140字 | ナノ 仲間内でのお題の出し合い。もう多分やることはない気がする。青い鳥に投下していました。new↑↓old

柊の葉の棘は鬼の目を潰す、と言われている。だから、節分に使われる。
彼女が鬼に避けられるのはその名もあるが変人であるからであろう。本の世界に引き籠る。そして、崩して笑みを浮かべた。


炉鬼と神滅斬

神を殺す刀があったらしい。その刀を打った男は神滅斬と名付け姿を消したという。それまでは永遠と鬼のように刀を打ち続けたのにだ。神が必要無くなったらその剣を抜け、抜けるのならと彼は言った。


水音を鳴らして彼女が走る。振り向く彼女の笑顔は眩しい。私は今、彼女に微笑む。上手く笑えているだろうか。
去年の今頃も私と彼女が来たこの海は、こうして光輝いていた。彼女はあのときと同じように手を引く。ねえ、と彼女が立ち止まった。
「どうしてあのときたすけてくれなかったの?」


私/僕の前で皆が杯を交わす。僕が入ったことで静まり返ったその部屋で声を上げた。「今日は無礼講だ!」そういうと、皆が仲間達とはしゃいだ。私が見たかったのはこの光景だ。次にこの光景を見るとき、国民も騎士も交えてやろう。私/僕は杯の中を月に照らしながら、玉座で国の繁栄を願った。


宵闇

日が落ちた。
月も出ていない時間からが僕の時間だ。依頼主と出会って、依頼を請け負って、前金を貰う。黒のコートを靡かせながら、ビル群を駆ける。任務対象の偵察をしようとした僕の体が強張った。
どうして、どうして君がここにいる。
そうして、僕は悟った。嵌められたのか。僕に銃を向ける怯えた君。けれどそれでもいい。
僕は君が───。
銃声が鳴り響いた。


手紙

あなたに貰った小さな手紙たち。一言、たった一言たちを、わたしは何度も読み返す。もう最初の手紙たちは、もう手紙が無くても言えるぐらいに読んでしまった。あなたはそんなにわたしがこの手紙を読んでるなんて思わないだろうけど、あなたがいないときはこれがわたしの心の拠り所なの。


母親の味

彼女のお味噌汁を飲んで、違和感を感じた。ああ、これが彼女の家の味か。どうか、と聞く彼女に微笑んで、俺のために味噌汁を作ってくれと言った。彼女は意味がわかったようで、顔を赤くして、「はい」と言った。


母親の味

最近、お母さんとご飯を食べてないな、と食事を見て思った。お母さんがあの人と別れてから、お母さんはわたしたちとご飯を一緒にすることもなくなった。台所に置かれた冷えた食事を今日も食べる。寂しい、なんて言葉を飲み込んで、今日もお母さんに何も言えず過ごしてしまったな。


ぼくの手はむかし紅く染まった。
それからぼくの人生は反転した。裕福な苦しい生活から貧困した自由な生活へ。
汚れ仕事を請け負った。更にぼくは紅く染まる。
独りになったときぼくに話し掛けた君。
君はどうしてぼくにその手を差し出す?
やめてくれ、ぼくは君の手を汚したくないんだ。


ひらひらと舞い落ちる桜の下、「さよなら」と、その一言で君は姿を消した。私は呆然と立ち尽くした。
好きなのに。ずっと好きだったのに。
大学生となり、また桜の季節がやってきた。貴方がいつだったか私に送った「好きだった」という過去形の手紙を破り捨て、ぐっと涙を堪えて歩き出した。
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CHERRY BLOSSOM[桜ロック]


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