15.炎の王シル再び


「…じゃあ、シル…で」
「ふふ、良い選択です」

ヒロインが呟いた言葉に、シルは満足そうに笑う。
カイの方が良いと、心と頭では理解していた。
だが、シルに一度愛撫されたあの意地悪だが優しい感覚が、ヒロインの身体を震わせてしまっていた。
またあの感覚を味わいたい、シルに触れて貰いたい、ヒロインはそう思わずにはいられない。

「では、早速私の部屋へ行きましょう、ヒロイン」

シルがヒロインの腕を取り、爽やかな笑みを浮かべる。

「う、うん…」

シルが腕に触れただけなのに、ヒロインは身体に熱が走るのを感じる。
シルを選んだ事で、心も身体も既に彼を求めてしまっていた。

「…兄さん、あまりヒロインを困らせないように」

カイが顔を歪ませ、兄を咎める。
兄が意地悪だという事は、弟である彼の方が分かっていた。

「分かっていますよ、カイ。程々にします」
「…あくまで彼女を元の世界に帰す事が目的ですから」
「ええ、そのつもりですよ」
「…ヒロイン、改めて言う。本当にありがとう」
「カイさん…」

笑顔でそう優しく言葉を紡ぐカイ。

「…元気でな」
「ありがとう…。カイさんも、お元気で…」
「ああ…」

ヒロインとカイの間に、温かく優しい空気が包んでいる。
それをひしひしと感じていたのは、他でもないシルであった。

「…行きますよ、ヒロイン」
「ちょ、シル…?!」

掴んでいた腕を強引に引き寄せ、シルは自分の方へヒロインを寄せる。
彼は珍しく、嫉妬という炎を心の中で燃やしていた。

「…」

兄の心中を理解するカイも、それ以上何も言う事は無かった。

「ヒロイン」

シルの部屋へと向かう前、レンア姫が声を上げる。

「本当にありがとう。…貴女と私は同じ。…どうか、元気でいてね」

目の前で穏やかな笑みを浮かべる女性が、こちらの世界の自分自身だとはまだ理解出来ないが、それは紛れも無い事実であった。

「いえ…。レンア姫も…どうか、どうかお元気で…」

ヒロインはそう答え、自分から手を差し出す。
レンア姫も手を取り出し、二人は強く握手を交わす。

「ヒロイン…」
「レンア姫…」

お互いもう一人の自分を見つめ、コクンと頷く。
ヒロインは、きっともうレンア姫は大丈夫だと、そう確信した。
レンア姫も、きっとヒロインに幸せが待っている、そう確信した。

「お元気で、ヒロインさん」
「サリさんも、お元気で」

カイ、レンア姫、サリに別れを告げ、ヒロインはシルに腕を掴まれたまま彼の部屋へと足を踏み入れる。
濃い赤の家具で統一された、豪華と言える雰囲気の部屋であった。

「…貴女は何故、私にだけ心を開かないんですか?」
「え…」

シルはヒロインの方へと振り向かず、前を見据えたまま言う。

「姉上には勿論、サリ、そしてカイにはあんな笑顔を見せて。…私には警戒を見せている。そんな感じを受けます」
「え、別にそんな事ないけど…」

ヒロインにとってシルだけ避けてるつもりなどない。
カイがとても優しく、彼に惹かれていないといえば嘘にはなるが、それでも、ヒロインはシルを選んだ。
これから抱かれる相手としてー。

「だったら…私カイさんを選んでたわ。あんたに…シルに抱かれたいって思ったから…選んだんだから…」

自分で言っていて恥ずかしくなり、ヒロインは顔を横に向ける。

「…」

そんなヒロインの言葉に、シルは驚きの表情を浮かべていた。
そして、激しく燃えていた嫉妬の炎が静かに消えていくのを感じ、ふふっと笑う。

「どうやら…私の考え過ぎのようでした」

シルはヒロインへと向き直り、彼女の頬に手を伸ばす。

「貴女があまりにも弟達に良い笑みを浮かべるので、嫉妬してしまいました」
「え、シルが嫉妬…?」
「私は独占欲が強いのです。…ヒロイン、貴女を誰にも渡したくない。私を選んだ時点で貴女は…私のものですよ…」

