□ 2011/04/22 19:05

37111mさんは、「夜の車内」で登場人物が「誓う」、「試験」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927


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自分の事を好きか嫌いかで言うなら嫌いだ。
厳密に言うと、自分の事は大好きだけれど自分の癖に思い通りにいかない自分が嫌いだ。
自分が大好きな自分はこんなもんじゃない。もっとまともな人間の筈だ。
それが、どうして。
とにかく自分の全てが嫌いだ。
能力は人並みにある筈なのに、何かがうまくいかない。人並みの能力さえ無いのかと一瞬疑ったこともあったが、それは被害妄想にすぎない。なぜなら本当に人並みの能力が足りてない人間も見てきたし、能力があるにもかかわらず自分は能力が無いと思い込んで被害者面をする痛々しい人間も見てきたから。彼らは明らかに自分とは違う。
それにしても、自分はどうにもわけがわからない。
昔からとにかく要領が悪い。
学生時代を例に挙げれば、とにかく勉強が嫌いで試験は大抵赤点だった。だけどそれと全く同等に、親や教師に怒られることが嫌いだった。
最低限の勉強だけをしっかりこなすようにしていれば怒られることも無いし一番楽だったろう。しかし自分は一切勉強もやらず、案の定課題で必要以上の勉強をする羽目になり、その上大人にも怒られる。それで毎度心底嫌な思いをする。次こそは、と考えながらその次が来る事もなく学生生活を終わらせてしまった。
毎回、必要最低限だけ終わらせて楽をしようと努力はしたつもりだった。けれど毎回、駄目なのだ。いざ机に向かい、テキストを開いてシャープペンシルを握る。すると頭が真っ白になって、テキストの文字が溶ける。思考回路が活動を停止する。かといって、勉強が全く出来ない体質なのかと言えばそんなことは決してない。この課題を終わらせなければ進級出来ない、というような絶体絶命の状況に追い込まれると苦しいながらも手は動く。つまり普段も出来ない筈がないのだ。
それなのに、絶対動かない。散々痛い目に合って散々後悔をしても、動かない。甘すぎる自分に泣けてくる。
正真正銘の馬鹿なのだろう。自分に甘すぎる大馬鹿者。いっそ馬鹿につける薬は無い、と開き直ってしまえば楽だろうに、せめてもう少しマシな人間になりたい自分もいるし、なにせ自分はあの痛々しい奴らと同格になんてなりたくない。
けれど、どちらかに振り切れることも出来ない。
明らかに違うと否定するのは正しいことなのか?
それともやはり自分もそう思い込みたいだけの痛々しい人間なのか?
堂々巡りが始まって、頭がパンクしそうになる。
わかったことは、どっちにしろ自分は阿呆で醜い大馬鹿者だという事だけ。

「わからないけどさ、」
しばらく黙って話を聞いていた恋人は、ハンドルを握って正面を向いたままぽつりと呟いた。
街灯の光に照らされる横顔からは何も読み取れない。
「わからない、けど?」
「その阿呆で醜い大馬鹿者に恋しちゃった挙げ句に一生の愛を誓ってしまった人間が君の隣に座ってるって事忘れないでね」
赤信号で車を止めると、こちらを見て聞き捨てならないを言葉を交えつつそう言い放った。
「なにそれ」
「プロポーズだけど」
「なにそれ・・・」
青。
「そんな反応しかしてくれないの?」
恋人は笑いながら車を動かした。





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こう言うのもあれですが

もうちょっとさっぱりした話を書く予定でした


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