-ナルくんと鬼龍と俺。

購買で買い物する用事が出来たので移動中に、向こうからナルくんがやって来た。

「あら、文哉ちゃん!お買い物?」
「消しゴムなくなったから買いにー。」
「ストックしてなかったのね。珍しい」

昨日人にあげた。と言うとあら王様使いきるの早いわね。とナルくんが言う。いや違うんだけど。と否定するのも面倒になって、買わなきゃ。と思ってたからちょうど良いしーナルくんも購買?と問いかけるとそうなの〜。と嬉しそうに笑う。じゃあ一緒にいこー。と声をかけるとナルくんは笑みを深めている。昨日の仕事どうだった?とか色々話しながら歩いていると、保村!と低い声が後ろから響いた。聞き覚えのある声にすこしムッとしながら俺は振り返ると鬼龍がそこで立っていた。眉間に皺を寄せながら、まっすぐに俺を見る。

「保村!」
「なに?鬼龍。急いでるんだけど」
「昨日は助かった!これを受け取ってくれ。」
「要らないって言ってるじゃん。新しいのまだあるし。行こう、ナルくん。」

ぷいっと歩き出すと、もう文哉ちゃんったら素直じゃないんだから。と何かを察したナルくんの落としてく声に、はいアンタも邪魔!ほっときな。とセナに似せた声色で言えば、照れると泉ちゃんに似せるんだから。なんてナルくんがクスクス笑う。見事に正解を当てるから俺はナルくーん?とセナに寄せた声色で言う。

「ごめんなさいね、鬼龍先輩。文哉ちゃん、素直になれないのよね〜」
「ナル、怒るよ!」
「もう怒ってるじゃない、怒りすぎはお肌に悪いんだから!」
「怒らしてるのナルくんだけどォ?」

今度のレッスンメニューナルくんだけ三倍ね、ほどほどなんて許さないから。そんなところまで泉ちゃんに似せちゃって!と言うが、うるさーい。とナルくんのほっぺをゆるめにつねる。もー痛いじゃない!と言うが、要らないこと言わないの〜!とつついておく。でも、ちゃんとクラスの中で交流してるのお姉ちゃん嬉しいわぁ!ちょ〜うざい。そんなところまで泉ちゃんに似せないの!ペシッと、頭を叩かれたが好意を受け取らないのが俺の癖も合間ってこうなるのはわかるんだけど、どうもねー。三年も仮面被ってたらこーなっちゃうよねー。でもでも、文哉ちゃんクラスでは王様とかと話はするんじゃないの?んーレオは書き散らしてるからねぇ。俺もだけど。あとは本読んだりとか。かなぁ。

「本を読んでるなら問題ないわね。文哉ちゃん本読んでるときは『王様』や泉ちゃんと話してるときと同じ顔してるもの!」
「ナルくぅん?チョーうざいんだけど、やめてくんない?」

またほっぺたつつくよ!と脅せば、ナルくんはクスクス笑ってからほらほら購買ついたわよ。消しゴム買うんでしょ?意地っ張り。と俺をつつくのだった。ほっとけ!

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