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「はっちん…」
鎖に繋がれ、グスグスと涙を流す人魚。
ユイは人魚に近づいた。
「ねえねえ、人魚さん。」
「え…、私?」
グスッと涙を拭い、ユイを見る人魚。
ユイはニコリと笑った。
「うん、そう。
私はユイ、貴女は?」
「わ、私は、ケイミー。」
「そう…。
ケイミー、さっき"はっちん"って言ってたけど、それはタコッパチ…じゃ無くて、たこ焼き屋の?」
ケイミーと名乗った人魚は、目をパチクリさせてから、表情に元気を取り戻した。
「そう、そう!
そのはっちん!
もしかして、はっちんと友達!?」
「ん〜、まあ、そんなトコかな。
そっか、タコッパチの友達か…。」
ユイは少し考えて、何か決心したようなキリっとした表情をみせた。
「…出来れば、何も問題を起こさずに済ませたかったんだけど、仕方無いか。」
「へ…?」
何が何だか解らないといった表情でユイを見るケイミー。
ユイはニッと笑い、ケイミーの頭を撫でた。
「大丈夫。
ミンナ助けてあげる。」
「ど、どうやって…」
「まあ、安心してて?」
ユイはクスクスと笑い、オークションの開始を待った。
オ ー ク シ ョ ン
開 始 ま で
あ と 5 分