そう口にした途端、ミノンの頬はぱっと紅くなった。か、可愛い……仮にも歳上の彼女に対して失礼なんだけど。でもやっぱり、妹みたいっていうか。

「……さてと。」

最初は色々とフクザツだったけど、こんな二人が見られて、オレは本当にラッキーだ。昨日の嵐ありがとう!

「オレ、そろそろ帰らなくちゃ。色々とありがとな、ごちそうさま。」

「えっ、あ、あの、お見送りを……。」

「門までで平気だよ。」

荷物を持って庭に出ると、外れでサラマンダーがタバコを吸ってるのが目に入った。オレの姿を見て、タバコの火を消す。

「……帰るのか。」

「おう、またな。」

「………ああ。」

サラマンダーがそう応えてくれた時、後ろでミノンが派手に転ぶ音がした。階段の縁に躓いちまったらしい……まだ足元が覚束なかったんだろう。わぁあぁ支えてやってれば良かった!

「った〜……。」

しかもあろうことか顔を押さえてる!何てこった!オレ、一生の不覚!!

「だ、大丈夫かミノン!」

いくら治せるったって、早くしなきゃ痕が残らないとは限らない。大慌てで戻ろうとしたら、やっぱりオレが行くまでもなくサラマンダーが駆け寄った。彼女を助け起こし、そのままの勢いでひょいと抱き上げる。

「ったく、あの縁には気を付けろとあれほど……。」

前にも思ったけど、仮にも成人した女性を片腕で抱えるってどういう筋力とバランス感覚なんだろうか。離した左手でミノンの手を退かさせると、サラマンダーは武骨な指で傷を軽く拭ってチャクラをかけた。それから徐に──ミノンの後頭部へ手を回す。

(………え?)

そのままグイと持ち上げると、サラマンダーは彼女にすっと顔を近付けた。そう、まるで──口づけでも交わすみたいに。

何せ慌てて近づきすぎちゃったもんだから、しかもオレからちょうど見えない角度だったもんだから、ずいぶん上で何がされてるかはよく見えなかった。見え、なかった……けど……。

サラマンダーが解放した後のミノンは、これ以上ないほど頬を染めていた。対照的に、サラマンダーは全く気に留めてない様子だ。……え、ちょっと、ちょっとこれ……。

「……本当に、おまえは危なっかしい。」

低い声で囁く様に言ってから、サラマンダーはミノンを地面に降ろした。顔を真っ赤にしたミノンがこくりとだけ頷く。

「………じゃ、じゃあな、二人とも。元気にやれよ。」

落ち着け、オレ。今のって、だって、ただのキスじゃないか。そんな動揺することない。子供だってすることだぜ?別に、何らおかしいことはないはずだ。

そう、なんだけど……。



「フライヤ〜……。」

「……また来たのか、今度はなんじゃ。」


あの二人、ぶっちゃけどこまで進んでんの?

後日ブルメシアまで押し掛けたオレが、いきなりそんなことを訊いてフライヤに笑われたのは言うまでもない。




fine.



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