「あ、ナナシじゃんかしょんぼりしてどうしたの?」


屋根から声が聞こえたから屋根を見ると亜鉛華(あえんか)がいた


亜鉛華は私と同じ歳でこてもすばしっこい
そして小柄、性別は私と同じく女

髪の色はピンクでショートカットだ


亜鉛華はそれを生かして忍者の稽古をしている



「うん、神代が心配で家に行ったらね」

「…紫苑に追い出されたのか」


「うん、それはそうなんだけどさ、最近神代体調あまり良くないみたいだし心配なんだ」


「そんな考えたらナナシまで病気にかかっちゃうよ!気にしない、までは言わないけどさもちろんあたいも心配だし、今のところは紫苑に任せておきなよ」

「そうだね、亜鉛華の言うとうりだね」



私は亜鉛華たちと少し違う。別に人間ではないという訳では無いのだが私はここら辺の住人と違って身体を動かすのが得意ではない。

私は武力が全くと言っていいほどない。そのぶん私は魔法が使える

私は元はここら辺の住人ではないのだ
私の家は貧しく私は5歳の時に山奥に捨てられた
そんな私を拾ってくれたのがこの村の村長の長老だった


私にはこんな一軒家をタダでくれた
そして当時5歳の私には世話をしてくれたり、歳が近い子たちが遊んでくれたりしてくれた


本当にこの村に感謝している
だが、その長老は今年、96歳で亡くなられた


今は新しい村長を誰にするのかと揉めている


「あたいはこれからちびっこ達と鬼ごっこしてくるからまたね」

「じゃあね」


自分の家へと足を進めた
家につきドアを開け、入る


そしてベッドにダイブした


「…はぁ…大丈夫かなぁ…」


最近夜でも見ないし
そう考えているうちに寝てしまった


「ん…?」


目を擦り起きてみると窓からは月の光が指していた
当たりはすっかり暗くなっており、びっくりして飛び起きた


窓から外を見ると誰もいない。

シーンとしている


森からは梟の声が聞こえる

結構な時間寝てしまったようだ
今は絶対夜中だ


「明日お昼頃に起きちゃうよ…」


今は全く眠気はしない
明日がくるまで起きそう


とりあえず風呂に入ることにした


そして風呂から上がり、お腹が空いていたので適当にご飯を作って食べた
そして外に出る

私は寝れない時などはいつも外へでて暇を潰している。

時には花畑で、時には自分の家の屋根で、時には森で


どうして夜に起きてしまうのか…

とりあえず今日は自分の屋根の上で月とにらめっこをすることにした


ハシゴをとり、屋根に掛ける
そして一段一段丁寧に登った


屋根に寝転ぶ


「はぁ…」

(今日も月は悲しくなるほど綺麗だなぁ)


「そんな無防備じゃ襲われるぞ」

「ひゃぁ!!!」


いつの間にか私の頭上に誰かいた

びっくりして急いで振り返るとその人物は神代だった

月夜に照らされる真っ白な肌と綺麗な紫苑と一緒のいろの宝石みたいに光る長い後ろの髪だけをまとめた髪と奥が深く黒い美しい瞳についつい見入ってしまった


「神代!大丈夫なの?」

「もちろん大丈夫さ夜だしね俺、夜は好きだよ綺麗だしそれに殺められるし」

「いきなり物騒な事言うね…て、血ついてるよどうしたの?」


神代の頬と服には血がついていた


「さっきナナシが家から出た時に襲いかかろうとしていた魔物がいたから殺したんだ」

「そうだったんだ…」


ということは神代が助けてくれていなかったら私はもうこの時点で死んでいたのか


「ねえ、神代」

「ん?何」

「たすけてくれてありがと」

「別に、当然な事をしたばかりだから」


この村は何故か夜魔物からの奇襲がないという事が他の村や街で話題になっている
他の村は奇襲があり策の前に兵士などをおいている。しかしこの村には必要がいらない


それは神代が毎晩毎晩この村を守っていてくれているからだ


そのことはもちろん私と神代以外誰も知らない

何故私だけが知っているのかというと
一ヶ月前私がこのように神代が魔物たちを殺しているところを見てしまった

その神代を見て私は神代だと最初は信じられなかった
私の知っている神代ではなかったからだ。


今までよりもいきいきしていた。そして獲物を狩るような目をしていた。
いつもおしとやかで優しい神代とは全く別人だったのだ

正直そんな神代が怖かった


「…ナナシ」
私の視線に気づいた神代は悲しそうな顔をして私の名前を呼んだ


「か、…神代…だよね?」

「ああ、そうだ俺は神代だよ」

「どういう事なの?」
神代は病気で起きることもつらいはずなのにどうしてここまで元気なのか分からなかった。どうしてこうなっているのか理解出来なかった


「…ナナシだけ話すよ」


そこで本当の事を聞いた


どうやら神代の病気は夜になると健康な身体に戻ったみたいに痛みも苦しさもなにも無くなるらしい。

神代はそれを生かしてこの村を守りたいと思って毎晩のように魔物たちを倒しているのだ。


中身はちゃんと神代らしいのだが、私には今になってもまだこの神代が私の知っている神代だなんて思えない。
話し方も性格も違うのだ。


…でもまあ私はどっちの神代でも悪いとは思わないけどね

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