葛かずら


※時系列は、2人の関係に亀裂が入った後になります。ギャグっぽい始まり方ですがえっちなお話です。苦手な方はご注意ください。




「分裂しちまった」

そんなふうに笑って言う銀時に誰もが頭を抱えた。

***もその頭を抱えたうちの一人で、目の前で白い格好をした2人が同じように頭をかいて欠伸をしたり、鼻をほじったりしている。

「金時がふたりじゃの」
「うるせーのが2倍になってどうすんだよ、おいヅラ。解決策は?」
「俺に聞くな。知らん」

坂本辰馬、高杉晋助、桂小太郎が口を揃えて言った。

「じ、時間が解決するんでは?」

お昼を過ぎた時分、***が廃寺に足を踏み入れれば待ってましたとばかりに、慌てたような高杉と桂に引きずられて2人に増えた銀時の前に座っていた。

「時間?困んだよねいい加減な事言われると」
「そうそう、無責任なこと言うなよな」

ふたつの口が同じ声で***を詰った。

「いや、でも、さ…戦力的には助かるんじゃ?」

助け舟を求めるように3人に視線を送れば、なんとも言えない顔で三者三様、首を横に振った。

「言ったろう、分裂したと」
「……?分裂、うん」

桂の言葉に頷く。それは見れば分かる。

「増殖とは言わなかったろ。文字通り分裂して割れてんだよ、力も」

高杉の手が片方の銀時の頭を掴んだ。

「いっでっ…!てめェこのヤロー!」

銀時の手が高杉の手を掴むも力が足りないのか、びくともしなかった。

「何の役にもたたねーうるせェ口が増殖しただけで、活躍のしどころもねェんだよ」
「活躍のしどころ?あるに決まってんだろ」
「良かったなァ、プルトップが分裂しなくて。お前の場合は身長が縮んだんじゃね?」

高杉1人に銀時2人。高杉は不機嫌そうに舌打ちをするも、相手をするだけ無駄だと思ったのか話に戻る。

「えぇ、…そもそもなんで分裂したの?」
「天人の兵器ぜよ。大筒を撃ってきてのう。金時が砲弾を叩き斬ったら中に何かの薬剤が入ってたみたいでこの様じゃ」
「直撃したのは銀時だけで他に影響はない」
「だから取り敢えずこの情報が漏れねェように銀時を隔離してる」
「力が半減している今狙われでもしたら大変だからな」
「そこで***ちゃんに頼みがある。金時の世話を頼みたいんじゃ」
「……はぁ、」

次々と与えられるよく分からない情報に頭を回しながら、相槌を打つ流れで頷いてしまった。
それに2人の銀時が面倒くさそうに文句を垂れる。

「世話ァ?いらねーから早く解決策持ってこいや」
「息が詰まんだろ、部屋に籠ってると」
「すまんが***、頼む」

手を握って頼んでくる桂に他2人の顔を見れば、要約すると「無茶をしないように見張ってろ」という事らしかった。



***はせっせと手を動かして包帯を作っていた。
白いさらしや手拭いを包帯の長さに切って丸める。そうすればいざという時にすぐに使えるから。
それを両脇に座った銀時が手伝ってくれると、みるみるうちに包帯の補充は終わり、手持ち無沙汰になった。
狭い部屋に銀時と2人きりで一緒にいるのは体を求められてから居心地が悪い。今は3人だけど。
でもなるだけそれを表に出さないようにした。めんどくさいって思われるのがすごく嫌で。

「手伝ってくれてありがとう」

持ってきていた甘い銀時が好きそうな菓子を巾着から出した。
少し弧をかいた色とりどりの豆型をしたお菓子。外はツヤツヤした砂糖と蜜蝋で固められている。
2人に増えた銀時に、どちらに先に渡しても不平不満が出てきそうで巾着から出して包んだ懐紙を広げると差し出す。
包帯作りで疲れ気味の銀時の目が少しだけ輝いた気がした。

