冬のあいだ心の奥底に溜め込んだ、薄汚れた塵埃を爽やかに吹き上げて!まるで…爽風が告げた
…演劇や舞台ってのは、とくに無名の劇団こそ大げさな名作をやりたがる…名前は出せないが、少なくとも俺の知ってる“劇部”はそうだった。
テンペストだよ。風だ。
嵐だが、つまるところそれは、風ってことだ。
パシフィック・ウィンド、サンタ・アナ、コラダ…地球上どこだって風は吹く。
やつはいつだって俺達を追い立て威嚇するが、夏場やこの時期は、季節を感じられてなかなかワルくない。
一年の中の僅かな間だが…冬が死んだ号外を毎年知らしめるこの風を、俺は密かに気に入ってるんだ。
春はいつも、何か新たな始まりを感じる。
それに立ち向かうのは、勿論俺一人ってわけにはいかない。
二人と一匹でって事になるだろうな。
代わり映えのないメンバーだ。