03.火の王シル


「あ、暑いー!何ここ…火山?」

ミリアの屋敷を後にし草原を歩いた先にあったのは、岩の地帯が広がる中にある火山であった。
頂上からは火が吹き荒れており、今にも爆発しそうだ。

「入りたくない…。でも、なんかメノウカードになる魔物がいそうな気がする」

何故か、頭の中がここに入れと言っている。
そして、ヒロインは意を決して火山の洞窟の中へと入っていく。

「あ、暑い…なんて暑さなの…」

水の防具を身に付けていても、本当に暑い。
暑さで熱中症になりそうな勢いだ。

「このままじゃやばい…どうすれば…」

汗だくになりながら、ヒロインはフッと何かを思いついた。

「今…私が身に付けているのは、多分水の防具…だよね?前が風の防具だったとして、風の魔法が使えたんだから…水の魔法が使えるかも」

防具から連想し、ヒロインは風の魔法を唱えた時と同じ様に、片手を掲げる。

「…ウォーターホウ!」

ヒロインが唱えた瞬間、掌から水が溢れ出し周りの火山の溶岩を消し去っていった。

「やった!自分凄い!」

自分で自分を褒めると、ヒロインは奥へと進みながらどんどん溶岩を消していく。
溶岩が消えると、一気に暑さが和らいでいく。

「ふう…やっと我慢できる暑さになった」

笑顔を浮かべ前へと進むが、最奥へと辿り着いた頃には、体力も気力も殆ど使い果たしヘトヘトになっていた。

「疲れた…もう、歩けない…」

最奥には今まで以上の溶岩が溢れており、熱気も凄い。
だが、ヒロインにそれを鎮める体力は既に残っていなかった。
岩の地面に座り込み、へなへなとなってしまうヒロイン。

「何にも…ないじゃない。折角ここまで来たのに…」
「ククク…」
「?!」

座り込むヒロインに、何処からか低い笑い声が響いてきていた。
姿は見えないが、誰かがいるのは事実だ。

「誰?!」
「ククク、レンア姫を救う勇者が暑さ如きにやられているとは…驚きですね」
「あ、あんた誰よ!」
「私はシル、レンア姫をさらった1人です」

ヒロインの目の前に現れたのは、黒くサラサラの長い髪をした美青年。
穏やかな口調でそう答えたが、瞳は笑っていない。
一方、ヒロインは姫をさらった張本人の出現にただ驚いていたが、ゆっくりと立ち上がる。

「あんたが…?!今すぐレンア姫を解放しなさい!」
「嫌ですよ。彼女がいなければ、この世界は私達のもの。邪魔はさせません」
「…自分勝手ね。そういうの嫌われるわよ」
「…口の悪い女ですね。メノウカードを二枚集めて良い気になっているようですね」
「そうよ、あんたなんか倒してやる」

ヒロインはそう言い構えの姿勢をとるが、シルはニヤリと笑っていて余裕を浮かべている。

「面白い…ヘトヘトの貴女に私が倒せるか…やってみましょう!」

そう答えると、シルは何かをヒロインに浴びせてくるが、間一髪彼女は避けていた。
それは火の魔法であり、ヒロインが先程まで立っていた場所が焦げていた。

「凄い…」

ミリアの魔法も凄かったか、シルのは美しさがあり、華麗な魔法であった。
思わず見惚れてしまうが、そうもしていられない。

「はっ!」

シルは次々に、火の魔法をヒロインに浴びせていく。
その都度ヒロインはかろうじて避けていたが、体力が消耗しきっている為、上手く動けなくなっていった。

「逃げているだけでは、私を倒す事など出来ませんよ!」
「く…っ。イケメンのくせに最低…!ウォーターホウ!」

ヒロインは水の魔法をシルに浴びせるが、いとも簡単に火の魔法で消されてしまった。

「うそ…」
「そんな水の魔法、私には効きませんよ。はっ!」
「きゃああぁっ!」

ヒロインはもろに火の魔法を直撃され、後ろの岩の壁へと吹き飛ばされる。
水の防具のお陰で丸焦げは免れたが、防具もダメージを受けていた。

「こんなものではありませんよ。はあっ!」
「きゃああ!」

ヒロインの身体は、再び火の魔法に包まれる。

「う…っ…つ…」

全身が火傷をした様にヒリヒリと痛み、ヒロインは声を漏らしてしまう。
水の防具も壊れ、あちこちが破れていた。
ヒロインの乳首を隠していた貝の形のブローチも壊れ、シルの眼前に露わになっていた。

