Long story


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5

 それほど難しい話じゃない。
 何事もなく、誰にも気づかれず、空気のように生活したい。
 目立つためには行動を起こさないといけない。
 でも、目立たないためには何もしなければいいのだ。
 そう、俺は何もしなくない。
 それなのに、どうしてこんなにもうまくいかないのだろう。


Side Taisei


 肉体労働は、その他の労働よりも疲労の蓄積も早ければ苛立ちの蓄積も早い。それは俺だけに限らないようで、労働開始から1時間もすると作業場の空気が全体的にピリピリしてくる。
 今日の作業内容は、これまで作った部品が箱詰めされたものを輸送車に運ぶというものだった。箱詰めの中身が軽い日には大した作業ではないので作業場の空気もそれほど重くはならない。しかし、中身が重い日の作業場はいるだけで気が滅入りそうになる。
 看守に喧嘩を売るような物好きな囚人はいないが、囚人同士の喧嘩はまず間違いない。看守も看守で、自分が喧嘩を売られたらやれ独房だなんだと騒ぐくせに、囚人同士の喧嘩には一切口を挟まない。誰が怪我をしようが、死のうが、知ったことではないらしい。まぁ、喧嘩の数がひとつふたつならともかく、あちこちで怒っているのだから気持ちも分からなくはないが。しかし、それにしても。



「てめぇ、何見てんだよ」

 なんて、到底わけのわからない理由で喧嘩をふっかけられた方はたまったものではない。

「はぁ…」

 何で俺がお前みたいな汚い顔見なきゃいけねぇんだよ。頭沸いてんのか。
 これまで自分が標的になることがなかったので、標的になっている奴を見ても気の毒にも思わなかったが、いざ標的になってみるといかに運が悪く理不尽で気の毒かということがよく分かるというものだ。そう思ってため息を吐いたら、汚い顔が更に汚くなった。

「なんだてめぇ、その態度は」
「その態度もこの態度もないだろ。まじめに作業してんだから、どいてくんねぇかな」

 普段どっかの馬鹿に悪態ばかり吐いているから、なるべく気に障らないように言葉を選ぶのも大変だ。というか、汚い顔がまた更に汚くなったところを見ると、どうやら気に障らない言葉選びには失敗したらしい。俺は穏便に済ませたいのに、どうしてその思いを受け取ってくれないのだろう。

「どけだぁ?新人のくせに何様のつもりだ」
「別に何様でもねぇけど…」

 苛立つな俺。我慢しろ俺。
 いくら相手が理不尽なことを言ってきても、なるべく穏便に済ませるんだ。

「何だその物言いは。Qの玩具か知らねぇけどな、今ここに奴がいないってことが分かってんのか」
「は?くいーん?」

 何言ってんだこいつ。俺がQの玩具…ってことは、そのQってのは要のことか。
 要が一体なんだっていうんだ。



「すっとぼけてんじゃねぇよ!ぶっ飛ばすぞ」


「いや、わけわかんねぇし」

 何で俺がお前みたいな汚い奴にぶっ飛ばされなきゃいけないんだよ。
さっきからちょいちょい苛立つ奴だな。
 いや、待て待て。落着け。俺は穏便に済ませたいんだって。
 こんなところで無駄に時間喰いたくないし、注目だってされなくねぇの。
 頼むから、俺の気持ちわかって。


「何だてめぇ、女みたいな顔しやがって俺に逆らうのか!ムカつくんだよ!」





「はぁ?」




 今こいつ何つった?
 誰が、女みたいな顔だって?