シルはそう囁きながら、頬から顎へと手を伸ばし、ヒロインを引き寄せその唇に触れる。
彼とは二度目のキスだったが、ヒロインは勿論、嫌ではない。
唇の間から入ってくるシルの舌を自ら絡ませ、彼を受け入れていく。

「…ん、ん…シル…」
「…ちゅ。貴女に名前を呼ばれるのはやはり…とても心地が良いです。貴女が姉上だから…という事実は関係ない。私が貴女に惹かれているからでしょう」

ヒロインを見つめ、シルは優しく呟く。

「貴女を元の世界に帰す為に抱くのではない。…貴女を愛してしまったからこそ、私は貴女を抱きたい…」
「!シル…」

意地悪なシルの表情はそこにはなく、優しい笑みを浮かべた彼がそこにはいた。
そして今の言葉で、ヒロインはより一層シルに心を奪われていた。

「私も…シルが…好き…。意地悪だったけど、それでも優しく触れてくれたし…」
「ええ、私は惚れた女性をいじめるのが好きなんです」

シルはクスリと笑い、ヒロインの目の前に顔を再び寄せる。

「私を選んでくれて、好きになって頂けて嬉しいです。…愛しています、ヒロイン」
「シル…ん…」

シルの笑顔と温かい言葉と共に、再び二人は口づけし合う。
想いが通じたキスはこれほどまで気持ちが良いのかと、シルの唇を受けながらヒロインは思う。

「…この防具、ヒロインによく似合っていますよ」

光の防具に包まれたヒロインを見て、シルは言う。

「あ、ねえシル…私ってメノウカードを手に入れるのと一緒に防具も変わってきたけど…どうしてなの?」
「それも私とカイの魔法の一種ですよ。まあ…防具のデザインはわたしの趣味ですが」

クスリと、シルが得意な意地悪な笑みを浮かべる。

「えっ、シルが防具を考えたの?…っ、あ、あのさ、この防具もそうだけど、みんなおっぱい見えちゃうんだけど…!」
「良いではないですか、貴女の綺麗な乳房を強調出来る最高のデザインですよ…」

慌てるヒロインを尻目に、シルは意地悪い笑みを浮かべたまま、彼女の大きな乳房へと手を伸ばす。
光の防具、と言っても光の布で出来た薄いシャツが乳房を半分程しか隠しておらず、下はミニスカートにブーツ。
これが全部シルのデザインだと分かりヒロインは驚いてしまったが、それでも彼を嫌う事はない。
シルの細く長い指がそのシャツの上を這い、そのまま大きな乳房に触れ、優しく撫で始める。

「んっ…」

シルの指が乳房をなぞるように動き、ヒロインはビクンと身体を震わせる。

「ふふ…本当に大きくて見事な乳房ですね。またこうして触れられるとは思ってもいませんでしたよ」

シルはそう言い、乳房を優しく撫であげながら、その中央付近に指先を集め、ゆっくりと指先を円を描く様に動かしていく。

「ぁ…っ、や、シル…っ」

薄いシャツの布越しから何度も指先で擦られていくと、甘い痺れと共にシャツの下で大人しく身を潜めていた乳首が硬さを帯び、その存在を主張し始めていた。
シルは直ぐに乳首の存在を見つけ、更に指先で刺激を送る。

「あんっ…!シルやだ…っ」
「貴女は相変わらず素直じゃないんですね。…でも、そこが貴女の可愛い所ですが。ほら…身体の方はとても正直ですよ…」

シルはニヤリと笑い、シャツの下から突き出ている乳首を指先で当て、ゆっくりと転がしていく。

「ぁ…あっ…ん。やぁ…」

嫌々とヒロインは口にしてしまうが、嫌ではない、寧ろもっとしてほしかった。
だが、快楽に身を任せたらこれまでと同じ様に、シルも消えてしまうのではないかという不安に駆られていた。
そんなヒロインの不安を打ち消す様に、シルは乳首を指先で優しく撫で、上下に弾く様に指を動かしていく。

「あん、ぁ…んっ…」
「クス…ほら、こんなにもう乳首が硬くなってしまいましたよ…」

シャツの下で硬く尖る乳首を指先で感じ、シルは笑みを浮かべる。
そして、ヒロインの首筋に顔を埋め、ちゅっと唇を落としながら、乳房をぐにゅりと揉み、そして乳首を撫で上げていく。

