ついったまとめ | ナノ

いったまとめ



いつかのあの日:

辛くて苦しゅうて堪えられなくて泣きながら寝てる志摩の首を絞めたんやけど志摩がパチッと目ェ開けるもんだから驚いて手離してもうた。せやったらなんや竜士か、絞めるんならくるしゅうないように頼むなって志摩が言うてまた寝よったからに、ああ、同じ気持ちなんやなぁって。

阿部定パロ
青エク/しますぐ



いつかのあの日:

預かってくださいと、よく見る汚い字で書かれたメッセージカードと、そして、そのよく見る汚い字を書く奴に、よく似た「………あかんぼ?」「…せやな」
朝起きると玄関にいた小さな少年は、なんだが奥村に似ていて、あうと笑ったそれに志摩がうわっと飛びのいた。おれ、子供嫌いですやん、と自らの肩を握りしめた志摩にあほうと言い慣れた暴言を吐いてそれを抱え上げる。大抵の幼児には泣かれるので覚悟の上の行為だったが、それは泣くどころかキャッキャと高い声で笑って「う、…ままぁ!」「は?」「は?」 そう言った。

青エク/しますぐ



いつかのあの日:

先天性の幸せを知らないから後天性まで手が届かない。それが欠陥。自分は生まれてきてよかったのだろうかと問えば、座主血統を守るにはうってつけの時期に生まれた、と。それは自我の芽生え。自己は自己でなくてただ志摩の五男坊でありさえすればいいのだと気付いたと同時に彼の笑顔が腐りはじめた。

青エク/しますぐ



いつかのあの日:

みんながしあわせになれる世界みたいなそういう偽善に溢れた世界に投下されたい 明陀みたいな みんな作り笑いか狂って笑顔 中心の何の感情も持たない顔で立ってるあの変な髪型の人が次期座主なんだってさ 変な夢掲げて、今の明陀はおかしいって 自分がおかしいって気付かないのよ、きっと
だって悪魔とかサタンとか、わけわからなくない? おとうさんも困り果ててるみたいよ、世間体で入院させるわけにもいかないらしくて 知ってる?あのお寺「祟り寺」って呼ばれてんだよ やだぁ、こわっ 祟り寺の息子じゃあイカれててもしょうがないんじゃない?
いやね、あの子のせいで呼ばれてるのよ、祟り寺って。
息子さん気付かないのね、自分のせいでお父さんが何て言われてるか この間も意味のわからないこと言って同級生に殴り掛かったって やだぁ、早くどうにかしてほしいわぁ 

青エク/



いつかのあの日:

ここ何日か、金縛りが酷い。勝呂は痛む体を摩りながら起き上がった。隣で眠る志摩はそんな勝呂には全く気がつかないようで、すぅすぅと寝息を立てている。その穏やかな寝顔に勝呂はふ、と微笑んだ。そのとき、ズキンと下腹部が痛む。生理痛のようなその痛みに身体を丸めて呻けば、先程まで別世界でまどろんでいた志摩が目を覚ます。「お嬢、また痛むん?」その言葉に首を振るが、すぐに嘘だと気付いた志摩がうせやろ、と呟いてその小さな背を撫でた。そんな志摩に痛い、と弱音を吐けば、志摩がその身体を抱きしめる。痛いの痛いの、飛んでけ。志摩が耳元で囁く。すると、少しだけ楽になった気がして、身体を弛緩させ、志摩の胸に背を預ける。額に浮かんだ脂汗を拭っておおきに、と礼を告げれば、志摩がそこへキスを落として笑った。
「ちょおトイレ行ってくる」そう言って未だ収縮するような疼痛を感じつつ立ち上がると、志摩が心配そうに着いてきはりましょうか?と手首を掴んだ。「大丈夫やから」そう言ってその手に自らの手を重ねて外し、部屋を出る。そのまますぐさまトイレに腰掛けた。そうして下着を見るが、赤い色はどこにも見当たらない。まだ、来ない。勝呂は眉間にしわを寄せた。生理が来ないのだ。この下腹部の痛みは確かに生理痛そのものなのに、何故。まさか、と嫌な予感が頭を巡る。出来てしまったのか。「…そない阿呆な、」有り得ないわけではない、だがしかし自分たちはまだ高校生である。そんなことが、許されるはずがない。勝呂は頭を抱えた。万一そうだとして、自分は志摩になんと言ったらいいのだろうか。金縛りのことすら言えてないのに、どうすれば。「…う、ッ」その瞬間だった。一際強い疼痛に一瞬意識が飛びかける。腹を強く抑え、身体を縮める。
それはぼとりと堕ちた。ぼとん、と便器に何かが堕ちる音がして痛みが和らぐ。奇妙な音に腰をあげ、中を覗き込み、勝呂は言葉を失った。 鮮血と、そして小さな肉塊。ぺたん、とその場に座り込んだ。抑えた下腹部を撫でる。ここに、居たのか。この肉塊は、ここから。ボロリと大粒の涙が瞳から零れた。ごめん。嗚咽とそして謝罪の言葉を吐く。ごめんな、堪忍。この腹に、これは居たのだ。自分と廉造の子は、確かに、出来て居たのだ。金縛りの正体も、痛みも、全部。少し考えれば気づけたはずなのに。「ごめん、ごめんな。ほんまに、ごめん」股の間からドロリと粘着質な血液が溢れ出す。その血に触れ、勝呂は喪失感に声を上げた。「お嬢、どないしてん?」その声に駆け付けたのか、扉の向こうから志摩の声がする。「れんぞぉ、ごめん。」血の付着した事も気にせず、勝呂は両手で顔を覆った。何も見たくなかった。

青エク/しま♀すぐ



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