-人魚姫に告ぐ。

スカウト!胡蝶の夢。の星5泉を出すために書いた。
あなたに書いて欲しい物語さんからお題をお借りしました。
瀬名泉を10連で絶対に出すマンさんには「それは人魚の恋に似ていた」で始まり、「想いを伝える術はなかった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば13ツイート(1820字)以内でお願いします。
勝負だはぴえれ!!

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それは人魚の恋に似ていた。あれは悲恋だったか。そもそも幸せな終わりだったか。幼い頃に読んだが故に終わりは曖昧だ。なぜ、それを思い出したのかと言われれば、珍しいドラマをやるよ。といわれて二つ返事で与えられたのは叶わない恋をする野郎の役。そして、相手の役は身内。つまり男。ってか、まって、いろいろ。おい、むっちゃん。悪意の塊しかないぞ?今視線反らしたよな?転校生。おい、逃げてくな。帰ってこい。俺1人でこの対処はできるけどさ。めんどい。大人になってから余計にめんどさを感じるんだけど。

「そもそも今回の相手が文哉なの?」
「知り合いで良かっただろう。何年の連れ合いだっての。」
「文哉だから嫌なんだよねぇ。そっちの専門でしょ?芝居の。俺が喰われるって。」

おいこのドラマの撮影キスシーンよりも先まであるんだぞ?しいて言うならシナリオ上喰われるのは俺なんだけど。知り合いで良かっただろうが。 ブウブウ口を尖らせると、あんたは俺で良かったんでしょ?と言うから当たり前と返事する。俺がお前たち相手にして幸せじゃない理由がないだろ。むしろ、相手がお前たちだったら俺は首を横にふるかよ。言い切れば瀬名はまぁそうだよねぇ。と納得いる。まぁ俺の高校時代に抱えてた気持ちは今になっても変わらない。おかしな話だろう。卒業した今でも変わらない恋に似た気持ちを抱えているのだから。不思議だよな。

「安心してかかって来なよ。十分に料理して美味しいセナの絵にするからさ。」
「それが安心できないって言ってんの!」
「えっ?」

なんで?どういう事だかわからない、俺が首を傾げる、あんたはまだおこちゃまだもんね。だとかたしなめられて不服申し立てを行うが、セナに軽くあしらわれて、俺の役の名前を呼んだ。

「好きだよ。」
「え?」
「ほら、文哉次の台詞は?」

一瞬ドキッとしたのを返してくれよ。むだにときめいたじゃんね。えっと、と思考を掘り返して俺の役のセリフを思い出して口に乗せる。そう、返事はノーだ。そのセリフと役の気持ちを思い出して人魚のそれを思い出して勝手に胸を痛めたのだ。きっと俺はあの人魚姫に似ていると、勝手に共感したのだ。男だから、海洋生物だから、と多少のいやだいぶ違いはあるけども。きっと俺から彼らに伝えれる言葉なんて、泡みたいにどこかで弾けて本人たちに届かない。むしろ、それがいいんだろうけどさ。少数派は弾かれる。その辛さは俺は知っているし、そこを使われていたのだから大きな声で叫ぶこともできなかったんだけどさ。

「ちょっと!!文哉、どうしたの?」
「え?なに?」
「泣いてるじゃん。あ、こら!目をこすらない!子どもか!」
「大人だよ…お前と同い年だっての。」

無意識に涙がこぼれ落ちてたらしい。どうも人魚姫に共感が強かったようだ。いや、あのアニメ映画は気持ちが繋がって続編が出ていた気がする。なら、幸せな終わりなんだろう。…本は違ったけど。もしかして、何時か俺が消えてしまったならお前たちは泣いてくれるのだろうか?探してくれるのだろうか?…わからない。きっとテレビに向かってアピールはしてくれるかもしれないけれど、探す手段じゃない。それはきっとパフォーマンスなんだろうか。そう考えるだけで悲しくなる。

「……俺も好きだよ。」
「ちょっとォ台詞が違うでしょ?」
「俺は『Knights』のみんなが好きだよ。」
「わかってるから。そんなの。何年も前から聞いてるっての。」
「でも、改めてさ。言いたくなったんだ。」

それはおいといて、今回のドラマ長丁場だから、ライブに撮影に収録にセナがよく横にいるから俺は嬉しい!と声に出したらセナが照れてたので、俺はなんでもない振りをしてセナをからかう。やりすぎると怒られるので引き時を見極めるのだが、セナをからかうのが楽しい。学院を卒業してからも新しい発見がいっぱい見つかるのがたまらない程愛しい。

「セナ?どっしたの?熱でもでた?」
「なんでもない!」
「え?でもそんな赤い顔してるから熱でもあるのかと。」

ちょっとからかいすぎたみたいで、俺はこの瞬間にセナから手痛い反撃を喰らう。予想外の反撃だったので対応する暇もなくまんまと喰らうのだが。まぁ内容はご想像にお任せしておく。まぁマイノリティの俺から人魚姫に一言。口がないなら態度で示せ。それからあと一つ。嘘を俺はつくよ。想いを伝える術なんてなかった。

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