「「ゼリービーンズ」」

2人揃って声を上げると一粒、また一粒と口の中に消えていく。

「お前は食わねェの?」

片方の銀時がそう言うと、もう1人の銀時が手にしたゼリービーンズを口に差し込んできた。
つるりと滑って口にはいってくると、弾力のあるそれを噛んでじわりと広がる甘さが美味しくて頬が緩む。
もうひとつと思って手を伸ばした手を銀時の手が掴んだ。

「……っ、」

指が絡まって握り込まれる。
油断してた。明り取りの子窓を見れば日は陰って室内に何本か置かれた蝋燭だけが光源だった。
ふにっと銀時の指が唇に触れる。くいと指が入り込んでくると歯をこじ開けてくる。

「やら、っなにひて」

ぐっと入ってきた2本の指が、口の中をぐちぐちといじってくる。硬口蓋を擦って喉奥まで指を入れては出して、まるで秘所の内側を愛撫するような手つきに、飲み込みきれなかった唾液が掻き出されて口端をたらりと垂れた。
あ、着物が汚れちゃう。そう思うと落ちる前に銀時の舌にぺろり舐め取られる。口端に口づけられて舌を引っ張られた。
目の前でぱくりと銀時の口唇に挟まれてぢゅうと吸われる。
食べられちゃう。そんな気持ちが沸き起こって逃げようとすれば、もう1人の銀時が後ろから体を前の銀時に押し付けるように抱き込んだ。

「口開けたまま、受け入れろ」

耳元で落とされる後ろの銀時の吐息にじんっとした熱が落とされる。

「ふぁ…!あ゛、ゃめ…っんん」

指が抜かれて熱い舌が潜り込んできた。
指とは違う柔い舌が口の中を犯す。

「ん…ふ、ぅ、ぅあ…、はあ…っん」
「は、ちゅっ、じゅる……ちぅ」

吐息が重なって口元が熱い。舌でなぶられる口内はどろどろだった。情けない顔を晒してされるがまま。少し離れた時に息を吸おうとするも、頬を捕まえられると舌を突っ込まれる。
後ろにいる銀時の手がいいこいいことでも良いだけに頭を撫でた。
酸素が欲しくて、それでも解放してくれないから体が勝手に後ろの銀時に頼るように凭れると、やっと離れていった。

「甘ェ…っ」

くちづけをした銀時が口元を袖で拭った。



力は÷2されている、そう言っていたのにひとつも適わなかった。
昨晩、2人の銀時に迫られて呆気なく体を封じられて口づけられたことを思い出すと体が震えた。
あのすぐ後に晩御飯に握り飯を持ってきてくれた桂からの声がなかったらどうなっていたのだろうか。
1人でも手に余るというか対処出来ないのに、2人に増えて、それをひとりで面倒を見るなんてやっぱり無理。そう思って桂に直談判しに行こうとするも、後ろを片方の銀時がいつも通り追ってくると、足は自然と元の部屋へと戻っていた。

「おかえり」

そう言って室内で横になって昼間から惰眠を貪る姿にぎこちなく笑って返す。

「何しに行ってたの?」
「野郎どもの繕いもの回収」
「お前に聞いてんじゃねーよ」
「お前って俺だろ」

同じ顔と同じ声で会話する2人。不思議な光景だった。
その横で荷物を広げて針に糸を通すと破れた着物をひとつずつ繕っていく。特別に得意な訳でもない繕いものは、よく進んですることは多くはなかったが状況が状況だ。没頭できるものが欲しかった。

パチン。玉結びをした糸を切って最後の繕いものを終えて畳むと日は沈みかけていた。
手持ち無沙汰なのか繕いもの中の***の横で銀時は眠っていた。今日は昨日のようなことはなさそうだと思うとほっと息をつく。眠っていればなんということもない、その辺の少年と変わらない。脱いで放られていた羽織をふたつとも手に取ると、そっと2人に掛けた。

