寄り添え合えたら素敵

「さみぃ…」

そう小さく呟く声が聞こえた。
いつも俺に突っかかってくるチェスロックも流石に今日は大人しい。

「バイオレット先輩の所へ行かないのか?」
「…お前の寮の監督生さんと仲良くしてる。
それなのに乱入したらオレ空気読めねえ奴じゃねえか」

ああ…と納得した。
流石にあの仲には入れないだろう。

「寒いな」というと、チェスロックは小さく頷いた。

「中に入るか?」
「………」

問いかけに答えないのが気になり、ちらりとチェスロックを見ると少し機嫌の悪そうに不貞腐れていた。

「チェスロック、」
「ったくお前は本当に…っ」

そこまで言ってチェスロックは押し黙る。

「僕が何かしたか?」
「っせぇな黙れよ運動馬鹿。
…もう良い、戻る」

ふい、と顔を逸らすチェスロックに首を傾げる。

「寒いからテメェも戻ったらどうだ?
まあお前ら緑寮の奴らは風邪なんかひかなそうだけどな」

すっと立ち上がるチェスロックを見つめて、気付いた。

そのことに少し恥ずかしかったが、意味を分かるとチェスロックが可愛く見える。

「…ほら」
「は?」
「隣に座れ、寒いんだろ?」

くす、と小さく笑うとチェスロックは顔を赤く染めた。

「な、」
「ほら」
「…っ、お、お前が寒くて仕方ないなら、」
「そうだな、寒くて仕方が無い。だから、」

もっと近くに。

やっぱりそう言うのは恥ずかしかったが、目の前で顔を真っ赤に染めるチェスロックを見ると、そんなことは些細なことだと思った。

「し、仕方ねぇな、別にお前の頼みであってオレは、」
「ああ、分かってる」

そう言ってどちらともなく肩を寄り添えた。




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