ニューハーフバー亜天使(その1)

夕方。
恋人である大吾さんと、ミレニアムタワーで待ち合わせをして、千両通り北にあるチャンピオン街に向かう。

「久しぶりですね 。大吾さんと飲むの」

「あぁ」

東城会六代目会長の立場は忙しく時間も休日も取れないが、久しぶりの休日とかお互い夜予定がない場合、待ち合わせをしたりはしていた。

「到着ですね。何処で飲みます?」

「そうだなぁ……ん?」

「あら〜大吾ちゃんと名無しちゃんじゃないの」

声をかけてきたこの人は、チャンピオン街ニューハーフバー亜天使のママ。
きっかけは忘れたが、ママとは仲がよい。
そんなママが、困っていた。

「こんな所でどうしたの?ママ」

「それがね……」

亜天使には、もう一人従業員がいるのだ。
名前はミチル。 
マッチョな体型をしたニューハーフ。ママと出会い亜天使で働いている。
そのミチルが、風邪で休みらしい 、しかも予約があるらしく困り果てたママは友人達にお願いしたが、断わられて途方にくれていたのだ。

「もう〜どうしたらいいの〜」

「ママ!私手伝いましょうか?」

「ありがとう。でも大吾ちゃんとデートでしょ?」

大吾さんが、大丈夫だからとママに言い、手伝いが決定した。

店に入り着る衣服を用意してくれた。

「これは私が若い時に着た衣服なの〜これだったらサイズもいいと思うわ」

ママから受け取った女物の衣服に着替える。サイズがフィットして、びっくりした。
メークはデートでしていたので、最後にネックレスを首に装着する。

「似合う」

「ありがとうございます」

「ラブラブね。さぁ名無しちゃん頼むわね」

「はい!」


開店時間になり予約の人が店にやってくる 。
常連客で人数は6人二時間亜天使は、 貸し切りとなる。 
おしぼりを全員に渡し、軽く 自己紹介も注文も聞く。
結構忙しく慣れない仕事に苦戦したが、常連客は優しく手伝ってくれた。

二時間になり 上機嫌で帰っていった客をママと見送ってから、かたずけをしてたら、ドアの鐘が鳴る。

「いらっしゃいませ〜」

「ん?あれ?ミチルちゃんは?それに新しい子?」

「ミチルちゃん風邪でお休みなのよ〜この子は今日だけ手伝ってもらってるの」

「君の名前は?」

「名無しです。宜しくお願いします」
「宜しく。もっとリラックス!ガチガチだよ?」

「は、はい」

話をすると、三十代で会社員 らしい。
この店には毎日通ってママやミチルに会社の愚痴を溢しているらしい。

「君みたいな子に愚痴なんか溢せないな」

「いいですよ。溢せば楽になります」

「ははっ……。今日は止める!さぁ!パァ〜と 飲みますか!!」

飲み物が用意され乾杯をする。




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