今日は辰馬が握り飯を持ってきてくれて、
「分裂したとはいえ飯は2人分食うのは止さんか金時」
なんて辰馬が言って
「育ち盛りなめんなじゃねーよ。そう思うなら早く解決策持ってこい。あと金時じゃねェ銀時な」
なんてやり取りが聞こえた。


虫も寝静まる夜半過ぎ、***はなかなか寝付けなくてやっと眠れそうだと思った時だった。くいっと肩を引かれて銀時2人に背を向けていた体を上向かされた。

「眠れねェの?」

顔の横に手をついて横から覆いかぶさってくる影。
明り取りの子窓から入ってくる月明かりが銀時の輪郭を浮かび上がらせた。

「ずっとごそごそしてっから」
「……ごめん、でも大丈夫そうだから、もう眠れそうだから、気にしないで」

嘘だ。銀時に覆いかぶさられて、心臓が痛い程に鳴っている。これじゃあまた暫く寝着けそうにない。
仰向けから体を横向きにして意識をずらそうとするも、また銀時の手が***の体を上向かせた。

「ほんとに?ほんとうはこうされるかもって、気が気じゃなかったんじゃねーの」

顔の横に付く手とは反対の手が左胸に触れた。

「ひ…!」
「ほら…、心臓、すげーばくばくいってる」
「やだ、銀ちゃん…離して」

触れてくる手を振り払おうとすると、両手首を掴まれてひとまとめにされると頭の上で床に押し付けられた。

「こうやって、2人がかりでされんのかなって、ずっと怯えてたろ」

いつの間に頭の上に来たのか、床を手に押し付けるもう1人の銀時が薄く笑う。
怖いと思った。1人でもそういうことをする時は怖いと思うのに、2人なんて恐怖が勝った。
腕から逃れようと暴れる。めいっぱい暴れた。でもやっぱり力じゃ叶わなくて、震える口を開けば手で塞がれた。

「しー、大丈夫。何も怖くねェから。俺がお前に痛いことした事ねーだろ」

首を横に振る。
痛い痛くないは関係ない。怖い。
そう思うのに胸に触れたままの手が膨らみにゆっくりと沈み込む。ゆったりとした手つきで揉まれると体が勝手にひくりと震え、塞がれた口からくぐもった声が漏れる。
やだ、いやだ。流されるように気持ちよくなりたくない。
なのに銀時の手は着物の上から着物を擦る様に指を動かしてくる。着物の生地が擦れて勝手に胸の中心を刺激した。

「んっ、んん…っ、!」

いたずらをするかのようにさわりと指が中心に触れる。

「ここ、立ってるけどどうする?摘んでいい?それとも舌がいい?」

すくうように膨らみを掴むと着物の上からかぷりと歯で噛まれる。

「ん…!」
「あー、悪ィな。口塞いでたわ。じゃあどっちもするか」

着物の襟が緩められてさらしを抜き取られると銀時の指に翻弄されて上気した肌が、夜の涼しげな空気に触れて赤味がかって映った。
今度は直に指が膨らみを掴むと銀時の顔が迫る。

「んーっ!んん」

口を開けて突き出した舌がぴちゃりと触れた。
舌が中心をゆっくり這うとぞくりと背中が粟立って、胸の内で恐怖と快感が膨れ上がると溢れるように涙が伝った。それに気がついた頭の上に座る銀時の口唇が瞼に触れる。

「直ぐ良くなるから」

尖った先を目の前の銀時にぱくりと熱い口の中に咥えられて優しく吸われ、ざらりとした舌でなぶられる。時々歯がかすった。
すり。そんな手付きで反対の突起も指でつままれ、先を指がそっと触れるように撫でる。時折力を入れてきゅうと潰されるとお腹の奥が切なくなった。
あ、これだめっ…気持ちいいのが勝手に這い上がってくる。
床に押し付けられていた腕に力が入らなくて、抵抗も出来なくなっていくとそれを察したのか銀時の手が離れていく。
目の前の銀時の片手がごそりと腰をさする。
寝る前に袴を脱いでいた足は簡単に着物を捲られると太腿をさすられる。膝から這い上がってきた手のひらが下着の上から秘所をすった。

