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「ああ、それはね・・」

 ルイスが答えようとしたその時、ユーリックが扉付近で佇んでいた三人に声をかけた。

「おい。さっさとこっちに来い。扉が閉めれねえだろうが」

「・・・・・・!すみません少尉っ」

 ユーリックの声に肩をびくっとさせたルイスは、そう返事をすると急いでジルとマルクスをソファの方へ行くよう促した。
 そして三人が離れるとまた扉が音を立ててて閉じたのであった。

「ルイス、さっきの説明は俺がしとくからお茶でも用意してきてくれ」

 ユーリックの指示を聞いたルイスはすたっと立ち上がると部屋の奥にある給湯スペースに向かった。双子もそんなルイスの後を追って行ったため、ソファにはユーリックとセリア、そしてジルとマルクスの四人となった。

「さっきの答えを知るからには、それ相応の覚悟が必要だ。お前達はこの国を何があっても裏切っちゃならねえし、この事を外に、つまり軍の関係者以外に口外することはこの国への反逆に値する。まあ、と言っても帝軍に入った以上内部で起こったこと、見聞きしたことは一切口外禁止って今頃他の新入生も言われているだろうがな」

 そう一気に話したユーリックは再度口を開いた。

「あと、お前達は此処に一応所属して貰うから。此処の仕事は結構大変だからな、手が足りないと感じたら三席の奴にも声をかけてみろ。あの扉の事はお前等が覚悟があるっていうなら話すが・・・どうする」

 ジルとマルクスはごくりと唾を飲み込んだ。きっと生徒会には入る事になるのだろうと予測していたためその事に関しては異論はなかったが、先ほどの怪しい扉しかり、徹底された情報管理の義務から、ジルはやはり此処に帝軍に来た意味はあったのだと感じた。そしてジルは口を開いた。

「俺には覚悟があります」

 寧ろ何も失うものは俺には無いのだから、とジルが思っているとは誰にも解るはずはなかった。

「私もです。この国を危険にさらすような事は私は決してしない」

 マルクスは言葉からも解るように、誠実な思いを胸に抱いていた。
 そんな二人を見ていたユーリックはふと斜め隣に眼を向けた。

「セリア、お前はどう思う?」

「私はユーリック、君に任せるよ」

 ユーリックはそんなセリアの答えに面白くないといった表情を浮かべながら、二人に視線を戻した。

「まあ、なんつうか。話し出すと長くなるんだが、それでもいいか?」

 そして、ジルとマルクスは頷いたのであった。まさかこの時、この国にそんなものがあるとは二人は露も思っていなかったのである。

 それは決して口外してはならない、この国の秘密であった。



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