「あ、ん、あんっ…シル…ん、ぁん…」

シルの両肩に掴まり、どんどん強さを増す快楽に耐える様にヒロインは声を漏らす。
立ったままでは辛いだろうと、シルは一旦乳首から手を離し、ヒロインを抱き上げると、奥のベットへと横たわらせる。
ベットに仰向けになったヒロインの上は に、シルが覆い被さり、彼女をじっと見つめる。

「ヒロイン…私は消えたりしません。安心して私に身を任せなさい…」
「シル…」

ヒロインの不安を、シルも分かっていた。
消えたりはしない、その言葉にヒロインは安心しコクンと頷く。

「それで良いんですよ。…貴女は私に可愛い声を聞かせて下さい…」

シルはそう言い、ヒロインの首筋に再び顔を埋め、唇を這わせていく。
寝ても形が崩れない見事なヒロインの乳房に再び手を這わし、ぐにゅぐにゅと揉み込んでいく。

「あん…っ、ああ…ん…」

シルから与えられる快感はとても官能的で気持ち良く、ヒロインは彼のサラサラの髪に手を回す。
乳房を這うように揉んでいると、硬くなったままの乳首にシルの細い指先が当たる。
その途端ビリッと甘い電気が走り、ヒロインは首を仰け反らせてしまう。

「ああっ!ん、ぁ…あぁ…」
「クス…乳首が硬いままですね…」

ヒロインの反応に笑みを浮かべるシル。
一端乳房を揉むのを止め、薄いシャツの裾を掴み、ぐいっと上に託し上げると、ぷるんっと揺れ大きな乳房と硬い乳首がピンッとなり露わになった。

「久しぶりに貴女の乳房と乳首を見ましたよ。…本当に美しい…」

そう言うシルの頬は、少し赤く染まっている。

「っ…恥ずかしい…」
「クス、勝気な貴女のその恥じらい、最高です」

シルはヒロインの恥じらう姿も可愛いと心から思い、そのまま胸の谷間に顔を埋める。
唇でちゅっちゅとキスを落としながら、両方の乳房を掴み指を食い込ませながら揉んでいく。

「ふあ…ん、あん…あぁ…」

自然と甘い声がヒロインの口から漏れ、木霊していく。
シルの乳房を揉む指先も自然と伸び、硬くそびえ立つ乳首に触れ、根元を摘むとくいくいっと捻る。

「あんっ!あん…やぁ…シル…っ」

直に乳首を愛撫され、ヒロインは悦びの声を上げる。
その声に導かれる様にシルはヒロインの左の乳首へと舌を当て、根元から先端へとペロリと舐め上げる。
そして、そのまま口の中に乳首を根元まで含ませ、ちゅうぅっと優しく吸い上げる。

「あぁん!」

ビクンと、ヒロインは身体を震わせる。
左の乳首を音を立てながら吸い、右の乳首の根元を摘み、くいくいっと捻っていく。

「ああんっ、あんっ、あぁん」

ヒロインの声は大きく上がり、快楽が強くなっていることを物語っている。
その声を心地良く感じながら、シルは乳首を吸いながら舌を絡め、その硬さを味わう。
右の乳首も捻りながら上へと引っ張り上げると、更にキュッと締まっていく。

「あぁん、ん、あん、ああんっ」
「ん…ちゅ、本当に良い声ですね…この乳首も硬くて…とても美味しいですよ…」

舌と指で愛撫された乳首は、ヒロインの甘い声と共に硬く引き締まっていた。
その硬さを堪能する様に、シルは左の乳首の根元から先端へとペロペロと舐め上げていく。
右の乳首も人差し指の指先で押さえると、コロコロと上下左右に転がしていく。

「あぁん、あんっあん…ああん…シルが…気持ち良くして、くれるから…あぁん…」
「ん…当たり前です…私は貴女に惹かれているのですから。…やっとこの手で…本当に好きな貴女を抱ける…」
「シル…」

