-すーちゃんとセナハウスと俺。

セナスタジオでコラムの作業をしているとガラガラと音を立てて、すーちゃんが入ってきた。やっほーと手を上げると、いらっしゃったんですか?と言われて、んー仕事終わんなくてこっち専念。締切あるしー。

「珍しいですね」
「俺けっこうこういうことしてるよー。」

王様的なことあんまなさそうに見えるっていうけどさ。と言いつつキーボードを打っていく。新しい連載のコラムなのでぼちぼちと学校のことを連ねていく。方向性さえ定まったらいいのにねぇ。と思いつつ筆が調子よく乗らない。等身大の高校生企画らしいのだが……。

「すーちゃん、行き詰ったぁ。甘いもん食べたい!」
「何を言ってるんですか。机の上に広げてるのは一体なんですか?」
「えーするめー。おいしいよ。」

コンビニで売ってる小さいやつ。あたりめもすきだけど、するめ足がもっと好き、ピリ辛でめちゃくちゃおいしいので、セナハウスでめちゃくちゃ食べてるやつ。ナルくんによく食べられたりセナに捨てられたりするけど、俺はこのセナハウスに隠しこんでるので捨てられたりしても、まだ大丈夫隠し財産あるので!

「いやー書いてるとなんかまわんないからさー」
「回らない?」
「頭がね、なんか口さみしいからさーついつい。食べてセナにガンキレされる。」

カロリーがーとか、別に俺減らすも増やすも簡単にできるから問題ないんだけどさー。セナのケチだからなー。と口をとんがらせると、セナにこられるやと思い出して、むーむー言いながらキーボードの上を指が走る。

「すーちゃん。ちょっとお話付き合ってーネタないしもーすすめなーい。」
「お話ですか?」
「するめたべつつー」
「どんなお仕事なんですか?」
「なんかー等身大の俺を書く仕事みたいー」

企画書見る―?ほい、と紙束を渡せば、案外あっさり…いいんですか?と言われたが、口外しなければいいよー。と手をひらひらさせて文字を上から再度眺めなおす。

「おもしろそうですね。『Knights』の歴史を振り返ったりしたいですね。」
「お、いいね。等身大だし、俺のコラムの初回すーちゃんにでもしよっか。」

俺の思ってることしか書けないけど、許してね。っていうか見るなよ。ちょっと恥ずかしいからな。と言うと、えー!と末っ子らしさで突っかかってくる。それがちょっと楽しくて、この間のデュエルとかやるー?でもやると恥ずかしがり屋さんとかでちゃうしなー。どうする?末っ子の希望なら何でも書いちゃうよー。あんまり先輩らしくないですよね。Leaderと一緒で。そのあたり触れないで、すーちゃん。この『すー』を末っ子にしてやろうか。りっちゃんはそうらしいけど!俺は『すー』を朱桜にしてたんだぞ!このやろう、と俺はすーちゃんの頭をぼさぼさにするほどまで撫でまわして、すーちゃんに怒られたのだった。

「もう!Leader二号と鳴上先輩が仰ってましたけど、本当ですよね!」
「…いやーだって君が先輩らしくないとかいうからだよ?生意気なことぜーんぶ、言うからすーちゃんには今度から対外対応でもいい?セナみたいに喋るけどいい?」
「え?瀬名先輩ですか?」
「なーにー?すーちゃん、俺よりセナがいいってー?そー?そーいうこというんだぁ。今度のコラム、すーちゃんについてはひどく書いておこうかなぁー。」

ふーん。そーとそっぽを向いて、窓の外を見る。ちょっと保村先輩!と言われたので、すーちゃんが俺の名前呼ばない限り返事しなーい。と宣言して俺は、すーちゃんから『文哉先輩』という権利を獲得するのだった。ふっふーん。うらやましいだろ!どや!


/back/

×