「んん…!」

上下に指が動いて下着越しにぐうと秘裂に指を食い込ませる。じわりと下着が濡れたのがわかった。

「汚れちまったな。どうする、このままする?それとも下着脱がせて欲しい?」

クロッチ部分をずらして入ってきた指がくぷりと第一関節くらいまで軽く埋め込まれる。

「ーーんっ!」
「は、とろとろ」

浅い所をちゅぷちゅぷと音を立てて抜き差しされるととろりとたれた蜜が下着を汚していく。

「俺はどっちでもいいよ。ぐちゅぐちゅに濡らした下着つけたまハメんのも、お前が自分で腰浮かせて脱ぐのも」

なんて酷い言い草だろう。
そう思うのに下着を汚したくなくて、でも自分で脱ぐのも嫌でやめて欲しいのが本音なのに、突き付けられるとどちらかを選ばなくてはいけないなんて思考に落ち込む。

「5秒だけ待ってやるよ。その間に脱ぐのか脱がないのか行動しろ」
「ごー、よーん」

頭上の銀時がカウントダウンを始める。

「さーん」

短い時間に答えなんて出なくて頭が真っ白になった。

「にー、いち」

気がついたら銀時の手には脱いだ下着が握られていて、頭を撫でられていた。

「邪魔なものない方がいいもんな」

床にぽすりと落とされる下着に、自分で脱ぎ去ったことに恥ずかしくなって慌てて足を閉じようとするも、銀時の手がそれを阻んだ。
足の間に体を入れこまれて、ぐぶっと指が入ってくる。

「ん゛っ…!」
「閉じんな、自分で脱いだんだろ」
「んっ…、ふ」

濡れそぼった秘裂の奥を開くように指が動かされ、反応がいいところを探してはそこを集中的に責められる。すりすりと指の腹で押して擦られると指をきゅうと締め付けて反応してしまう。
気持ちよくて、お腹の奥がじんとした熱を持つ。足の間がびしゃびしゃに濡れてきている事に気がつけるほどの余白が頭になく、銀時の指にされるがままだった。

「自分で脱げたご褒美」

頭の上の銀時は***の口を塞ぎながらも空いた片手をのばすと放置された胸の膨らみに手を伸ばす。親指と中指で中心をつまむと人差し指で先を優しくなぞるように動かす。

「ーーッ!んんっ、ん」

体をくねらせて、口を塞ぐ手に無意識に手を持っていくと爪を立ててしまう。

「…ッ、痛。なに、ご褒美だけじゃ足らねーの?お仕置がいい?」

胸の突起をつまむ指に力が入る。

「ーっ、ーんんっ、!」

必死に首を横に振って訴えるのに、力を入れは抜いて。ぎゅ、きゅう、とつままれてそれに合わせて体がひくりと震えた。

「ふ、っんーっん!」

胸とお腹の奥が繋がったように反応を返してしまう。
きもちい、銀ちゃんの指がきもちよすぎる。
秘裂のいいところを指で押し上げられ、あふれた蜜を陰核に塗りつけるようにぬるりと指が押し付けられて潰されると足先にまでじんとした痺れが走ってのぼりつめた。

「ーッんんんっ!!」

口を塞がれていなかったら他の人に聞こえていたのではないか。くぐもった声の出し方に喉がぢりっと熱くなる。
ひくんと震えるお腹の奥に、達した脱力感に体が震えて動かない。
鼻からしか息ができなくて苦しくなって、それでも銀時の指は止まらなかった。もう恐怖からではない、気持ちよさから止まらない涙が滑り落ちて耳を、髪を濡らした。

