ボーリング

「えっ!ボーリング!」

「だ、駄目ですか?」

「い、いや……駄目ではないが……」

大吾は、ボーリングが苦手だった。
昔桐生とボーリングをしたことがあって、その時ガーターばかりだったのだ。
もうボーリングなんてやるかと思っていたが、まさか名無しが誘ってくるとは。

「前友達とボーリングをやったら、またやりたくなって……行きませんか?」

「あ、あぁ……」

ボーリングに行く事が決まって、大吾は小さくため息を吐いたが、こうなったら少しでも、練習をしようと考えた。
カッコ悪い所なんて見せたくないからだ。
仕事の調整をして、こっそりボーリング場に通う大吾の猛特訓が始まった。
最初は、ガーターばかりだったが、少しずつ練習で、ピンを倒すようなってきた。
ストライクも出来るようになって、これだったら大丈夫だと確信した。

名無しとボーリングに行く日。
練習の成果を発揮して、いい所を見せてやると思っていた。
受付を終わり、靴を履き、自分のボールを選ぶ。

「大吾さん。もうボールを選んだですか?」

「あぁ」

「私も早く選びますね」

名無しが、ボールを選び、順番は、大吾からスタートした。
今までの練習を生かし、レーンにボールを転がした。
ガーターじゃなく、ピン5本にボールが当たり、二回目は、一本しか当たらなかった。
次は名無しの番になり、レーンにボールを転がすと、いきなりのストライクだった。

「ストライクだ!」

「凄いな名無し」

二回目は、ピンを残したが、ストライクを出した名無しに続いて、大吾もストライクを決めてやると思っていたが、2本残りだった。

「あー惜しかったですね〜。大吾さんボーリング上手ですね」

この日の前に猛特訓したとは、名無しに絶対言えず、そうか?と答えた。
それから、順番に転がし、スコアーは名無しの方が上手かったが、一回もガーターじゃなく、ピンにあたったのが、練習の甲斐があったなと大吾は思った。
最後レーンを見つめ、構えてボールを転がすと、真っ直ぐ転がってゴロゴロとピンに向かっている。
ガゴンとピンに当たった音がすると、ストライクだったのだ。
よし!とガッツポーズをする。

「やりましたね!大吾さん!」

「あぁ!練習の甲斐があったよ……あっ」

つい言ってしまった大吾は、いまさら手で口を押さえるが遅かった。

「練習?」

「あぁ。昔ボーリングをしたとき、ガーターばかりで苦手だったんだ。
だから仕事調整してボーリングを猛特訓したんだ」

「そうだったんですね。でも練習の甲斐がありましたね!」

「本当だな」

楽しくボーリングがやれて、笑顔になる名無しと大吾でした。




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