 ……待て、落ち着け。気のせいだ。きっと苛立っている俺の空耳だ。
 穏便に済ませるだろう。苛立つな。

「んだその眼は。その女顔をボコボコにされてぇのか」


 気のせいだ……。

 気のせい、気のせい、気のせい……


「おい聞いてんのか女が―――ぐふっ」




「……あ!」

 しまった、と思った時には既に遅かった。
 目の前に会った汚い顔が、地面に横たわっている。周りの視線が一声に集中する。
 ああもう全く、どうして俺の気持ちを汲んでくれないんだ。

「てめぇ…よくも…!」

 いや、それはこっちの台詞だよ。よくも俺に殴らせたなてめぇ。
 そもそもよくも俺に目なんかつけてくれたな。
 何見てんだよ?お前こそ自分の顔くらい鏡で見て来い。そして誰にも見られない顔だってことを察せ。
 新人のくせに何様のつもりだぁ?新人だからってなんだってんだよ。会社に就職したんじゃあるまいし、年功序列社会なんて当の昔に滅んでんだよ。能力社会なんだよクソが。
 おまけに女顔だって?俺はそれを言われるのが一番嫌いなんだ。


「あー、考え出したら一気に苛立ってきた」
「ふざけるなよてめぇ!俺に手ぇ出して、どうなってるか分かってんだろうな!」

 俺としてはこの段階で治まってくれることを祈っていたが、どうやらそうもいかないようだ。汚い顔がそう言って立ち上がると同時に、他の囚人が十数人集まってきた。どいつもこいつも、同じように汚い顔をしたやつばかりだ。これぞまさに、類は友を呼ぶというやつだろう。
 何にしても、面倒臭いこと極まりない。


「知らねぇし興味もねぇよ」

 俺はただ、普通に作業を続けたいだけなのに。
 勘弁してくれ。


**

 最悪だ。本当に最悪だ。
 俺はただ、目立つことなく普通に囚人生活を送りたかっただけなのに。
 だから、要の玩具にだってなったのに。
 それなのにどうして、どうしてこうなってしまうんだ。



「派手にやったな、2052番」
「…どうも」

 俺の周りに横たわる囚人たちを見ながら、作業担当の看守は興味なさげにそう言った。倒れている囚人たちの番号を機械に打ち込む動作は実に手馴れているところを見ると、いつものことなのだろう。


「こいつは…、572番か」

 そう言って看守が驚き表情を浮かべて見ているのは、最初に俺に難癖をつけてきた汚い顔だった。20人近く横たわっているのにも動じなかった看守がたった1人に驚きの表情を浮かべるなんて。
 もしかして俺、予想外にヤバイかんじ?

「こいつは35棟の責任者だ――いわゆる棟のボスだ。棟内を統括するために1つの棟に一人責任者がいて、棟全体を束ねているんだ。…ただでさえ顔が売れてるのに、また有名になるな」

 まじかよ。棟を束ねてるやつとか。棟のボスとか。
 もしそれが本当なら、めちゃくちゃ最悪じゃねぇか。いや、看守が言うんだから嘘ってことはないだろうから、これ以上ないくらいに最悪だ。

「だが…責任者か……Qに目をつけられやすい分、一般受刑者より質が悪いな…」

 看守はそう言って苦笑いを浮かべた。


「さっきから…、Qって一体何なんだ?」

 ずっと気になっていたが聞く機会を逃していたことを問うてみると、看守は俺が殴った奴が572番だったと知った時より驚きの表情を浮かべた。まるで、俺が何も知らないことを信じられないといった表情だ。そんな顔されても、知らないものはしらないんだ。どうしようもないだろ。

「お前、778番から何も聞いてないのか」
「じゃなきゃ聞かない」
「……お前が今同室の778番は、ロイヤルの1人だ」

 それは知っている。最初に会った日に自分で公言していた。
 だが俺が知りたいのはそういうことではなくて、それが何を意味しているかだ。

「ロイヤルといのうは、ここで特別に与えられる地位のようなものだ。ダイヤ、ハート、スペード、クラブの10、J、Q、K、Aがそれぞれ4人ずつ、計20人までがロイヤルになることができるわけだが現在この牢獄には12人のロイヤルがいる。ロイヤルの中にも地位があって、10が一番下でJ、Q、KときてAが一番上。上にいけばいくほど、この牢獄内での待遇が変わる。778番はスペードのQのロイヤル……この牢獄には5千人の囚人が収監されているが、奴の名前を知らない奴はいない」