シルの言葉が本当に嬉しく、ヒロインは彼を見つめる。
シルもヒロインを見つめており、二人はそのまま唇を重ねる。

「ヒロイン、愛しています。心から…貴女を愛しています」
「シル…私も…貴方のこと好き…愛してるわ…」
「…初めてですよ。こんなに…嬉しいと思える気持ちは…」

端正な顔立ちのシルの頬は熱を帯び、赤く染まっていた。
そして、今度は右の乳首へと舌先を当て、ペロペロとゆっくり舐め上げる。

「あぁ…っ…」
「クス…指で弄っていたせいで、こんなにキュッと引き締まってしまいましたね…」

舌から感じる右の乳首の硬く引き締まった感触に、シルは意地悪く囁く。

「はぁ…ん、だってシルが…指で…する、から…っ」

シルの意地悪な囁きも、今のヒロインにとっては嬉しいものであった。
好きな人からの甘い囁きは、官能の渦へと変化していくのだから。

「ふふ…そう、私が指で弄ってしまったから、こんなに硬く凝ってしまったのです。…直ぐに、此方も熱くさせてあげますよ…ん」
「ああ…っ…」

切なく甘い声を上げてしまうヒロイン。
ペロペロと乳頭だけを突いていたシルの舌が、乳首の根元まで絡み、そのまま口の中へと含まれる。
そして、ちゅううっと強めに吸い上げられると、ヒロインは思わず腰を浮かせていた。

「ああんっ!あん、あんっ…あぁん」

乾いた右の乳首は一気に熱を帯び、まるで柔らかくなっていくような感覚に陥る。
だが、実際は柔らかくなっておらず、更に硬さを増しキュッと引き締まっていた。
それをちゅうちゅうと吸い、濡れた左の乳首を摘み、そのヌルッとした感触を楽しむようにくいくいっと捻る。

「はあんっ、あんっ、あぁん…っ」
「ん、ちゅ…ヒロイン…」

シルがヒロインの名を愛おしく囁きながら、右の乳首を一度引き抜く。
そして根元に舌を当て押し倒し、根元から乳首を倒しながらコロコロと転がしていく。

「あぁんっ、ん、あんっあぁ…」

左の乳首も人差し指で乳頭を押さえ、コロコロと上下左右に撫で転がしていく。
そして、転がすのを止め元の位置に戻った乳首を再び口の中に含み、優しく吸い上げる。

「はあん、ああんっ。あんっ…シル…っん、あぁん…」

シルの長い髪に触れ、ヒロインは仰け反って甘い声を上げる。
脚は自然に左右に開いていき、脚の間からは、シルを受け入れる為の甘い蜜を溢れさせていた。
それに気がついたシルは、空いている右手をお腹に這わせ、そのまま脚の間へと指を進ませる。

「やあ…シル…っ」
「嫌ではないでしょう…?こんなに甘い蜜が溢れていますよ…」

ビクッとなるヒロインに、シルは蜜を溢れさせている入り口に人差し指と中指を当てる。
すると、そのままズプリと音を立て、指は二本とも中へと飲み込まれていく。

「ああっ!んっ、あぁっ…」
「私の指を飲み込んでしまいました…ふふ…本当に、貴方は感じやすいんですね…」
「そ、んな…ああっ…」

シルがそう言うと、ヒロインは更に顔を赤くさせる。
そんな彼女が愛おしくて仕方なく、シルは乳首をちゅぱっと引き抜き、そのまま唇を乳首からお腹へと這わせながら、膣の中へと入った指を上下に動かしていく。

「ああんっ!あんっ、ん、あぁんっ」
「ん、ちゅ…ヒロイン…」

シルの長い髪が肌に触れ、くすぐったさを感じる。
だが、くすぐったさよりも甘い痺れとなった快楽の方がずっと強く感じていた。
出し入れされるシルの指を逃すまいと、ヒロインの膣は強く締め付けている。
それに心地良さを感じながら、シルの唇はおへそを通り越していた。
指を引き抜き蜜が溢れ出ると、代わりにシルの熱い舌が入り口に触れ、レロレロと蜜を舐め上げ始める。

「あぁあんっ!」

ビクンと、ヒロインの腰が大きく跳ね上がった。
彼女を逃すまいと、シルは両手で内腿を押さえ、大きく開かせる。
そして、ヒクヒクと疼いている蜜の入り口に吸い付き、じゅるっと音を立て吸い上げる。

