「放してよ!痛いっ!
 あんた達なんか!はっちんがぶっ飛ばしに来ちゃうんだからねっ!」



入ってきたのは一人の人魚、まだ若く、可愛らしい容姿をしている。



「…あ〜あ、可哀想に。
 痛そう…。」



バチンッと頬を叩かれたその人魚は、床に倒れ込み頬を腫らし鼻血が出ていた。



「うぅ…っ」



涙を頬に伝わす彼女を見て、ユイは思わず殺気を漏らしてしまった。

そして、ザワリと、ユイは背後から強い覇気を感じた。

次の瞬間、その人魚を殴った人間が泡を吹いて倒れ込んだ。



「……レイリー。」

「お父さんと呼べ、パパでもいいぞ。」

「死ねば良い。」



尊敬の眼差しを向けたユイだが、その後のレイリーの言葉にまた顔を嫌そうに歪めた。



「おい…、じいさん。
 アンタだろ、今の覇気!
 …一体何者だ…!?」



レイリーの隣にいた巨人がレイリーに話しかける。

するとレイリーは持っていた酒を一口飲み、クツクツと笑った。



「ふふ…。
 コーティング屋をやってるジジイだ。
 わしは若い娘さんが大好きでねェ…」



ニタリと笑うレイリーを見て、ユイはより一層顔を歪めた。



「変態ジジィが。」

「何だ、嫉妬してるのか?」

「ちげぇよハゲ。」



ユイはギッと睨みを効かし、レイリーに背を向けた。


オ ー ク シ ョ ン
開 始 ま で
あ と 1 0 分


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