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持ち主の居ぬ間にベッドにダイブすれば、スプリングが重さでぎし、と鳴る。肌触りの良いシーツからは太陽の匂いがした。枕に顔を埋めると、日溜まりに混じって凛の匂いもする。ほのかに香るそれに、思わずすんと鼻を鳴らした。自分のベッドとは当たり前だけど違う、他人のベッド。なのに、こっらのほうが寝心地が良い気がする。何をやるわけでもなくて、ただ寝転がっていた。することがなかったわけじゃないけど。凛の部屋には、沢山雑誌もある。暇を潰すにはゲームもあるしもってこいだ。でも動かないでしばらく横になった。部活の後。わんが思ってたより体は疲れてるのか、しに気持ちいい。
くあ、とあくびが出る。屈伸をしたら、だんだん眠くなってきた。まぶたが重い。
微睡んでいく頭に、眠気を振り払うように目を擦っても視界はだんだんと暗くなる。

「寝ちゃ、ダメ、さあ…」

声を出してみたけど、言葉になったかはわからん。ふわふわとしたうわごとのようみたいになっていそうやっさ。台詞とは裏腹に体は寝る体制になっている。
まぶたが閉じる。一度目を閉じてしまえば早かった。すとん、と夢に引きずり込まれる。
直前にドアの開いた音がした。けど、もう反応出来ない。夢に落ちる。
凛、ちょっとだけ、ベッド借りるさあ。












遠くから、凛の声がして目が覚める。ぺちぺちと頬を叩かれて勢いよく起き上がる。いきなり動いたせいで、頭がぐわんぐわんした。けど、凛がいるのに寝てるなんて勿体ない。と思ったからかいやにすっきりした目覚めだった。

「凛、寝ちゃってたやっさ、……あれ?」

目は覚めてる。開けてる。はずなのに、まだ目の前は真っ暗だ。おはよう、と凛の手ががしがしとわんの頭を撫でる。やっぱり起きてる。辺りを見回しても、凛の姿はない。

「あれ?凛、もしかして電気消してるばあ?」
「やー、寝惚けてるば、っていうか気づけ」

頭を撫でていた手が後ろに回ったらしい。すると目元が引っ張られる。その感覚に顔に手を当ててみる。布のようなものが目元に巻き付いていた。
ぺたぺたと触ってやっと気がついた。目隠しされてるやっし。

「………目隠し?」
「正解」
「…ぬーよ?凛がつけたば?」
「そうさあ。わんがつけた。どんな感じか?」
「うーん…見えない。それだけやっさ。外していい?」
「ダメ。やー、わんがジュース持ってくる間にでーじ気持ち良さそうに寝てたぞ」
「あー、…ごめんちゃい」
「それ外さなかったら許してやるさあ」

目隠しされたままじゃなんも出来ないやっし。怒った凛は怖い。けど、今は怒ってるわけじゃない。声色はどこか楽しそうに弾んでいる。許してくれるなら、外さない。わんが外して凛が不機嫌になったら嫌だ。けど、このままじゃ、顔も見れない。凛が何したいのかがわからなくて首を傾げているとスプリングが鳴った。腕を掴まれてそのまま引かれる。

「凛?」
「裕次郎、わんの上に乗れ」

暗い視界で自由が利かない体は、凛にされるがままだった。胡座をかいているらしい凛の上に向かい合う形で膝立ちで乗せられる。

「ぬーがや、凛。これ、騎乗位みたいやんに」
「まあ騎乗位なんだけどな」
「ぅ、わ…っ」

腰の辺りから手を入れられる。凛の冷たい温度がくすぐったい。逃げるように身を捩っても、背中に回された腕で自由に動けない。

「裕次郎、あったかいさあ。寝てたからか?」
「ちょ、ま…っ、このまま、は嫌さ」


目隠しの状態は、あんまり好きじゃない。多分好きな人はいないと思う。いつどこに触れられるかわからない。その不安に、凛にしがみつくように腕を伸ばす。わんが嫌だと言っても、凛は外してくれない。だからわんも自分で外すわけにもいかない。凛はずるい。わかっててやってる。
するりと首筋を撫でられる。いつの間にかシャツのボタンが外されていた。気づかなかった。その手が触れたまま胸元まで降りていく。
それだけなのに、あ、と声が出て、凛の笑い声が耳元で聞こえる。うわあ、恥ずかしいやっさ。こっちに気をとられていて、いきなり太ももを触られてまた声が出る。

「…っあ、も、凛!あっちこっちさわん…、っひ、ぁ」

今度は胸元を舐められる。わんもびっくりするくらい体がびくんと跳ねた。驚きと、気持ちいいのが一緒にくるからかさっきからやけに反応してしまう。
胸元の刺激から逃れたくて離れようとするけど、背中にある腕に阻まれる。そのせいで逆に反ってしまう。これじゃ、わんのほうからやってくれって言ってるようなもんやっし。
歯があたって、少しだけ痛みが走る。ぐにぐにと舌押されるようにされて、声がまた出そうになる。口を手で押さえて、凛の髪を掴んで快感をやり過ごす。
その間も、太ももや付け根を撫でられてじんじんと熱くなる。次にどこを触られるのかわからない。目隠しのせいか、耳に音がいつもより響く。ぴちゃ、というやらしい音が嫌で耳を押さえたくなる。

「…ん、裕次郎、もう固くなってる」
「ぁ、……っ、」
「やけに早いやっし。目隠しされてるからだはずな。いつもより感じるだろ」
「…は、ぁ、…やーのも、当たってる…んっ」

胸元から凛が離れたのがわかった。今度はどこだと身構えてしまう。金属がぶつかり合った音がする。ベルトを外されているらしい。どうしても、凛が行動を起こした後にしかわからない。何をされるのか、されてからじゃないと。感覚が受け身になってる。

下着の上からするりと指先だけで触れられた。でもそれだけで、直接的な刺激はない。さっきから撫でるだけで、ぞくぞくとした快感はあるけど、物足りない。もっと触ってほしい。凛、と呼ぶと笑った気配がした。なんかや、と思っていると前触れもなくズボンごと下着を下ろされた。
思わず、目隠しをされているのに目をつぶってしまった。
あんまし気にしなかったけど、凛の上に乗ってるこの状態は、しに恥ずかしい格好かもしれん。

「ちょ、や、いきなしか…!」
「裕次郎腰動いてたぞ。触ってほしいんだろ」
「あ、当たり前やっし」
「そうかやー、じゃあ」

凛に回していた手を掴まれて下におろされる。髪の毛が、首筋に当たってくすぐったい。

「やーが自分で触れ」
「え?あっ…や、ぅ…」

掴まれた手はそのまま、もう半勃ちになってるものと一緒に握りこまれる。くちゅ、という水音で先走りで濡れているのがわかった。耳元で聞こえる凛の掠れた声。けれど伝わるのは音だけで、目の前は真っ暗なまま。

「気持ちよくなりたくないばあ?やーが自分でやってみろ」
「ぬ、がよ、それじゃオナニーみたいやんにや」
「違うさあ、わんがいるよ。うり、見ててやるから。裕次郎」






(121012)
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