「やんっあんっ、ああぁんっ!シルだめぇ…はあぁんっ、ああん」
「じゅるっ、ん…身体は駄目とは言っていませんよ…」

舌先を尖らせ蜜の入り口に当て、チロチロと素早く舌を弾き刺激を送る。

「あん、あんっ!ああんっ…はああん…」

ヒロインの喘ぎ声は、シルから与えられる快楽と共に大きく、甘いものへと変わっていた。

「貴女の蜜はとても甘くて…私を惑わす媚薬の様ですね…ん…」

シルが囁きながら、ヒクつく入り口を尖らせた舌先で優しく突き、そして下から上へと丁寧に舐め上げる。

「はあぁんっ、あんっ、ん、シル…っ、だめぇ…」

声を大きく上げながら、ヒロインは脚にツンと痺れる感覚が走り、乳首も更に尖り始めていた。
快楽の頂点へと達そうと、身体はシルの愛撫に強く反応している。
シルもヒロインが達しそうな事を感じると、舌を膣の中へ入り込もうと、細かく舌先を使い回転させていく。

「あぁあんっ、あんっ、はあんっ、ん、イいよぉ…はあぁん」

それが堪らなく気持ち良く、ヒロインはシルの長いサラサラの髪に触れる。
何かに掴まっていないと、もう達してしまいそうであった。
そんなヒロインの気持ちを理解しているシルは、入り口を刺激するのを止め、いきなり全く刺激を送っていなかった赤い実に吸い付き、ちゅううぅと強く吸い上げた。

「あぁああんっ!やあんだめぇ!イく…あぁあん!イっちゃ…ん、はあぁんっ、あんっ、あぁああん!!」

突然のクリへの刺激に、ヒロインの身体は一溜まりも無かった。
脚は震え、シルの髪に触れながら、ヒロインは腰を浮かせ、甘い声を部屋中に響き渡らせ達してしまった。

「…良い声を聞かせて頂きました」

シルはヒロインの脚の間から顔を上げ、彼女を優しく見つめて言う。

「はあ…はあ…シル…」

イった余韻に浸る中、ヒロインもシルを見つめる。
そのまま二人は見つめ合い、唇を重ねる。

「ん、ふ…あ…っ!」

キスをしたまま、シルの硬く熱くなったものがイったばかりの入り口に当てられ、思わずヒロインはビクッとなる。
こんな時にと思ったが、男性のものを感じたのは本当に久しぶりだと、ヒロインは思った。
この世界に来てから、それ以前、真麻と別れた後から、ずっと男性のものとは無縁であった。
ルト、ミリアの男、シル、レム、ルミ、街の青年達から甘い快楽を与えられ続けたが、イくだけイかされ、男性のものを受け入れる事が出来なかった。
それがどれ程辛いか、ヒロイン自身、そしてもう一人の彼女、レンア姫は嫌という程理解している。
そして今、心から愛する男性のものを受け入れようと、とろとろになった蜜の入り口が更にヒクヒクと振動する。

「…怖いですか?」

ヒロインの心情を理解し、シルが彼女を見つめる。

「…怖くないわ。でも…シルが消えたらって…」

ルトやレム、ミリアの男など美青年の魔物達、そして街の青年達は皆ヒロインをイかせ、メノウカードになってしまった。
シルも消えてしまうのではないかと、ヒロインは不安であった。
そんな彼女にシルは再びちゅっとキスをし、優しく見つめる。

「大丈夫です…私は消えたりしません。…ずっと、貴女と一緒にいます。…愛しています、ヒロイン…。…ッ…」
「シル…私も愛してる…っん、ああっ!!」

最後は言葉にならず、ヒロインは大きく声を上げてしまう。
シルの硬い先端がクグッと力をこめ、蜜の入り口をこじ開けていた。

「ああんっ、んっ…シル…っ!」
「く…大丈夫…消えたりしません…ッ」

ゆっくりと中へと挿入されるシルのものを、ヒロインは必死で夢中で締め付けていた。
待ち望んでいた快楽が逃げないよう、シルのものが奥へと進むたび、強く締め付ける。

「シル…あぁんっ、んっ…ああっ…!」

ヒロインはシルの背に手を回し、彼が離れないようにと願う。
シルはヒロインの頭を撫でながら、確実に奥へと自身を進ませる。

「ほらヒロイン…奥に着きましたよ…」
「ああっ…」

ずっと疼き我慢の限界だった膣の中がシルのもので満たされ、ヒロインは吐息を漏らす。
こんなに気持ちが良いのかと、ヒロインは改めて感じた。

「シル…貴方と一つになれて…嬉しい…っ。ずっと…したかった…」
「ええ…私も火山で貴女に触れた時からずっと…貴女を抱きたかった。ヒロイン…やっと貴女と一つになれた…ッ」
「シルっああっ…あんっ、あぁあんっ!」

