『―――っい″っ!?』


ヒナタがらしくねぇ鈍い呻き声を上げる。理由は明白、俺がコイツの首筋に噛み付いたからだ。

少し牙を立てれば薄い皮膚を食い破り、ぷくりと血を滲ませる。俺はその鉄のニオイに無性に興奮し傷ごとべろりと舐め上げた。


『ひっ、や、痛い…っ痛いよ紅矢!』

「うるせぇ」

『ぁっ!?』


がぶり、次は右耳に噛み付く。耳たぶを甘噛みし、舌を這わせるとヒナタの体が跳ねた。


『ちょ、やめ、紅矢…!』

「…やめねぇ」


コイツの言葉は無視する。俺に逆らおうなんざ考えんなよ?

真っ赤になった頬を舐め、次いで妙にふっくらして美味そうな唇に食らいつく。弾力があって柔らかなそこはマシュマロみてぇで、俺は感触を楽しむように啄んだ。

唇を塞がれ息苦しくなり、口を開いた瞬間を狙って舌を差し込む。コイツの小せぇ舌は縮まっていたがそんなことを気にするでもなく吸い上げ、窒息させてやるつもりで絡ませる。つうかコイツ…唾液までも甘ぇのか。


『ん、んっ、ふ…ぁっ!』

「はっ…、」


俺の腕を掴み限界を伝えてきたから仕方なく離してやる。相当苦しかったのか、顔を真っ赤に染めどこかトロンとした瞳を見て俺の体が疼いた。

ヒナタの思考回路が鈍っているのをいいことに着ているブラウスを引きちぎり、露わになった胸元や腹にも噛み跡を残していく。俺が歯を立てる度に跳ねる体が愉快だった。


『い、痛…っ痛いってば、やめて紅矢!』

「テメェは黙ってろ」

『ひっ!?』


ショートパンツから伸びるぷにぷにした太腿を持ち上げ、内腿に噛み付くと再び涙を滲ませ短い悲鳴を上げる。あぁ、最高じゃねぇか。


『ぅく…っなん、で…?何で怒ってるの…っ?』


…ふん、俺の機嫌が悪ぃってことくらいは気付いてるらしいな。だがコイツはそれよりもっと肝心なことに気付いちゃいねぇ。俺は体を起こし、ヒナタの顎を掴み目線を合わせた。


「…そのクッキーをくれたって男。ソイツに連絡してどうするつもりだった?」

『…?ど、どうって…あたしはただお礼を、』

「会って話そうだなんだと言われて、アホなテメェはのこのことついて行って…間違いなくヤられてただろうなぁ?」

『や、やられ…?』


やっぱりコイツは生粋のアホだ、俺の嫌味を込めた言葉の意味も理解しちゃいねぇ。だからこうして襲われてるっつうのに。


「いいかヒナタ、テメェは俺のモンだ。他の野郎に目移りなんざするんじゃねぇ…もししたら、テメェもソイツも殺してやるよ」

『…!?』


殺す、という言葉に反応したのか大袈裟に体を震わせる。そうだ、それでいい。そうやって俺だけのことを考え見てりゃいいんだよ。

俺は顎から手を離し、首をなぞってその少し下にある胸で止めた。柔らかい肉の塊は触れる度に形を変え、吸い尽くような肌は俺を喜ばせる。

そう、俺は認めたくはねぇがコイツに魅了されている。誰かに執着なんざしたことのねぇ俺をここまで狂わせたんだ、責任取って貰わなきゃならねぇよなぁ?


…そうだ、いっそのこと食っちまえばいい。そうすりゃコイツを誰の目にも触れさせることなく、一生…それこそ死んでからだって俺のモンだ。


「そうだな…なぁヒナタ、テメェはどこから食われてぇんだ?」

『…え…?』

「腕…胸か足でもいいな、腑は一番美味ぇらしいから最後にするか。安心しやがれ、ちゃんと犯してから食ってやる」


そう言って薄い腹を撫でる俺の手のひらの意味を未だ理解出来ていないらしいコイツは涙を浮かべたまま俺を見つめている。

…やっぱりあのクッキーの男許せねぇな。人のモンに気安く声をかけた罪は償ってもらうか…原形を留めないくらいグチャグチャにして、殺してやる。


「テメェを支配していいのは俺だけだ」


後で骨まで味わってやるから、今はせいぜいイイ声で鳴けよ?

そう言って俺は自分の唇を舐め、プルプル震えるヒナタの首筋に再び食らいついた。




これが俺の、愛のカタチだ。




奪われる前に、奪う
(髪の毛一筋くれてやらねぇ)



end




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