」
「ははっ、そうか。じゃあ来年、もっと気合い入れなきゃな!」


20190225 
漣と道流(Mマス)
変換機能をどこかに置き忘れてきた携帯。電話をしたところで大概繋がらないか、道流が出る。時折タケルが出ることもあるそれは紛れもなく牙崎漣の所持しているものだが、本人が望んで手に入れたものでない限り、そんなものなのだろうか。不要と判断したものへの執着は驚くくらい薄いし、まだ一応持っているだけいい方かもしれない。


「は?」
「だから、師匠から電話。ちゃんと折り返すんだぞ」
「何の用だよ」
「さて。急ぎではないみたいだが、大事な用件かもしれないだろ?ほら、漣」
「めんどくせー…なんでオレ様がわざわざ」
「――ああ、そういやもうすぐバレンタインか」
「あ?」
「タケルもライブに向けて調節してるしな。……そういや、師匠は毎年チョコをくれるよなあ」
「………なにが言いたいんだよ」
「別に?」
「――チッ!」


苛立たしげに舌打ちをしながらスマホを耳にあてる。そんな態度でいたって実際に話をすれば随分と顔が綻ぶくせに。

現にほら。
相手の声がしたからか、あっという間に眉間の皺がなくなった。

20190214 






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