お互いの想いが通じ合うと、ビクンと波打っていたシルのものがゆっくりと抜かれ、グンッと勢いよく奥を突き始める。
その途端、腰の奥から甘く強い快楽が伝わり、ヒロインは仰け反ってしまう。

「く…」

自身を根元まで引き抜こうとすると、ヒロインの膣が強く締め付ける。
その締め付けはシルにも快楽を起こし、端正な顔が甘く歪む。
そして、自身を先端部分を残して引き抜くと、一気に奥へと突き上げる。

「あぁあんっ!あんっ、はあぁんっ!」

シルの肩を掴み、ヒロインは強い快楽に声を響かせる。
待ち望んでいた快楽は、堪らなく、蕩けるような感覚であった。

「ヒロイン…ッ」

腰が動くたび、シルのサラサラの黒髪がヒロインの乳房や肩に当たる。
彼の髪は綺麗だと、ヒロインは改めて思った。
自分ももっとシルを感じたいと、ヒロインも彼の腰の動きに合わせ、腰を動かす。

「あんっあんっ、はあんっ。んっ、はあぁん」
「く…ッ…」

ヒロインが腰を動かした事で肌がぶつかり合い、パンパンと乾いた音が上がり、二人の愛の激しさを物語っていた。
シルの自身がその快楽を受けビクンと波打ち、それがヒロインの膣の壁に伝わり、更に強い快楽を引き起こす。

「はああんっ、ん、ふあぁんっ。シル…良いよぉ…っ」
「私も…ですよ…く…貴女の中は熱く…良い締め付けです…ッ」

ヒロインの腰を掴み直し、シルは腰を小刻みに動かす。
彼の先端部分が蜜の入り口をくちゅくちゅと刺激し、中の壁を擦り上げていく。

「ああぁん、あんっ、はあんっ、ん、ああん」

シルに掴まり、ヒロインはもう喘ぐ事しか出来ない。
ずっと我慢してきた渇きが満たされた快感は、今まで感じたことの無い幸せに満ちていた。
それはヒロインの膣にも伝わり、抜き挿しされるシルのものをキュッと締め付け、まるで搾り取る様に吸い付いていた。

「く…ッ」

シルの表情が更に歪む。
そして、その締め付け感を味わおうと抜き挿しする速度を速め、最奥を突き上げる。

「はあぁんっ、あんっあんっ!だ、だめぇ…シルっやぁあんっ」

頭の中が白く靄がかかり、脚の先が震え始める。
二度目の絶頂を、ヒロインは迎えようとしていた。

「ッ…ヒロイン…私も、限界です…ッく…」

抜き挿しする度に強く締め付られ、シルのものが大きく波打ち始める。
彼もまた、絶頂を迎えようとしていた。
ヒロインもそれを感じ取り、シルの背に手を回す。

「シル…あぁんっ、あんっ、愛してる…私を…あっ…離さないで…っ」
「離しませんよ…貴女は私のもの…誰にも…渡しません…ッ」

ヒロインもシルも、本来の目的など忘れお互いの温もりを感じ合う。
元の世界に帰るためにシルに抱かれている事など、ヒロインはすっかり忘れてしまっていた。

「あっあっ…あぁあんっ!イっちゃ…あっ…あぁん!」
「く…ッ…!」

身体を震わせ、二度目の絶頂を迎えたヒロイン。
シルのものもビクンと震え、膣の中へ熱い欲望が放たれていく。
それを心地よく感じながら、ヒロインはそのままスッと意識を手放すのであったー。





