-メンバーとライブの内緒話と俺。

「やっほー!げんきー!」
「文哉ちゃん、飛ばしすぎ!」
「いいじゃん、セナ―ファンサ!ファンサ!」

いえー!とピースしてみる。いやーあの頃とか考えたら、大分差があるよね!いや、だってねぇ。レオとセナの間じゃないとこうして元気に笑ってれないんだって。こうして笑えてるのもレオが返ってきたからだよな。

「あんがとね!せーなぁ!俺セナが居なかったら俺もこうして歌って踊ってないよ!えへへーありがとセナ!『Knights』を守ってくれてね!」
「なーにー?いきなり」
「ううん、楽しいから感謝しとこ!って思ってー」

レオにもいってこよー!とそのまま移動しようとすると、セナに今ライブ中だから後にして!と怒られるので、じゃあセナはレオの代わりね!レオありがと!と言いつつセナのほっぺにチューを一つ。観客席がわー!と沸くのを聞いて、俺はもっと笑顔が深くなる。

「このキス魔ァア!」
「ふふっ、セナが怒った!!」

ほらーウェーブいくよー!!すーちゃん、一緒に走るよー!ほら右から―!ほら反対側から!!!と走りながらも、寄ってきたナルくんに右と左が逆よ。とたしなめられても俺はケラケラ笑う。

「お客さんも、ファンも、『Knights』も俺を笑顔にさせてくれてありがとー!!」

マイクを放り出しそうな勢いで手を振る。そのまま俺は歌いだして、嬉しくなってレオと肩を組んで高らかに声を飛ばす。声はスピーカーに乗って空気を裂いてどこまでも伸びていく。皆の声と混ざって俺っていうのがなくなっていく気がするけど、それでもここで大好きな皆と歌えてるのがとっても嬉しくて会場と俺と全部が解けて一つになっていくような気持ちがする。

「みんなもっとたのしもー!!ね、りっちゃん。」
「ふ〜ちゃん、しんどい」
「じゃ、りっちゃんのぶんもがんばっちゃおー!」
「文哉―、むりすんなよー!」
「へいきだよー!レオも一緒にとんでいこー!この熱気の海を!どこまでも響かせて渡ろうアンサンブルを!」

大丈夫、世界はどこまでも厳しいけど。俺達ならどこまでも飛んで行けるよ!
レオと手を取って大きくジャンプをすると遠く高く飛べる気がした。
後ろでセナが大きくため息を吐くので俺は三人で大きく飛ぼう!と声をかけるとセナの機嫌がよくなるのだから、俺はクスクス笑うのだった。


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