確率

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『ぁあ!ん………』
「なまえ」
『っ、ぁ…はぁっあ!』
「なまえ、しっかり俺を見て…」
『…』

首筋を濡らす唾液が渇くことはない。逃げないよう頬を包み口づけを交わす。彼女が流す涙に気付かないフリをして。

この涙は少しだけ語った別れた男を思い出すのか、それともいい年をした男女が行きずりの関係で及ぶ行為がイヤなのか……

そのどちらでもない事は分かっていた、だが偽りの僕が勝る。

「なまえさん優しくしてあげる、あんな男の事なんか忘れさせてあげる」

『!!……』

ひどく悲しげな顔で笑い頷く彼女を何故か、俺は忘れないだろうと思えた。


・・・・・


「はぁ〜」
「珍しいですね、世良先生がため息なんて」
「!」

うっかり気を抜いていた、ある恋愛に終止符をうつためどんな演技がいいものかと思案していた。

そうですか?と、口元が引きつかない程度の顔で受け流す俺を見つめるホワンとした笑顔の持ち主、保川先生。

同じ養護教諭として赴任したみょうじ先生は、男女共学になり女子生徒には女、との安易な必要性と…あ


元カレと同じ職場だったの・・・


(元カレ、職場恋愛…いい事思いついた)

あの夜をネタにマコと別れるために彼女を使おうか。含み笑いを隠すように口元を覆い遊びを見つけた俺は気付けなかった。

彼女をさらに深く傷つける事になるとは。





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