 まじかよ。あいつ、馬鹿のくせにそんなにすげぇ奴だったのかよ。
 ああそうか。あいつの玩具ってだけで有名になるっていうのは、そういうことだったのか。
 ていうか俺、平穏に暮らすために要の玩具になったはずなのに、要の玩具になった時点で平穏な暮らしがなくなっているも同然じゃないのか。これを本末転倒と言わずになんという。
 …よそう、考えるのは。余計に虚しくなるだけだ。

「ロイヤルになると、どんな待遇があるんだ」
「そうだな…例えば、お前が収監される前に778番は一人で部屋を使っていてだろ。それもロイヤルの特権だ。それから、普通なら独房に入れられるようなことをしても、ロイヤルというだけで免れることも多々ある。多分、看守を殴ったくらいじゃあ独房まではいかないだろう」
「なんだそれ、差別じゃねぇか」

 俺なんかちょっと暴言吐いたくらいで独房に放り込まれたってのに。そのせいで今日のこと以前に少し目立っちまったってのに。殴っても独房に入れられないって、おかしいだろ。いくら囚人だからって、そこまで差別があっていいのか。

「それがロイヤルだ。それだけの特権の与えられるほどのことをしているということだ」
「…それって、一体どんなことだよ」
「それは……」

 看守が話を続けようとしたところで、その声を遮るように手にしていた機会がピーピーと音を鳴らした。看守はその機械に視線を落とした瞬間、顔を顰める。


「他の所でも乱闘がったのか……これは予想以上に作業が遅れるな。2052番、さっさと作業に戻れ」

 いや、話の続きは?
 聞きたかったが、看守が頭を抱える姿を見たらこれ以上引き止めることはできなかった。
 一体何がそんなに気重なのかは分からないが、頭を抱えたいのは俺の方だ。
 俺の周りに横たわった囚人たちから、少し離れたところでは普通に作業が続いているように見える。しかし、作業をしている大半が状況を窺うように時々こちらを見ているのが遠目でも分かった。まったく、どいつもこいつもまじめに作業しろってんだ。
 結構な距離があるので、顔が見えなければもしかしたら…なんてことも考えもしたが、このブロンズの髪が全てを台無しにしていると気が付くのに早々時間はいらなかった。

 **


 部屋に戻ると、扉を開ける前から甘ったるい匂いが鼻についた。急激に部屋に入りたくなくなったが、しかし他にどこに行くところもない。仕方がなく扉を開けると、案の定、ソファで要が煙草を吸っていた。それも、机上の灰皿には既に4本もの吸殻が転がっていた。

「大晟、喧嘩強かったんだな」

 俺が煙草に文句を言うよりも、要が口を開く方が早かった。
さっきの今でもう話が伝わってるって、おかしいだろ。一体どういう情報収集能力してんだ、こいつ。

「…あれが弱かっただけだ」

 あの汚い顔は態度の割に本当に弱かった。
正直、どうしてあんなのが棟を束ねていたのか不思議なくらいだ。

「でも、十数人いっぺんにやったんだろ」
「全員弱かった」
「はは、かっちょいー」

 要はそう言って5本目の煙草の火を灰皿に押し付けたかと思うと、ソファから立ち上がって俺のいる方に歩いて来る。甘ったるい匂いが強さを増して、頭が痛くなってきた。今すぐにでも喚起したいが、寄ってきた要が俺の腕を掴んで引き寄せられたので、動くことが出来ない。顔がすぐ目の前にある。甘ったるい匂いが、頭の中まで入ってきてしまいそうだ。

「近寄るな…」
「たかだか棟の頭が俺の玩具に手出そうなんて、随分と舐められたもんだな」

 はい出た、人の話を聞かない病。
 無表情でそう言いながら俺の頬を触る手はいつも通り冷たく、思わず顔をしかめてしまった。しかし、俺の反応なんてまるで見ていないような要は、無表情のままに紫色の瞳を輝かせている。一体どこを、何を見ているのだろうか。


「おい」

 何だか無性に気味が悪くなって声を掛けると、要の視線が俺を見下ろした。どうやらこんどはちゃんと、俺を見ているようだ。

「今日の夜は遊んであげられないけど、大人しくしてろよ」
「は?」

 それは好都合だが、一体どういう風の吹き回しだだろうか。ここにきてからこれまで、一夜だって抱かれなかった日はないというのに。
後からやっぱり気分が変わった何て言ったら承知しないからな。

「それから、絶対に部屋から出るなよ」
「…なんだよ、急に」

 別に出て行くような予定はないが、改まってそんなことを言われると気になる。

「守らなかったら、約束違反な」

 どうやら今日はやけに“人の話を聞かない病”が進行しているらしい。
 きっともう、何を言っても無駄だ。


「分かったよ」

 そう言うと、要はその返答だけ聞こえたらしく微笑した。
 まったく、自分に都合のいいことしか聞こえない便利な耳だ。



「よし、夕飯までに何回かしよう」
「はあ?」

 さっきは好都合だと思ったけど、とんだ思い違いだった。これでは、夜できないから早めるというだけではないか。それも今、何回かって言ったか。朝から労働して帰ってきてそれほど時間も経ってないのに何回もする元気があるなんて、一体どういう体力してんだよ。
 多分、こいつは睡眠欲とか食欲とかの8割方が性欲にもっていかれているに違いない。絶対にそうだ。

「今日の夜は忙しくなりそうだから、今のうちに燃料チャージしないと」
「いや意味が分からん」

 どう考えたって疲れるだけだろ。
 燃料なんてチャージできないだろ。むしろ使い果たすだろ。

「俺には大晟の喘ぎ声が原動力なんだって」
「死ね変態が」

 そんなことを言ったところで、一度その気になった要は止められない。
こうなったら、夕食までに終わらせることを最優先に考えることの方が先決だが、多分、相当運がよくない限りは夕食にあり付けることはないだろう。
 いや、今日は朝からろくでもないこと続きだったんだ。1日の最後に少しくらいいいことがあってもいいのではないだろうか。
 俺はすっかりその気になってしまった要に押し倒されながら、微かな希望を胸に抱いた。


 **


 まぁ、あれだよな。

 朝からの不運を経て、そんなに都合よく運がやってくるわけなんてないんだよ。世の中そんなもんだって。いいことは1回きりで終わるくせに、悪いことばかり何度も起こるもんなんだよ。
 俺の微かな希望は見事に打ち砕かれ、今日も今日とて夕飯にあり付くことはできなかった。淡い希望なんてそうそう抱くもんじゃない。それがどれだけ小さいことでも、叶わなかったときのショックはことのほか大きい。加えて、今すぐにも寝たいほど疲れているのに止めどない空腹で全く寝つけないことが、ショックを増長させている気もする。



「はぁ」

 溜息は幸せを逃がすというが、俺の幸せはどうせもう逃がしつくしていると思う。もし幸せが残っているならば、脱獄して幸せな生活したいなんて言わないから、毎日ちゃんと3食食べたい。俺はそれだけで幸せだと言うから。しかし、そんな願いすらままならないのだから、やはり俺の幸せはもう逃げ尽くしているのだろう。

「大晟…まだ起きてたのか」

 いけしゃあしゃあと何を言うか。
 俺が好き好んでこんな時間(何時か知らねぇけど)まで起きていると思っているのかこの馬鹿は。減らず口も大概にしろ。

「誰のせいで寝れないと思ってんだよ」

 そう言って睨み付けると、ソファに座っていた要は苦笑いを浮かべた。

「これやるから、機嫌直せよ」

 要が差し出したのは、銀色の何かに包まれた何かだった。
 なんだこの、見たこともない素材の物体は。受け取って中を開けると、茶色い何かが顔を出す。それなりに固いが、少し力を入れたら割れてしまいそうだ。

