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「2000万」
「2500万」
「3000万」
「3500万」
次々に上がっていく値段。
司会者は愚か、客たちも驚きを隠せないでいた。
何故、あんな人間の小娘ごときに、そこまで執着するのかと。
それは、ユイ本人も同じ気持ちであった。
「(…ルーキー共は、こんな小娘を競り落として何がしたいんだろう。
…まさかロリコン?)」
ユイが悶々と考えを巡らせている間にも、金額はどんどん上がっていっていた。
それに今まで静かだった客たちも、だんだんと騒がしくなってきた。
一体どこまで上がるのか、皆興味があるようだ。
「5000万」
「5500万」
「7000万」
「8000万」
バチバチと互いに睨み合い、火花を散らせる二人。
そして二人は同時に床をダンッと蹴り、声を揃えて言った。
「「1億っ!」」
ザワワッ
これにまた周囲は騒がしくなり、この原因であるユイは呆れた表情を浮かべた。
「(…一体、アイツらは何がしたいんだ。)」
ふと、二人から視線を外すと、ユイは魚人のハチと目が合った。
そしてユイは、本来の目的を思い出した。
「いっけね、呆けてる暇なんて無いんだった。」
ガシガシと頭を掻き、どうするかと悩んでいると、事態を長引かせている二人の方から金属がぶつかる音と女性の叫び声が聞こえた。
「テメェ、ユースタス屋!
アレは俺がお前より先に値をつけたんだ、邪魔してんじゃねえよ!」
「俺の知った事じゃねえよ!
ここはオークション会場だ、1番高値で買い取った方が勝者だ!」
「やってらんねぇな。
テメェの首とあの女…、今ここで両方俺が手にいれる。」
「上等だ、やれるもんなら殺ってみろ!」
始まったのは子供じみた喧嘩。
それに混乱する会場内。
ユイは呆れながらも、ガチャガチャと首輪と手錠を難なく外した。
ガチャンっっ!
床に落ちる手錠と首輪。
その音が騒がしかった会場を一瞬で静めた。
パチンッ
静かな空間にユイの指音が響く。
そして、ユイが外した手錠と首輪は砂となり、跡形もなく消え去った。
「タコッパチいぃぃぃぃぃぃ!」
ユイはイキナリ叫ぶ。
ニッと笑ったユイは、ある鍵束をハチへと投げつけた。
「上手くやりなよ?」
ユイはそれだけを言うと、イキナリしゃがみこむ。
そして、次の瞬間。
バサァッ
ユイの背には白い翼が生え、バサリと音を立てた。
会場内が言葉を失うなか、ローとキッドはニヤリと笑った。
"やはりな"と。
そしてその沈黙は、一人のルーキーによってぶち壊される。
「ぁぁぁぁぁああああああああああああああ!?」
ドゴォンッッ
大きな音をたてて現れたのは、麦わらのルフィだった。