「五条先生…」 「なんだい?」 昨日言っていた名前の買い物。 それを一年の子を迎えに行く前に済ませておこうとなった訳であるのだが、現在の悠仁と恵の手はこれでもか!とばかりにいっぱいだった。 「いくらなんでも買いすぎ!!」 「名前ちゃん可愛いしなんでも似合っちゃうからさー」 相手の要望で待ち合わせ場所が原宿という事もあり、服から靴、下着屋まで何でもありなここで五条は(主に自分好みの)大量の服を名前にバンバン試着させてはバンバン買うという大人買いっぷりを披露したのである。 「制服も超似合ってるしね。やっぱ僕センスいいわ」 ((それは確かに)) 五条がカスタムしたという名前の制服は丈をワザと短くしてお腹が見える仕様になっており、上と同じく短めのスカートは名前の細いウエストを更に際立たせるかのように茶色のベルトで止め、そこから伸びる黒ストッキングを履いた細い足をセクシーに見せていた。 「あと、これも…すごく嬉しいです…!」 そう言って名前が指し示したのは手首に付けている黒いカフスブレスで、呪文の書かれている腕輪をうまく隠す役割を担っていた。 「気に入ってくれたようで良かったよ」 「先生が優しいことはよく分かりました。ですが、それ以上は犯罪なのでダメです」 身をかがめて名前の耳に囁く五条を制止する恵と、素早く自分の方に引き寄せて避難させる悠仁。 「あ。」 「今度は一体なんで─── 」 す?と問いかけようとした恵だったが、五条の見ている方向に視線を遣ると同時、固まった。 そこには自分たちと同じように黒い制服に身を包み、けれどもどう見ても恫喝しているとしか思えない現場を作り出している女がいたからだ。 「え…俺たち今からアレに話しかけんの?」 どう見ても警察に通報した方がいいようなと言いかける悠仁を止め、その人物に向かっておーい!と呼びかける五条。 その声に振り返った女は何故だか悠仁と恵を見てハァと肩を落としたが、名前の方を見た瞬間勢いよく駆けてきた。 「え…!?」 「ちょっ!!」 名前目がけ真っ直ぐに駆けてくる女から名前を庇うように抱いて挑む悠仁だったのだが、 「可愛いーっ!!!!」 「…は?」 「…え?」 「ちょっとアンタどいて!」 悠仁から名前を奪った女は、高専の一年よね?同じクラスよね?私は釘崎野薔薇!と一方的に自己紹介しては名前の顔をマジマジと見つめ、お人形さんみたい…と目を輝かせている。 「お名前は?」 「…え?あ、名前、です」 「名前ちゃんね!!」 「…先が思いやられるな」 名前をぎゅうぎゅうと抱き締めて頬ずりする野薔薇を見て、男子一同苦笑いするしかないのだった。 ×
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