ぐじゅぐじゅに秘裂を指で拡げてならされると、頭の上にいた銀時の体に凭れるような格好で、足を広げた中心に前から熱が押し付けられる。
無意識に体が逃げようとするも、いつも逃げられないことを思い出して、2人に増えた銀時に適うわけもないことに体を抑え込まれて思い知る。
それを察したのか、後ろの銀時の手が髪を撫でて涙で濡れた頬を滑った。

「***、こっち向いて。キスしよう」

塞がれていた手がそっと外されると、ふにっと口唇が押し付けられる。優しい口づけにきゅうと胸の奥が震えると、舌がそっと差し込まれて歯列をなぞると口の中を舐られた。

「ん、っちゅ…は、」

じゅるりと唾液を啜られると恥ずかしくてたまらなくなる。

「んっっ!やぁ、!んん!!」

前から押し付けられた熱がぐっと入ってくる。衝撃に触れる唇が離れそうになると顎を掴んだ手に押しとどめられた。

「はぁ、***の中とろとろ。溶けそう」

ゆっくりと浅い所をぐちぐちと音を立てて擦ると、どろりと垂れてくる混ざった体液が床に垂れて染み込む。
体に力が入って閉じそうになる足を前にいる銀時の手が許さなかった。

「…っ、全部、受け入れて」

銀時の息を詰める音に空気が震える。それが耳にかかって背筋に甘い痺れが走る。

「〜〜〜っ!」

それと同時だった。ずっぷりと奥まで熱が入ってくる。
奥を押し上げられて体が強って足先まで甘い痺れが伝う。
ふうふうと荒い息になるのに後ろの銀時は絡めた舌を離してくれない。それどころか顎を掴む手とは反対の手がまた胸に食い込むと指の間に中心が挟まれた。揉まれる度に指の間が締まって突起を挟んでは刺激を送ってくる。

「ぅ、はふっ、…っんん…は」

体に走る甘い痺れに、まともに口づけなんてできなくて口から溢れる唾液が顎を掴む銀時の指を濡らした。
いっぱいいっぱいなのに腰を掴まれると熱が粘膜を擦る。
ぐちゅぐちゅ、ぱちゅん、ぱちゅっー。

「ぁああっ、!…んぶ、っは、ぁんん」
「怖くねーだろ、気持ちよくて頭ばかになんだろ。っ…俺もだから、はぁ」

口の中も秘裂の奥も銀時の熱で蹂躙されてじりじりと甘い熱に体を焼かれるような心地がした。
触れてくる後ろの銀時の指が乳首をぴんっと何度も弾く。腕にすがるように爪を立てた。

「う…っ!ああ、んっは、あ、んふっ」

それにお仕置とばかりに舌に柔く噛み付かれた。ぴりっと電気が流れたかのような刺激にひくりと体が震えてしまう。気持ちがよくて銀時の言うように頭がばかになった気がした。
いつの間にか恐怖より快楽が頭を占める。
きっと情けない顔をさらしてる。あんなに嫌がったのに、そんなふうに考える思考すら気持ちよさに掻き消されていく。
抜き差しされる熱が次第に速度を増すと、水音がひっきりなしに響いた。

「っ、あ、は…っあん、ひ、やぁんん!」

いいところを探してそこを的確に突かれると腰が逃げそうになる。だが銀時の手がそれを許さない。

「んっーーっっんんんあ!」

擦られて溜まった熱が弾けるとびくんと腰が跳ねた。

「くっ、あ…っ!」

銀時の眉根が寄ると食いしばるように締め付ける***の中を数度行き来してずるりと抜けていった。と、びしゃりと跳ねる白濁したもの。べったりと***の腹の上に飛び散った。

