健気がすぎる後輩 New
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今俺は、会社の後輩とホテルの一室にいる。
「別に無理する必要はないよ?」
「……」
唇をきゅっと結びイヤだと首を振るなまえ。恥ずかしいに決まってる、自分だけ全裸でしかも俺にオナニーを強要されてやっているのだから。
俺はホテルに来た時のまま洋服を着ていて、ただ静かに洗面所の鏡の前でオナニーをするなまえを眺めるだけ。
「ほらまた。手が止まってる」
「…っ」
これだけ聞くとちょっとした変態だが、なまえに「俺をその気にさせられたら抱いてあげる」の条件を最初に提示し了承したうえでの自慰だった。
前の客の好みだろうか。ホテルには今の二人にそぐわない音楽が、まだ俺に冷静さを与えていた。
「……ねぇ」
トロンとした目つきで自慰にふけるなまえと鏡越しに目が合う。半開きの口元から漏れるのは甘い吐息だけ。
「やっぱり俺、なまえに必要なくない…?」
確かにオナニーをしろと言ったのは俺だし、言うとおりにしてくれるのは嬉しくないわけではないけど…
ただなまえは会社の後輩ってだけで彼女でもなければ、好きという気持ちも存在しない。今眺めるだけの状況にやはり俺は首をかしげた。
俺は二年ほど前、婚約までした女性と破談になってから女は信用していない。いらないとさえ思う。忘れられないのとは違う。もちろんなまえも、俺の事情は少なからず知ってるはずなのだ。そんな俺に
「相なまえ先輩、私を抱いてください!」
会社での飲みの席、トイレに立った俺の後をつけてきたらしいなまえの第一声だった。
「なに。これって新手のドッキリ?」
「ちが…」
「それに。なまえを後輩以外の目で見たことは一度もない」
「…っ」
「今のことは忘れる。いいね?」
俯くなまえが少しだけ可哀そうに見えてポンポンと頭に乗せた手をすかさず振り払うなまえ。
「っ!」
「な、何でもっ!言うこと聞きますから…、女として見てくださいっ!」
しっかりと俺の目を見つめるなまえはいつもの鈍臭い後輩じゃない。
ちゃんととした意思に思うけど本気かどうか確かめたくて俺は…。
「…じゃ、全裸になってそうだな…オナニーして見せて」
(始めそうなんだけど…まさか本気でやるのか?やべぇ、そういえばアイツ、なまえの事気に入ってたっけ)
「せ、先輩…私」
ホテルに着き黙りこくる俺の背中に問いかけてきたなまえに思わずそう告げていたのだ。
一瞬、顔をそむけるなまえ、今度は俺が目を逸らさず、腰を曲げなまえと視線を合わす。
「…出来ない?」
「っ……出来ます!」
「…そう」
余裕ぶって微笑んだけど、戸惑いながらも静かに衣服を脱いでいくなまえは、俺を煽るには十分で。ブラのホックを外し終え胸を隠す腕が震えているのを俺は見逃さない。
「ちゃんと見せて…」
「…っ」
色白で、想像以上に形のいい胸が俺の手に収まる。ピンと勃つ乳首を軽く摘まめばさらに頂を主張した
(やばいな…思ったよりくる)
小さく息を吐いたなまえが俺の腕を取り場所を洗面所へと移動させた。
鏡の前に立つなまえは、少しもたつきながら最後のショーツに手をかける。少し薄めの茂みが顔を出す。でも一向に腕は動かない。
「止める?」
念押しでなまえの背中に寄り添い、鏡越しに問いかける。
「…いえ」
「そう…」
俺はなまえの首筋、鎖骨…肩へと触れるか触れないかの力で指を這わす。
脇から胸へ腕を伸ばし軽く揉むと、火照る肌がとても綺麗だ。
そのままの体勢で後ろからなまえの足に腕を回しゆっくりと支えるように片足を上げさせた。
鏡越しに目があったなまえは、小さく息をのみやっと自分の中心へ腕を下ろしていく。
薄い茂みに隠れたまだ閉じている丘をそっと二本の指でひらく。すると、全身がカッと赤く染まりどちらのものか分からない鼓動が煩く響き始めた。
ん…ッ、せんぱい…
甘い声なのに時折苦しそうに聞こえる。
ジイッと見入る俺に背くように顔を逸らせば、その都度なまえの足を持つ手に力を込めた。
「ンっ…」
「声抑えないで」
「ん、んっ……っあぁ!」
「……」
グチュ、ズチュ…ヌチャ…少し粘り気のある淫音がなまえのアソコから流れる。
耳朶に舌を這わせれば全身に鳥肌を立て、小刻みにイイトコロを弾くなまえの指先は、速さを増し蜜がヌラヌラと遠目からでも光って見えた。
先程まで好みではなかったはずの音楽さえ気にならなくなるくらい、なまえから溢れるクチャクチャと厭らしい蜜の音で俺の全ての血液は下半身へ集中していた。
「へぇ…気持ち良さそう」
「っはぁン…!」
ヌチャリ…と一つ水音が届けばギュッと唇を噛みなまえの身体はこれから起こる何かに備える。
(そろそろ、か…)
―――っ…あ、せんぱ…!っだ、めぇ、っぁ…あ、あ、いッ…!
「……ぇ…」
「……」
すっと身体を引く。不満そうな目をよこすなまえ。
そりゃそうか、もう少しでイケるところだったもんね。だからってあの約束「何でも言うことを聞く」を忘れたとは言わせないよ?
(この際男の事情は)
「俺の、言うこと聞くんじゃなかった?」
「……」
「なに。オナニーしてさよなら。で、いいの?」
「…っ!」
上目遣いに俺を伺うなまえ。頬は真っ赤に目は潤んで。口ほどに物を言うその目から俺への思いが伝わる。
でもまだ俺は、簡単に好きとは言わない。言えない。その代わりに……ちゃんと抱くから。
約束したからじゃない、心から抱きたいと思えたから。
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