「おやおや、胸当てを焦がしてしまいましたか。可愛い乳房とピンクの実が丸見えですよ」

露わになったヒロインの大きな乳房と乳首を見て、シルはニヤリと微笑む。

「み、見ないでよ…!!」

頬を染め、ヒロインは両手で胸を隠す。

「…まだ悪態をつける元気が残ってるとは。…は!!」
「!きゃああああっ!!」

再び火の魔法を直撃され、ヒロインの身体は吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられてしまった。

「く…ぁ…っ」

どうにか力を振り絞り起き上がる事は出来たが、立つ事はもう不可能であった。

「…」

そんなヒロインを見ながら、シルは無言で彼女に近付いていく。
そんなシルを、ヒロインは呆然とした瞳で見つめる。

(私…ここで死ぬのね。どうせなら…布団の上で死にたかったな…)

そんなヒロインの顎を、シルはぐっと掴む。

「!んんっ…!」

死を覚悟したヒロインに、シルは何とキスをしていた。
抵抗しようとヒロインは身体を動かすが、火傷でヒリヒリし、体力も残っておらず、どうする事も出来なかった。
シルはヒロインの腰を引き寄せると、彼女の胸の所にある、焦げた防具の残骸を取っていく。
そして全て綺麗に取ってしまうと、右の乳房を掌に包み込むと、ぐにゅぐにゅと揉み始めた。

「んっ!んぅ…や、ぁ…っ!」

キスの合間に、嫌々と首を振るヒロイン。

「抵抗する力がまだありますか。流石…選ばれた勇者ですね」

キスを終えると、意地悪く微笑みながら包み込んだ乳房をぐにぐにと強く揉む。

「あっう…痛い…!やめてっ!」
「失礼。強く揉みすぎましたね」

乳房を掴む力を弱めると、シルはゆっくりと、優しく円を描く様に揉み始める。
強弱の差が妙に感じてしまい、ヒロインはビクッとなってしまう。

「は、離して…っ!殺すんでしょ!?」
「貴女を抱いてみてから考えますよ。殺すか生かすか…ね」
「だ、抱くって…や、やめて、いや、離して!あ…っ」

抵抗しようと身をよじるが、乳房を揉んでいたシルの指が動き、乳首を摘んでいた。

「抵抗しない方が良いですよ。傷が開いて痛いですから」

シルはそう言うと、唇をヒロインの口から首筋へと移動しペロリと舐め上げる。
そして、摘んだ右の乳首を捻る様にくいくいっとする。

「あっ…あん。やぁ…」

ヒロインの口から、吐息が洩れ始めていく。
頭の中で抵抗しても乳首を愛撫されると、抵抗という文字が消えていく。

「良い声が出せるんですね。生意気な口しか聞けないと思いましたよ」
「く…ふざけないで…っ!」
「強気な言葉も良いですが…いつまで出来るんでしょうね」

シルは、ヒロインの首の珊瑚の飾りを飛び越え、鎖骨に舌を這わせていく。
そして、ヒロインを岩壁に押しつけると、支えていた右手を腰から取り、空いている左の乳房を掴んで揉みだしていく。

