June 29,2017
“終わったものは消したい性分”と来たか。それじゃあ仕方がないな。
俺は変わらず、あんたもご存知の相棒とそれなりに上手くやってる。上手くやってるときなんか一秒もない気もするが、俺達はそういう関係なもんでな。
返信は不要とあったが、ヤツに知らせてやるためにもここに書いておく。
あんたに願われなくたって幸せになるし、俺はおそらくもう十分に幸せってヤツだ。環境が変わって……つまり変な部署に飛ばされて、相棒がアレだろ。人間並みに目ざといクソ犬ともなぜか一緒だが…退屈しないってのは俺にとって、最高に幸せな仕事場だ。ま、何もそればっかりじゃない。金もあるし、趣味だってあるし、友達だって居るし…足りないものを教えて欲しいくらいだ。
そして、その友達のうちの一人がレムルス。あんただってことを忘れてくれるなよ。
いつかもし会えたら、朝まで飲もう。ご希望ならミゲルと犬のセットだってつけて、あんたの長い話を延々と聞く約束をする。
おい相棒！魔法使いからのメッセージだ。
俺達の幸せを願ってるとかなんとか、あとお前の日記を見られるのが(俺のメモの次に)楽しみだってよ。
“犯罪者あるある”とか、“過去のおバカエピソード”とか、書いてやれよ。
隠したってムダだ。お前なら沢山ある筈だからな。俺にそんなものはない。任せた。
ついでに俺からもう一言。
もう一人、お前の熱心なファンが居るみたいだ。いよいよファンクラブでも作るか？
June 27,2017 Give me a break
わかった。もう吹っ切れた。もう大丈夫だ、何も問題はない。
約一週間だ。
約一週間、ありえる事がありえない気がして悩んだがもう大丈夫。俺は扉を開いた。何も問題はない。もう悩むこともない。ありえる事がありえない気がしてただけで、これはありえる。じゅうぶんにありえる。
これからは俺をMr.ピエロと呼んでくれ。
でもサーカスで皆を楽しませるアレじゃないぞ。チェーンソー持って、ケチつけるやつを切りつける方のピエロになった。
ちょっとでも笑ってみろよ。胴体を真っ二つにしてやる！
まったく最高の気分だよ！ちくしょう！
June 24,2017
息抜きによその日記を覗きに行ってみたら、魔法使いが日記を閉じちまってた。
あんたの書く日記は…そうだな。実のところいつも長ったらしくて、読むのは途中で止めてた。…。冗談だよ、ちゃんと読んでた。当たり前だろ？長いなと思ったのは事実だが、たまに見に行ってみては、その度に読んでたさ。
それがもう見れなくなっちまうかと思うと寂しいもんがある。妙な言い方だが、この界隈はサイクルが早い気もする。
誰かが日記を始めたかと思えばすぐに閉じちまってたり、思い出したように再開されてたりする。
だからあんたも、……何も閉じなくったって良かったのに。
ま、俺が何言ったって仕方ない。
魔法使いは、俺達ただの人間と触れ合うのにはタイムリミットがあるのかもしれん。
で、パンダがどうのと書いてる俺の相棒のことだ。
こればっかりはあいつに(ほんの少しだけ)悪いと思うんだが、信じられない事に俺もかなり慎重になってる。
この感覚を例えるなら、お互い間合いを取りながら三メートルくらいある棒切れでつつき合ってる気分だ。幅3センチの橋に立ってて下にはワニが居る。
ところであいつのメモと俺のメモを見比べると、性格が出てる気がするよな。
俺が落とされるのか、あいつをワニの餌にしてやれる方なのか、俺にはわからん。
スリルがあって楽しい遊びだ。しかし一歩間違えば、片脚よりももっと大事なものを失いそうな………そういう場所に立ってる。わかるか？
こんなとこでこんなもの書いてる暇はないってことだよ。
ただし前半部分は別。
ヤツの日記からお客様がわらわらと寄ってきてる。蟻みたいだ。
このメモにはショートケーキの匂いがする香水をふってるから、居心地は最高か？