Diary
▼ 140字SSとは
Twitterでお題を募り、それに沿って140字以内の小さなお話を書いています。
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2014/12/31 (23:59)
▼ 龍のはなし
ふと空を見やると、頭上を龍が飛んでいった。成る程、古来から伝え聞く通りの姿其の儘である。体を波打たせる度に、銀色の鱗を煌めかせ、何処か楽しげに声をあげる。鐘の音に似た、喧しいまでの鳴き声だった。私は龍というものを初めて見たので、唯々、得難い経験をした、と感慨に耽るばかりであった。
(130513)
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2013/05/13 (09:24)
▼ 揺らぎ
夢を見た。私は鼻も耳もすっかり水に浸かっている。深い水の中を長虫の如く音が伝う。妣が国の言葉、いや、魂の呼び声を遠く聞く。獣の咆哮。巨人の足音。地鳴り。風の音。違う。腹の底から、あんなにも低く響いてくるじゃないか。恐ろしい。漸く思い出した。生命の音、恋い焦がれた羊水の振動である。
(130422)
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2013/04/27 (00:13)
▼ サボテン
刺々しい貴方の全てで私を包んで、ぎゅっと抱き締めて。血の滲む程に強く、熱く。私の薄っぺらな皮一枚、貴方の熱情で突き刺して。私、何だって受け止められるわ。痛み、悲しみ、怒り、何よりも激しい心そのものでさえも。滅茶苦茶にされたい。掻き乱されたい。ねえ早く、脆い私を穴だらけにして頂戴。
(130422/シャーペンさんより)
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2013/04/27 (00:12)
▼ 雨粒
水滴が頬を掠める。何となく湿った空気が体に纏わり付く。あっという間に灰色のアスファルトへぽつぽつとした染みができ、目前の景色を一変させた。傘はささない。あえて濡れたい気分だった。髪を、肌を、何もかもを、雨粒に伝って欲しかった。薄汚れた私など、もう無茶苦茶に洗い流されてしまいたい。
(130406/更紗さんより)
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2013/04/27 (00:11)
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