「あんっ、ぁ…」

再びビクッとなるヒロイン。
両方の乳房を責められ、我慢が効かなくなっていく。

「もうこんなに実が硬くなっていますよ?身体と声は正直ですね」
「ちが…違う…」
「違くないですよ、ほら…」

シルの両方の親指と人指し指が、両方の乳首の根元を摘むと、くいくいっと捻り出す。

「あんっ!」

ビクンと身体を跳ねらせ、ヒロインは声を大きく上げる。

「そんな声を上げて…それでも違うんですか?」

摘んだ乳首を上へと引っ張りながら、くいくいっと同じ様に捻っていく。

「あんあんっ!やっ、やめてぇ…っ!」

喘ぎながら抵抗し、ヒロインは目に涙を浮かべる。

「…止めるわけないでしょう?貴女を私のものにするんですから」

低い声で囁くシルは、そのまま顔を鎖骨から下へと移動させていく。
彼の唇は、硬くそびえ立つ左の乳首へと近付いていた。

「あ…っ、だめ、だめぇ…っ」
「ダメじゃないですよ…」

シルの舌先がツンツンと、乳頭を突く。

「あ…っ」
「…良い硬さです。私の舌を弾き返してくる…。では、美味しく頂きましょう」

抵抗する間も無く、シルの口の中へと左の乳首は吸い込まれていく。

「はあぁ…っ」

シルの舌先が口の中で乳頭の部分に触れ、上、下、左と彼方此方に弾いている。
そして、思い切りちゅううと吸いながら、ちゅぱっと音を立てて引き抜いた。

「あぁんっ!」

引き抜かれた瞬間、余りの強い快感に、ヒロインは後ろへと仰け反り壁を頭に当てていた。

「良い声ですよ…もっとその声で鳴いて下さい」

引き抜かれピンッとそそり立つヒロインの乳首の根元に舌を当て、乳首を乳輪に押しつける様に根元から倒し、そのままコロコロと転がしていく。

「ああんっ」

そして、空いている右の乳房を掴み、ぷにぷにと揺らしながら揉んでいく。
転がしている左の乳首から舌を離すと、ピンッと元の位置にそそり立つ。
空かさずまた口の中に含み、乳首の硬さを確かめる様に根元から上へと優しく噛んでいく。

「はあんっ!あぁんっ。(や、あ…気持ち、良いよぉ…)」

ヒロインの中にはもう、抵抗する気持ちは消え失せていた。
気持ち良くて、ただ喘いでしまっていた。

「はあ…良い硬さです。最高ですね、貴女の実は…。私の舌に合わせて転がっていますよ」
「や…違…っ」
「クク…可愛い声を出してもダメですよ。…止めるつもりは毛頭ありませんから」

シルはまた、左の乳首を舌で突きながら押し倒していき転がす。
そして、右の乳首を人指し指だけで触れると、左右に弾く様に転がしていく。

「はぁんっ!やあ…ああんっ。(こいつは敵なのに…姫様をさらった張本人なのに…。感じるなんて最低。でも…気持ち良い…っ)」

宿敵に感じてしまうなんてと自分でも思うが、身体は正直に反応し、ヒロインに快感を送っていた。
その思いは、シルも同じであった。

(今は…この美しい身体を私のものに)

シルはそう考え、転がしている左の乳首から舌を離すと、人指し指の指先で触れ、ゆっくりと左右に転がす。

「はあぁ…あん…」

そして、左の乳首を転がしながら唇は右の乳首へと移動し、同じ様に硬くそそり立つ乳首を口の中に含み、ちゅううっと吸う。

「はああんっ」

指で愛撫されていた右の乳首が温かい舌で弄られ、その反動がたまらなく気持ちが良い。
舌で弄られた左の乳首は温かい感触が残り濡れており、コロコロと滑りやすくなっていた。

「ああん、あんっ。はああん…」
「ん…ちゅ。良いですよ…貴女のこの実…たまらないです」
「そ、んな…ああっ…」

シルは右の乳首を引き抜いてから、ゆっくりと上下に舌で弾き、左の乳房を大きく捏ねるように揉む。

「はああぁん、ああっ」

そして、右の乳首も濡れて光ると、ピンッと宙を向きそそり立つ。
それをまた口に含み、じゅるっと水音を立てて強めに吸い上げる。

「はあぁんっ、ああぁんっ」
「ん、ちゅう。…本当に、貴女という方は…」

シルは乳首から顔を上げ、ヒロインに囁くとそのままキスをする。
一瞬ビクッとなったヒロインだが、そのままシルを受け入れた。
キスをしながら、シルの両指は濡れた乳首の横を摘むと、コリコリと擦っていく。