「ぁ、あ、…っ、はぁ、ぁ…あ」

口づけが止むと、はあはぁと息を必死に吸い込む。ひくんと体が震えて吐息と一緒に鼻を抜けるような甘い声が出た。
酸素不足で霞む思考がじわりと戻ってくる。
銀時は***の荷物から手拭いを探してくると自分が出したものを綺麗に拭き取った。なのに、ぐちゃぐちゃに濡れたままの秘所は綺麗にしてくれない。いつもは終わったら綺麗にしてくれるのに。

「もうちょっと付き合って」

そんなふうに言われて思い出す。今は銀時が2人いることに。

「や、…まって、ひっ!」

後ろの銀時が着物の裾を捲ると大きくなった欲を取り出す。両膝裏に手を宛てがわれて腰が浮いた。殆ど脱げて腕にかかるだけの着物を前の銀時にたくし上げられて、背中にあたる熱に体が逃げる。

「むり…っ、あ…!」
「無理じゃねーから。ほら、ぐっぽり咥えて入ってく」
「あ、あぁ…、あっ、だめぇっ!、ぅぐ…っは、はぅんん」

達してまだ痙攣する秘所を下から貫かれた。

「あっ…、いったばっかのせいで、ナカびくびくしてる」

奥の奥まで入り込んでくる熱に下から押し上げられて息が詰まる。

「苦しい?慣れてねェだけだから、今からいっぱい突いて慣らしてくから」

ひくりと喉が鳴る。

「うぁ、ああ…っ!ひぃ…い、いぁ、っあぁん」

ぐちぐちと押し付けては体を浮かされて小さく動かされる。
ぷちゅぐち、じゅっぐじゅー。
目の前の銀時が大きく開かれた足の間を、いやらしく見つめるとまた硬くなって勃ち上がる熱を扱きはじめる。

「はぁ、えっろ…俺ので串刺しにされて泣く顔最高」

視線だけではなく指が伸びてくると陰核に指を当てて擦ってきた。

「ああ、んんぁんっ!」

擦ってくりくりと転がされ、ぎゅうとつままれる。
びくりと足が震えると、膝裏に回した銀時の片手が外され口を塞いだ。

「ーーーっんんん!!」

達したすぐ後に貫かれ、敏感な陰核を擦られると痙攣が止まない。簡単に上り詰めてナカの熱を締め付ける。どくどくと脈打つ熱を強く感じた。

「あ゛、っくっそ、…きっつ、はぁ。俺のこと絞め殺す気かよ」

後ろから耳元に落とされる苦しそうな吐息。
目の前の銀時は自身の先端に手をかざして飛び散らないように欲を吐き出した。ふうふうと肩で息をすると手拭いで拭う。

「ちょっといい、膝ついて前の俺の肩に手置いて」

繋がったまま体勢を変えられるも、体が震えて手なんて付けない。床に膝をついて、繋がった腰を高く上げたまま床に頬を押し付けていた。

「ふぇ、…むり」

もう解放して欲しい。そう思うのに後ろから覆いかぶさってきた銀時に耳元で落とされる言葉に震えた。

「ちゃんと言われた通りにやって。やらねーと抜けなくて中に出しちまうかも」
「うわ、俺ドS」
「仕方ねーだろ、あの体勢だとマジでさっき中出ししそうだったんだよ」
「だって、***。どうする、中に出されたい?」

震える手を伸ばして目の前の銀時の着物の裾を掴んだ。

「仕方ねェな」

上半身を掴まれ銀時の手が、***の腕を肩の上に乗せる。顔を上げれば柔らかく口づけられた。
それを合図に抽挿が再開される。
ぱちゅん、ぱちゅ、ばちゅっばちゅ。

「あっ!ひっあ、ああん、あっ…やっ!」
「やじゃねーだろ、好きだろキスハメ」

触れた唇をかぷりと噛まれてちゅうと吸われる。

「こうやってされんの好きなくせに」

さわり。伸びた手が下から揺れる胸のふくらみを掴む。銀時の肩に回した腕に力が入った。

「いきそう?手伝ってやろうか」

そんな言葉と同時にきゅうと胸の中心を潰されて、どちゅりと後ろから熱に突かれる。

「んっ〜〜っ!!!」

ぎゅうと目の前の銀時に抱きついて口に舌を押し込まれて塞がれると、後ろの銀時をきつく食い締めて達した。ひくひくと痙攣して震えが収まらない。なのに攻めてくる手も熱も引いてくれなくて、収縮する奥を抉るように突かれる。