「…ん…」

ヒロインがゆっくりと瞼を開けると、そこには見慣れた白い天井があった。

「あれ…」

ヒロインはボンヤリとする頭の中で、何故家にいるのだろうと、思考を巡らせる。

「!シル?!」

ベッドから飛び起き自分の部屋を見渡すが、愛しい彼の姿はどこにも無かった。
それは同時に、元の世界に帰ってきた事を意味していた。

「嘘…でしょ…シル…っ、離さないって…言ったのに…っ!」

身体を抱え座り込むヒロイン。
先程までシルに抱かれていた熱い余韻は、まだ身体にはっきりと残っていた。

「シル…っ、また貴方の世界に行きたい…っ。お願い…また私をそっちの世界に呼んでよ…っ!ねえ…っ」

ヒロインがいくらそう叫んでも、光が現れたり、何か変化が起こる事は無かった。
服装も、あの世界に行く前に着ていたパジャマに戻っていた。

「シル…っ」

愛しい人との別れは余りにもショックが大きく、ヒロインは立ち上がる事が出来ない。
部屋の一室で一人、ヒロインは暫くシルを想い泣き続けるのであった。



「おはようヒロイン」
「おはよう…」

仕事場に出勤し、同僚の挨拶に答えるヒロイン。
あちらの世界で過ごした時間は、こちらの世界ではたった一晩であった。
仕事をクビになる事もなく、ヒロインは出勤出来たのだが、受けた心のダメージは生々しく残っている。

「元気ないけどどうしたの?大丈夫?」
「う、うん、平気…」

ヒロインは無理に笑顔を作り、心配する同僚にそう答える。

「あ、そういえばね、今日新人さんが入るって」
「え…そんな話あったっけ?」
「うん。突如決まったみたい。凄い優秀でやり手だって。しかもイケメンらしいよ、ふふっ」

期待の新人がイケメンだという事で、同僚は嬉しそうに話す。
が、今のヒロインにとってはどうでも良い事であった。
仕事が始まる時間になると、上司が新人と思われる男性を連れ入ってきた。
ヒロインは顔を上げず、その男性を見ようとはしなかった。

「おはよう。えー、新しく仲間に加わる事になったシル君だ」
「…え…?」

上司が放った言葉に、ヒロインは思わず耳を疑った。
ゆっくりと顔を上げそちらを見つめると、黒くサラサラの長い髪をし、スーツを着た美青年が立っていた。

「シルと申します。皆様、どうぞよろしく」
「きゃっ、凄いイケメン!」
「かっこいいっ」

シルと名乗った男性の言葉に、女性達は目をハートにし歓喜の声を上げる。

「嘘、でしょ…シル…?」

ヒロインが男性を見つめていると、彼もまた、彼女を見つめにっこりと笑う。

「シル君の机はヒロイン君の隣だ。ヒロイン君、よろしく頼むよ」
「あっ、は、はい…!」

上司にしどろもどろになりながら返事を返すと、シルがゆっくりとヒロインに歩み寄る。

「…ヒロイン」
「!シル…っ」

ヒロインに向けた笑みと声は、シルそのものであった。

「あちらの世界はカイと姉上にお願いし、こちらの世界に来てしまいました。…ヒロイン、貴女とずっと一緒にいる為に」
「本当に…?本当に…シルなのね…っ」

涙が堪えそうになるのを押さえるヒロイン。
二度と会えないと思っていた彼に会えたのだ、その気持ちは胸の奥からジワリと温かく広がる。
そんな彼女の手に、シルは自分の手を重ね優しく握る。

「ええ…本当に私ですよ。…ヒロイン、これからはずっと…一緒です」
「うん…っ!」

二人は見つめ合いながら、お互いの気持ちを確かめ合うと手を強く握り合う。
同僚達がヒロインとシルの親密な様子を見て、頭にハテナを浮かべるが、再会した二人にはそんな事は関係ない。
そのまま二人は抱き合い、お互いの温もりを確かめ合う。

「ヒロイン…愛しています。ずっと…離しません」
「うん…っ、私もシルを愛してる…っ」
「嬉しいです」

抱き合う二人を見て、その場にいた者はポカンと口を開けていたが、誰一人、馬鹿にする者はいなかった。
この事がきっかけで、ヒロインとシルは、仕事場でも公認の恋人同士となったのであった。

「こちらの世界でも、貴女を色々な防具に変身させたいですね」
「だ、だめ!」
「…残念です」

肩を落とすシルを見て、ヒロインは思わずクスリと笑う。
いつかまた、色々な防具を着て、冒険の旅をしてみたいと思った。
その隣には勿論、シルも一緒にと、ヒロインは心に思い浮かべる。

「愛しています、ヒロイン…」
「ん、あん…シル…」

ヒロインの部屋にシルが暮らす事になって以来、彼女の甘い声が上がらない日々はない。
蕩けるような甘い日々を、ヒロインは幸せを噛み締めながら過ごすのであったー。





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