「なんだこれ」
「チョコレート」


「うそだろ……?」


 チョコレートと言えば、150年前くらいまでデザートとして普及していた食べ物だ。学校で習う歴史の教科書に紹介されていた。世界中の誰もが口にしていた食べ物だが、温暖化の影響でその原料であるカカオが絶滅しそうになったため、その製造が禁止されたのが約100年前。それから数年は闇取引なんかで売買されていたらしいが、それも80年前には完全になくなったと言われていた。しかし、今も世界のどこかでは密かに製造されていて、本当の大富豪のみが口にできる幻のデザートなんて呼ばれている。だが、俺はそれすらも都市伝説程度にしか考えていなかった。
 それがまさか、本当に実在していたなんて。それどころか、本当の大富豪どころか底辺の囚人になってから拝めるなんて、そんなことがあっていいのか。俄かに信じられない。信じろと言う方が無理な話だ。

「嘘じゃねーよ。看守ってかなり給料いいらしいから、部屋行くと時々レアアイテムに出会えたりするんだ」
「まじかよ…」

 確かに24時間体制で犯罪者の面倒見てるんだから、それなりに給料はいいだろうけど。まさか幻のデザートを手に入れられるほどもらってたとは。元々同情なんてしたことなかったけど、ますます同情の余地がなくなった。
 これがチョコレートということは、この銀色の何かはアルミホイルというやつだろう。数世紀前まではサランラップなるものと共にご家庭に必ず常備されていたらしい。一体何に使うのか、想像もつかないが。


「…うまっ」

 何だこの、デザートの常識を覆す味は。
 甘さの中にほどよい苦みが絡んでいて、表現には困るけど…、なるほどカカオが絶滅するまで食べつくすわけだ。これは美味い。今までに食べたことのない美味さだ。

「気に入った?」
「うまい。超うまい。めちゃくちゃうまい」

 俺がこれまで食べてきたどんな食べ物よりも美味い。
 たった一口だったが、はっきりとそう断言できる。

「大晟、それはずるい」
「は?」

 突然笑い出したかと思うと、何言ってんだ。

「いつもそんなだったら、もっと優しくしてやるのに」
「……余計なお世話だ」

 悪かったな、普段から可愛げがなくて。
 ていうか、可愛げなんてもとめてないから。いらねぇからんなもん。


「ま、普段から俺の下で喘いでる時も十分そそるからそれでいいけど」
「黙れ」

 何でこいつはいちいち一言余計なんだ。一言どころじゃない。10何か喋ったら、そのうち9は余計なことだ。まともなことを口にしているのを聞いた試しがない。

「はーい。じゃあ、黙るがてらそろそろ行くかな」

 要はそう言うと、ソファから立ち上がった。
 どこに行くかなんて聞く気はない。あまり興味はないし、多分、聞いても答えないだろう。

「一生帰って来なくていいからな」
「うわ、ひっでー」

 入口に向かう背中はそう言っているが、本当に酷いと思っているようには思えない声色だった。どこに何をしに行くのか知らないが、この様子だときっと何事もなかったかのように帰ってくるに違いない。



「さっさと寝ろよ」



 ふと振り返った要が俺を見据えて呟いた。
 つい先ほどのそれとは打って変わって低く、全く感情のこもっていない声。そして取ってつけたような、貼り付いたみたいな笑顔。
 紫色の瞳が感情を写さないのは相変わらずだが、暗闇の中で光るそれが今日はいつにも増して不気味だ。いつも見ているはずなのに、その瞳を見ていると俺の感情までも持って行かれそうだ。


 寒気がした。




暗闇の中に浮かぶ冷酷で残酷な色の瞳
(まるで、知らない誰かを見ているようだった)


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