140字SSまとめ | ナノ
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 傲慢な女
傲慢な女は、悪魔と取り引きをした。結果、至上の美貌と魅力とを手に入れた女は、夜会を渡り歩いて夜毎男と戯れ弄んだ。しかし、一方で女の心は醜くぶくぶくと腐れ、とうとう愛した男たちを毒で殺してしまった。薄汚れた断頭台で女は獣のように泣き喚いたが、悪魔は、最高の悲劇じゃないか、と笑った。

(130406)


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2013/04/27 (00:10)


 泣き虫少女
泣き虫少女は、悪魔と契約をした。結果、彼女の涙は枯れ、誰にも馬鹿にされることはなくなった。彼女は確かに強くなったつもりだったが、代わりに大事なものを失くしてしまった。痛まない心は所詮少女には過ぎた代物。遠ざかる友人たちを見て彼女は絶望したが、人など冷たい生き物さ、と悪魔は笑った。

(130406)


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2013/04/27 (00:09)


 売れない作家
売れない作家は、悪魔に魂を売り渡した。結果、偉大なる小説家というものになりはしたが、作家はちっとも嬉しくなかった。ペンは滞りなくすらすらと走るが、着飾った嘘が書き散らかされるばかり。冗談じゃない、こんなものを書きたくはない、と作家は叫んだ。悪魔は、小説なんてみんな嘘さ、と笑った。

(130402)


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2013/04/27 (00:07)


 ソファ
奴は俺の肌がビロードのようだと言った。くそくらえ、と思った。お返しに、お前は俺の家にある安物のソファにそっくりだ、と言った。奴は困ったように笑うばかりだった。苛ついたので煙草に火を付けたらその瞬間に奴に消された。喫煙者にはお仕置き。押し倒される中で、俺は安物のソファを肌で感じた。

(130401)


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2013/04/27 (00:06)


 夜の旅
ぽろぽろと雫が落ちて行く。規則的に揺れる汽車の窓、もたれかかる少女の瞳から。蠍の尻尾をかすめ、鷲の羽ばたきに散り、子犬の足元をすり抜け、蛇の鱗を伝い落ちた。真っ逆さまに落ちた雫は、淡く滑らかに丸くなり、地上のどこかに消えた。誰も知らない。夜毎黒い煙に紛れて、旅する子等のことを。

(130401/更紗さんより)



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2013/04/27 (00:05)


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