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ジャラジャラ…
電球を体中に巻き付けた沖田がキョロキョロと周りを見渡しながら歩いている。
「あれぇ?近藤さんは?」
「…志村家です。クリスマスパーティーに誘うと言って…」
山崎はそんな沖田に一瞬ギョッとしたがすぐ局長の行き場所を教えた。
「えぇー?!一緒に飾り付けするって約束したのにさァ」
「すぐ戻ってくるだろ。…ボコボコにされて」
口を尖らす沖田に大量の飾りを抱えながら原田が言う。
「再入院したら凹助が喜ぶんじゃね?」
永倉はケタケタと笑いながらモミの木に飾りを付ける。
藤堂は石の件が終わった次の日、意識が回復した。
「…あ、そこまで背が届かねぇだろィ。俺がつけてやるぜィ」
「あ」
沖田は永倉が背伸びをし付けようとしていた飾りを奪い取った。小柄な青年は青筋を立て沖田を睨む。
「コノヤロー…」
「ほれ、永倉くーん。脚立ですよー」
「余計なお世話だ!!」
バチンとハゲ頭を叩いた。
土方はそんな光景を煙草を吸いながら遠巻きに見ている。そこへ沖田が電球同士がぶつかる音を鳴らしながら近づいてきた。
「ったく…毎年毎年…。さすがに今年はやらねぇだろって思ってたんだが」
「まだクリスマスまで二日もあるんですぜィ。まだ間に合いまさァ。というわけでプレゼントよこせ土方」
「はぁあ?!」
手を差し出す沖田に土方は顔を歪ます。
「沖田」
斉藤が一枚の封筒を持って二人に近づいてきた。
「これ五十嵐さんから」
そう言い沖田に封筒を渡す。
目を丸くしそれを受け取ると手紙と写真が入っていた。
写真を見ると母の遺影を抱く皐とその肩を抱く父親の姿があった。
「そうか。今日が母親の一周忌か…」
「…幸せそうですねィ」
土方が手紙を読んでいる横で沖田が写真を見ている。
「…眼鏡の子にも礼を言っておいてくれって書いてあるが…」
「あぁ…あの眼鏡に最後のいいとこ全部持っていかれた気がしまさァ」
写真の中にいる皐の手には小さなサンタの人形があった。
「あ、そういや、パーティーに万事屋一家も呼びますぜィ」
「ゲ?!マジかよ!!」
「世話になりましたもん」
土方は明らかに嫌そうな顔をする。沖田は素知らぬ顔で口笛を吹きながら封筒の中に写真を入れた。
―――50年後、10年後、5年後、1年後…
永遠にこんな事をできるとは思わない。
みんな一緒にいるとも思わない。
でも今はこうしてみんなでバカみたいに騒いでいるじゃないか。
「ねぇ土方さん」
「なんだ」
「一年後、俺が死んでたらどうしやす?」
「……そうだな…お前の墓の前で鬼嫁呑み干して空の瓶供え付けてやるよ」
「死ね土方」
憎き上司に向かってバズーカを構えた。
fin...
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