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時 と 瞬 間
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「お前が情報を渡せば、脚を戻す事を考えてやってもいい」


それまでは返さない、とばかりに私の脚を軽々と持ち上げる。
ニヤリと悪人顔で笑ったその人を見上げる。
足が、断面図が、その状態にくらりと来たものの、なんとか意識を保って彼を見上げる。
私の足を持ち上げるその腕に黒い刺青が多数彫られている事に気づき、ぞわりとする。
彼の威圧感か、それとも私の恐怖心からか、周りの空気が重く感じる。


「情報、なんて、・・・ヒッ」


凄まじい威圧感、そしてさらなる恐怖。
意識が飛びそうな感覚。上手く呼吸ができない。


「そうだ。お前はどこから来た。俺を助けた目的は何だ。」
「ど、どこ・・・って、だから、さっき言ったように、日本っていう国の東京って都市で生まれて育って、気がついたら空の上です。私も解らないんです、あの、」
「余計な事は喋らなくていい。次の質問に答えろ。俺を助けた目的は何だ。」
「目的もなにも、私が空から落ちてきた時にちょうどあの、大きい男の人があなたに殴りかかっていて、その・・・、えっと、いてもたっても、いられなくて。」
「・・・」


もう、本当に・・・何が起きているの?
足が切られたのに、何で血が出てないの?
痛みは?
恐怖で頭がイっちゃったのだろうか。


「じゃぁ次だ。俺を助けた時の風はどうやって起こした。"能力者"か?」
「私にも・・・ッ、私にも、よく、よくわからなくて、私が空に飛ばされる前に、変な白い空間にいて、私には力がある、とか、変な本とか、とにかく私にも、私にもよくわからないんです・・・っ!!」
「悪魔の実は?」
「知らないです・・・ッ!!」
「・・・」


ふむ、と考えるように宙を見るトラなんとかさん。
私の足は、まだ彼が持っている。

「よし。お前をここに置く。」
「え?・・・は?」
「聞こえなかったか?お前をこの船に置くといったんだ。」
「船!?え、ここ船なんですか?いや、それよりも、置くってどういう、」
「お前に興味が湧いた。お前の能力にだ。だからお前を俺の船に置く。」
「え、私の意見は」
「あ?」
「・・・」


船、だったなんて。
それよりも、私に興味が湧いたから船に乗せる?
私の意見は?総無視?
でも・・・、私は今どこに居るのか解らない。
何が私に起きてるのかもわからない。能力って何?
この状態であんな物騒な"喧嘩"がある世界に放り出されるよりは、ここで雑用でも何でもしている方がまだマシなのかもしれない。
それに・・・うん、まだこの病室みたいな部屋しか知らないけれど・・・綺麗、そう・・・だし。


「わ、わかり、ました。船に居させてくれるならお願いします。でもその前に・・・足を返して貰えませんか。」
「ふっ、上等だ。」

ルーム、という彼の言葉とともにさっきと同じ異次元のようなドームが現れ、気がつくと私の足が元通りになっていた。

どんなマジックだってのよ。


「お前の部屋は後で用意させる。今はここで大人しくするんだな。」


満足気な顔をしながらトラ・・・トラファルガーさん?は部屋を出る。
ああ、私の運命やいかに。
これは夢でありますようにと、今日一番多く祈った言葉を思い浮かべながら、私は疲労感と暖かい布団に誘われて目を閉じた。


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トラなんとかさんがなかなかヘタレ(エセ)ドSにしかできない(困惑)


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