「ん、ぁ…ああ、あん…んっ」
「いけない人ですね…キスの最中に喘いでしまうなんて」

キスの角度を変えられながら、乳首を上にきゅっと引っ張られる。

「んっん…っ、あぁん」
「…可愛ですね。貴女の虜になりそうです…」

そう言ったシルの頬には、赤みが帯びていた。
再び顔を下げヒロインの乳房に顔を埋めると、乳首を吸い、片方は指先でコロコロと円を描くように転がしていく。

「はあぁあんっ、ああんっ。シルぅ…あぁんっ」

ヒロインは無意識に、喘ぎながらシルの名前を呼んでいた。
ビクッとなり、シルは乳首を引き抜くと、彼女を見つめる。

「…っ。貴女に名前を呼ばれるのは、本当に良い気分ですね。おかしく…なりそうです」
「え…っ…」

ヒロインの瞳をまっすぐ見つめ、シルはフッと微笑む。

「姫より貴女の方を…ね」
「姫…より…?」
「…いい加減戻って下さい」

突然、2人しかいない空間に声が響いていく。

「…カイ、レンア姫はどうですか?」

シルは表情を変えず、声のする方へと顔を向ける。

「今度は貴方の番です。…お戻り下さい、時間がかかり過ぎかと」

ヒロインには、何のことを話しているのかさっぱり分からない。

「…分かりました。ヒロイン、名残惜しいですが、ここで一旦お別れです」

シルはそう言うと、1枚のカードを取り出した。

「そ、れ…貴方のメノウカード…?!」
「私はこの世界の王ですから、カードになっても姿は消えません。…ではまた、可愛い勇者よ、私達の所まで来てくれる事を願ってますす」

シルはヒロインに軽めのキスをすると、優しく微笑む。
とても、最後の敵の姿とは思えない。

「っ…」
「ふふ…さようなら、ヒロイン」

シルの姿は、スーッとあっという間に空気の中に消えていった。

「一体…どうなっているの…」

掌にあるメノウカードには火の王シルと、明記されている。

「はあ…何はともあれ、助かった…。っ、いたた…っ」

ヒロインは立ち上がろうとするにも、身体中痛くて無理であった。

「シル…人を散々痛めつけて、感じ…させて。…私、嫌じゃ、なかった。気持ち良くて…」

シルにされた愛撫は、胸だけであったが身体中に刻まれ残っている。

「…とにかく、ここにはもう用はないわ」

立ち上がる事もできずどうしようかと思っていると、何処からか再びあの光が現れ、ヒロインの身体を包み込んでいく。

「きゃあ…!防具が…っ」

光に包まれると、不思議と傷の痛みもなくなっていった。
そして光が消えると、新しい防具がヒロインの身体を包み込んでいた。

「これは…火をイメージしたのかな」

ヒロインは大分、この世界の基準が分かってきていた。
メノウカードを手に入れる度に、自分は新しい防具へと変身するのだろう。
火の防具は、炎の形をしたブローチが両肩に付き、そこから火の帯が生え胸を隠していた。
だが、胸が大きいヒロインは乳房が丸見えのままであったが。

「傷も治って全然痛くないし…良かった」

ヒロインは立ち上がると、その場を後にする為歩き出す。
早くも手に入れたメノウカードは3枚、ヒロインの脚は自然と軽くなり、暑い火山を早々と後にしたのであったー。







「…兄さん、遊ぶにしては長いお時間でしたが?」

弟の元へと帰るシル、その弟の表情は笑ってはいない。

「ええ。少し遊び過ぎました。…あの方は、良い身体をしてましたよ、カイ」
「…生憎、俺は興味がないので」

弟のそっけない反応に、兄はクスリと笑う。

「相変わらずですね、私の弟は。…ヒロインを抱けば良さが分かりますよ」
「…」
「では、私は姫の所へ行きますから」

シルは笑顔を浮かべながら、カイの元から離れていく。
兄の反応に少なからず苛々していたカイは、表情を歪ませたまま口を開く。

「レム」

カイがそう言うと、スッと静かに男性が現れる。

「はっ、カイ様、お呼びでしょうか?」
「ヒロイン…勇者の女を止めてこい。犯してお前の女にしても良い」

それを聞き、レムと呼ばれた男性はニヤリと笑う。

「喜んで、では、早速…」

レムが行ってしまうと、カイは宙を見上げ呟いた。

「ヒロイン…か」

カイが呟いた先に見るヒロインは、火山を抜け氷の地帯へと進んでいたー。


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