確率

[7/8]


(なまえ、ごめんな急に電話して…何か疲れちゃってなまえの声聞きたくなった…)

『そう』

無理するからだよとその言葉は飲み込んで、受話器越しでも分かる落ち込んだ声。何となくだけど…今の彼に必要なのは話を聞いてあげる事だと思った。


・・・・・・・


「それって、勝手に自分を振った男にそう言わせることが出来たから嬉しかっただけだろ?」

『確かに…別れを切り出された直後ならその方が強かった、だから全くないとも言えない』


「幸せになると言ったヤツが、必死に女を追いかける姿を見て疲れたと好きな女には言えず、アンタに頼った、ざまあみろだろ?」

『ふふ』

「何がおかしい?」

『今の世良先生の方がよっぽど人間臭くていいな、って思っただけ』

「!!」

そんな世良先生を見てもきっと彼女は好きだと言うと思う。欲しかったのは最後まで自分を気遣う言葉なんかじゃない、傷ついてもいいから本当の気持ちだったはず。


『元カレが一緒に幸せになりたいと願ったマコさんの想いは世良先生に向けられて。嘘の協力でここにいる私は、ここにはいない元カレを傷つけた事になる』

「!!」

『飾り立てた言葉の別れは、多少の期待を残すって気付いてよ!!』


心ここにあらず。の言葉が、何の意味もない事を世良先生が一番よく知ってるはず。
面倒なだけで自分の事だけ考えた言葉が相手に届くなんて思わないで。





[ 7/43 ]

[*prev] [next#]

[list]

[しおりを挟む]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -