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俺達一年生じゃない奴らとひなたくんで、パフォーマンス指導が始まる。俺は特に何もやることもないので、ひなたくんと息を合わせつつステップ踏んだり二人でタイミング合わせてバク宙やらを繰り広げる。生まれ持った家のあれやでこんなことは比較的簡単にできるんだけれども、そのまま後方抱え込み宙返りとか完全に器械体操じゃねえかって思うぐらいのレベルを繰り広げてるが、それなりのところまでついてきてるので、これはアイドル科じゃなくて別の学科いったほうがよかったのではないか?と一瞬思ったがやめた。考えるのは。

「有どう思う?」
「酷い癖はなさそう。仕込めばかなりのレベルまで行くと思うよ。もうちょっと踏み込んだら一回転増えそう。」
「本当ですか〜、一之瀬先輩かなりすごい人ですよね」
「なりは、すごいですよ〜きょうかせんしゅですからねー」

こら、とたしなめるとないしょでしたね。と奏太がクスクス笑う。いや、いいんだけど。

「俺の話はいいから、奏太。」

俺たち最近行け行けドンドンですけどね。やっぱり上級生……三年生がいる『ユニット』にはかなわないなって実感してる部分もあるんです。だから三年生のお三方に指導してもらって、技術を自分たちのものにしちゃったら、夢でもなんでもなく夢ノ咲学院の頂点に立つこともできるんじゃないかって。俺達の躍進のためにもきょうりょくしてくださいね。守沢先輩、深海先輩、一之瀬先輩。
パッチリウインクで俺の方を見る、おれは気にせず肩を回す。最近動いてないからか、体の周りがよろしくない。ううーとうなりながら肩を回すが、ちょっとまだ固いなぁ。と思いつつ、会話を聞き流す。どうせ千秋がいいこといってるんだから、俺は可動域を広げるように尚も追加で俺用のいつもの柔軟を足す。奏太―背中押してー。と言うとだいじょうぶですよーと押してくれるので遠慮なくべったり地面に体をくっつける。ぐにゃぐにゃですねーと言うから、もっと曲がるときは曲がるよー。といいつつも、膝をぐっと地面についた。さっきより広がったな。と思いつつ、千秋とひなたくんのやりとりを奏太をと一緒に聞く。

「うふふ。ちあき、こんど『ふんすい』のちかくに、たっててください。『おひさま』があれば、『みずあび』もできますよ〜」
「それ風邪ひくから千秋に怒られるぞ?」
「でもちあきは『たいよう』ですよ?」
「待て待て、物理的な意味で太陽にはなれんぞ?水浴びは暖かくなるまで我慢してくれ」
「なー」

ちゃんと、がまんしてますよ。もうすこしで『うみ』にいけますし、『さいきん』はとっても『ごきげん』です!と嬉しそうなので俺はそっかそっかーと適当に返事しながら股関節あたりをほぐす。ここしっかりやっとかないと、怪我しそうだし。こわいよねー怪我。うんうん。股関節ほぐれてーと願いながら緩ませておく。

「ひなたくん、今のうちに奏太からもいろいろと教わると良い」
「一之瀬先輩、さっきのひねりのやつ教えてください」
「え……いや、いいけど。おん。なんて説明したらいいかな……」
「わぁい、一之瀬先輩に指導してもらえるなんて貴重〜!あとでゆうたくんに共有できるようにしっかり学んでおかないと…」
「『共有』?」 

ん?と首を傾げると、どうも彼らはばらばらに教わって物事を教えあうという。そうか、と言いつつ俺は双子じゃないしそんなのはそこまでなんも思わない。勝手に夢ノ咲頂点に立つならどうぞ。ってかんじ。へーとか言ってると、いい方向に変化してる気がしないか?と振られて千秋を見ると千秋は双子を見てるので、彼らの事を言っているのだろう。よその子って成長見やすいもんなー。お前、自分の子に…いや、いってたわ。うざいほど。っていうかうざがられてるけど。柔軟を切り上げて俺は千秋にそっと告げる。

「あ、千秋。背中に女の人の影が」
「ぎゃあああああああああ!!!」
「っておもったら、ゴミだったわ」
「有!!!!」

俺に飛びついてるんだからおかしくて俺はゲラゲラ笑う。ちょっとかっこいい顔してなんか思いふけってるのがむかついたんだってば。ちあきをいじめたらだめですよ。と言われたのでこれ以上は俺はなんも言ってないよ?一年生たちが驚いてこっちみてるけど、俺達なかよしだろー?と見せつけておく。一年は純粋だからなーコロッと騙されてやんの。ちょっと怒鳴りながら俺の襟元掴みながら前後に揺さぶられながら、ハハっと笑う。ドヤ顔で決めてる千秋が悪いんだってば。カラカラ笑ってると光景に驚いたあんずが俺と千秋の間に入ったが、顔真っ赤の千秋に何言われても面白くてゲラゲラ笑っていた。
そんなやりとりがあってその後ひなたゆうたを当てようとしたら、一切合財当たんなくて、俺がめっちゃ凹んだり、鉄虎になぐさめられたり、なんでわかんないんすか?と翠にあきれられたけど、最終的に俺が思った方と反対側を言えば正解じゃん。と判明して、そこからは正解率かなりアップ。いえー!とかやってるけど、途中から外れだした。おい、なんでさっきあたってたの?





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