-2019瀬名泉誕生日記念


セナの誕生日だけれども、失態を犯した。誕生日の贈り物を忘れた。昨日しっかり玄関のカバンのところに置いてたのだが朝事務所に行く用事を思い出したがゆえに忘れたのだ。それを思い出したのは誕生日会直前。家に取りに戻ってたら不審に思われるし、どうしようかと思案してたらスタジオにきてしまった。誰もいない。みんなセナや朔間の誕生日会に出ているわけだし。俺みた異なことをしてる奴なんていないだろう。いたら俺がそいつのケツ蹴っ飛ばしてやる…まぁ俺なんだけど。
どうしようか。購買で買う。いったん取りに帰る、セナに説明する。ばっくれる。…どれもいい選択肢じゃない気がしてきた。そもそも俺が忘れてるのが悪いんだし。どうしよう。いつもの定位置に腰を掛けて思考を回してみる。セナならどうするかと珍しくしないとレースまで行ってみる。まぁ呆れられるのは間違いない。…ないとは思うけど、ユニット追い出しとかなんていう結末までなってしまったら、俺は生きていけない気がする。うわー行きたくない。どうしよう急ごしらえなんて俺の本ぐらいしかないけど、これこの間渡したー!ちくしょう、まめなことするんじゃない。一人ふてくされていると、不意にドアが開いた。そこにアイスブルーが睨んでいた。いや、まってなんで。

「文哉。」
「セナ?なんで誕生日会でしょ!?」
「あんたがいないってかさくんに聞いたから探しに来た。」
「ごめん、セナ。俺今日いけないよ。」
「なんで?意味が分からない。」

いら立ちを孕んだ声。身が縮こまっていく気がしながら俺は言葉を探して、ごめん。とだけ口を開いた。けれど、ごめんが聞きたいわけじゃないって言われる。そりゃそうだろう。俺だってそう思うもん。気力を絞って口を開いて事実を告げる。

「…セナに渡す用の誕生日プレゼント、忘れた…合わせる顔がなくてここにいた。」
「はぁ?あんたってやつは!!」

そうしてセナはプリプリしながら俺の前までやってきて俺の鼻を勢い良くつかむ。痛い、いいけど。明日撮影ないし。鼻をぐりぐり動かすので従って顔も追従して視界がぐりぐり動く。目回りそうだし掴まれた鼻が痛い。

「プレゼントは明日でもいいから、来な!」
「いはい!いはいってば!セナ!!」
「黙って、来な。いい文哉」
「わかっら!わかっらから!ほっぺたまでおしつぶさないえよ!」

俺が大声で返事をしてやっと満足そうにセナがうなづいた。明日持ってきて。そう言われるのでもう今日家に帰ってカバンの中にぶち込もうと決めた。今決めた俺が決めた。


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