ねえ、おばあちゃん。
なんだい?
わたしが、おばあちゃんのことまもってあげるからね!
ふふっ、ありがとうよ。
だからさ、おばあちゃん


「もう、苦しまなくて良いんだよ」



少女は1人、墓石の前でそう呟いた・・・





01.青龍組事件



「ねえちゃん、マルボロBOXでなぁ」
「おじちゃん今朝も買ってたよ?あんまり吸いすぎると身体に良くないからね?」
言いながらご所望の煙草を手に取るとお金と引き換えに手渡し笑顔で客を見送る。

大好きなおばあちゃんが事故で亡くなってから5年が経った。いまだにおばあちゃんとの思い出が濃い毎日を送っているため、仕事で忙しくしていなければ悲しさで鬱々となってしまう。そのため、このコンビニには労働基準法ギリギリまでほぼ毎日働いている。
趣味は特にない。そのためお金も使わない。ただがむしゃらに毎日を過ごすだけ。資格も何も無いが体力と愛想だけはあるので店長にも褒められる。「よく働いてくれる子が入ってくれて良かった」と。


チリンチリン
店の鈴が鳴れば入口に向かって「いらっしゃいませ」と笑顔で言う。いつもなら。
が、その集団を一目見て言葉が無くなった。

(・・・青龍組)

青龍組。それはこの辺りに最近居座り始めた血の気の多い天人集団だ。鋭い爪や牙が特徴で体も成人男性の3倍はある。そして何より女が大好きなのだ。強姦乱暴は日常茶飯事だと噂されているのだ。

カウンター下には非常時の為のベルがある。これを押せば裏にいる従業員に伝わりすぐ真選組を呼ぶ事ができる。が、生憎この時間帯は私だけのシフトとなっている。店長が来るまでまだ1時間はある。・・・どうしたら


「よお、ねえちゃんよぉ、あそこの酒全部譲ってくれない?」
リーダーであろう1人がニヤニヤとカウンターに近寄ってきた。その言葉と同時に私の身体をジロジロと品定めするかのように上から下まで舐めるように見ていく。
(怖い・・・・・・)
ぐっとカウンター下にある左手を握り、恐る恐るそれと目を合わせる。その瞬間、自分でも何が起きたか分からなかった。本当に一瞬だった。天人は鋭い爪を私の胸元めがけビリリと破くと、それが合図となったのか他のメンバーも、やれ酒だやれつまみだなどと好き放題に持ち去って行く。

目の前に居るこの天人から逃げなければ、私は殺される。が、恐怖のあまり声も出なければ体も動かない。それは好都合だと思ったのか天人は私を無理やりカウンター上に寝転ばせ開いた胸元を舐め回す。更に服を破り続ければ私の身には下着しか残っていなかった。羞恥心も何も無かった。ただあったのは恐怖だけ。声を出されては面倒だと思ったのか、破った服を私の口内にねじ入れ両手も後ろ手で縛られる。

(殺される)

目の前のこいつに。天人に。
憎い、怖い、憎い、怖い、憎い、憎い憎い・・・


おばあちゃん、おばあちゃんはなんで死ななければ行けなかったの?天人達が攻めてこなければあんな事故起こらなかったのに・・・
お母さんもお父さんも・・・・・・


ぷちん


何かが切れた音がした。それは私の理性が壊れた音だった。

殺せ、天人を。殺せ、憎いもの全てを。
殺せ、−−−−。




「おい!さっさとぜんぶ持っていけ!」
「お頭、そいつどうするんで?」
「ああ、こいつは持って帰って遊んだら捨てちまう。他の豚達みたいにな」
立てと腕を引き上げると同時に天人の腕からは血飛沫が飛び散った。ギィヤァアアと叫びながら腕を離すと少女を見て目を見開く。

「・・・に、人間じゃねぇ?」
少女は口内に入った緑色の体液をペッと吐き捨てるとゴキュゴキュと音をならし手首の関節を外しながら縄を解きまた関節を元に戻す。そしてトンっとカウンターから跳び降りると頭と呼ばれた天人の近くに寄り思い切り足を振り上げ腹を目掛けて勢いよく蹴りあげた。それはもう少女、いや、人間の力では考えられない程の威力で店の奥まで飛ばした。自分より3倍以上の体格の天人をだ。

「・・・っぐ、がはっ、」
「ねぇ、貴方に感謝しなくちゃいけないわ」
「か、感謝だ・・・と?」
「そう、私を引き出してくれた感謝を」
お頭ぁ!!!!と叫びながら少女に飛びつく他の天人達はまるで蝿を手で叩き落とすかのように視線をそちらに合わせず次々と片付けていった。もうそこは先程までのコンビニではない。商品の代わりに倒れた天人達とその天人達から流れ出る体液の海となっていた。
少女は残る頭の頭を握り顔を近付けこう呟く。

「さようなら、ゴミクズ」









数時間後、店長の絶叫とパトカーの音が夜中の歌舞伎町に響き渡った。
店内は残虐で、天人達は全員息を引き取っていた。店奥には頭部が弾け飛んでいる天人が、倒れていたという。

そして少女の行方を知るものはこの日から誰も出てくることは無かった・・・。





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