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こんにちは、初めまして。私の名前はみょうじなまえ。興味無くても大事なことだからキチンと諦めずに最後まで聞いて!私は日本のほんのり田舎に住むごく普通の女子高生。家族は至って健康体な両親が二人。特にやりたい事とか無くて、バイトも将来の夢もまあこれからぼちぼち決めていく予定。
で、勉強とかマジ何それマジめんどいんですけどみたいなことを思ってる、本当にどこら辺にでもいるような、というかそこら辺にいるJKより気持ちダメ野郎で平凡な十七歳だった。
はずだけど。
「えっ嘘。ここどこ?てゆーか誰これ」
目が覚めたら知らない場所で、見ず知らずのお兄さんの上に乗っかっていました。えっ何?ホントに何?
今日は確か金曜日で、わーい明日休みだわーいまだバイトも決まってないし特に遊びに行く予定も無いし宿題はあるけどまあ明日も休みだからネットサーフィンして寝よー!ってルンルン気分でお家に帰るところで、狭い道を徐行せずに走り抜けた車にびっくりしてすっ転んで、人様の家の畑に落っこちて、クソがって舌打ちして目を開けながら起き上がったところだ。
でも今私の目の前に広がっているのは山本さん家のネギ畑なんかじゃなくて、なんか道路。道路。畑も田んぼも何も無い。遠くに都会的なビルが建ち並ぶ。とてもじゃないが、通い慣れた私の田舎の通学路とは似ても似つかない光景だ。
そして私の下には見知らぬロン毛のお兄さん?髪の毛長すぎる上に後ろ向きだからよく分かんないけど、背格好的に多分お兄さん。プラス目の前に二人の……
「えっ待って無理」
思わず口を出た言葉を飲み込むために、手を口元に当てて天を仰ぐ。え、なんか私のことガン見してるこの向かって右側にいる、仮面着けた黒髪のお兄さんには見覚えがあるんだけど。ものすごく。パニクりそうになる頭を深呼吸で抑え、もう一度仮面のお兄さんの顔を恐る恐る見た。
でもそこに居たのは変わらず私のよく知った人物で。
(────私の見間違いじゃなければ、某超能力系マンガに出てくる危険能力系の美形の顧問では?)
だってさ、どう見てもそうじゃない?変な仮面に黒髪に黒ずくめの服に沢山の装飾品。“学園アリス”を読んでる人なら誰でも「あ、ペルソナだ」ってなるよね。
むしろ学アリのペルソナファンだったら“仮面”ってゆう単語を聞いただけで「あ、ペルソナだ」ってなるよね。某ゲームの方じゃなくて、この人を思い浮かべるはず。私がそうだもん。
えっえっ?なんでペルソナ?コスプレイヤー?ここはコミケ?いや、コミケもおかしい。
ふとペルソナの隣に目をやれば、ふわふわの金髪を持つ服装がヤバめのお兄さんが……
────いや鳴海先生やんけ。
鳴海先生やんけ。どういうことだ。
「あ、あのーお取り込み中悪いんだけどー、ちょーっと上から退いてもらってもいいかなー、なーんて……」
「あっ、すんません」
さすがに頭打ったか、二次元行きた過ぎて頭沸いたかと一人うんうん唸っていたら、下にいた恐らくお兄さんにそう言われ退いた。そうだ、これはきっと夢だろう。あの時結構派手に畑に落ちたし、きっと頭も強く打って都合の良い夢でも見てるんだな。
そう納得して私の下敷きにされていたお兄さんの顔を見れば、まあびっくり!!
(殿先生やんけーッ!?)
いやもう流石に頭抱えた。
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