「あ、……っ、あ、だぇ、っ!やぁ…っん」

目の前がちかちかしだして酸素も足りないのに声を封じるように口づけられる。足が震えて立てた膝が崩れそうになるのを腰を掴まれると引き戻され、ばちゅぐっちゅと2、3度擦られるとずるりと抜けていった。
そのすぐ後に熱い飛沫が太腿を濡らした。



* * *



「おー!金時!まっことよかったのう!」

朝餉を持ってきてくれるのと一緒に様子を確認しに来た辰馬が銀時と部屋の入口でやり取りをしていた。

「いやまさかこうも早くに効果が切れるとは思わんかったのお」
「…まあな、俺もよくわかんねーけど」

***を抱き潰したあと、意識が飛んだ体を清めてやってから少しだけ眠りについた銀時は寝起きに2人に分裂していた時の重だるさが消えた体の軽さに驚いた。
隣を見れば腕の中に抱いた***だけで、鮮明に記憶に焼きついた情事の内容は2人分。自分が元に戻っていることに気がついた。

「高杉が鬼兵隊率いて奇襲作戦かけて情報はなにか無いかと調べてくれちょるけんど、もう必要なさそうじゃな」
「後遺症とかも無さそうだし。まあ敵を壊滅させてくれたんなら儲けもんだ」
「一応心配はしとったようじゃし、礼は言うように」
「はっ、誰があんな奴に礼なんか言うかよ」
「あはははは、金時はまっこと素直じゃないきのお。***ちゃんにも礼を言わにゃな」

部屋の中に入ってきそうな辰馬に思わず通せんぼをする。

「何じゃ金時、わしゃ***ちゃんに礼を」
「いらねーよ、それはちゃんと俺が言うから。つーか金時じゃねェから銀時な」

なにか閃いたように辰馬は笑うとこそりと耳打ちしてくる。

「おんし、あれか?好きな女の寝起きの姿、他の男に見られたくないっちゅう、あだ、っ蹴る事なかろ!」
「うるせーだまってろ!飯置いてとっととどっか行きやがれ!」

部屋から辰馬の体を押し出すとぱたりと戸を閉めた。

綺麗にラップで包まれた手のひら大もある大きな握り飯がランチクロスに包まれて床に置かれている。中身は男が作った不格好な腹を満たすだけのものだが、外は***の持ってきた花柄の可愛いやつ。それを手に狭い部屋の中、未だ背を向けて眠る***の顔の横に置いた。

「飯、辰馬が持ってきてくれたから食えたら食っとけ」

寝たフリをしてることは分かってる。
だからランチクロスを開け3つあるうちの2つを手に取ると部屋を後にした。あんな事をしたすぐ後だ、傍にいる方が負担をかける。

ぱたりと戸を閉じると座り込む。
ラップを外すと口に運ぶ。ひと口目からじゃりっと砂を噛んだ様な音がする。塩の塊に当たったようだった。塩っぱさに顔を顰める。それでもお腹は減っていてぱくぱくと口にしては腹に収めた。

そしてすることが無くなると昨夜のことを思い出す。
ちょっとした出来心からだった。どのくらいの力が残ってるのだろうか。***くらいなら半減してても抑え込めるのだろうか。
初日はそんな所だった。だけどそのせいで***がすごく意識をしているのが伝わってきて、あれだけ長い間2人きりでいるのも久しぶりで、どうしても意識がいった。銀時から意識を背けようと男共の繕いものを集めて得意でもない作業をしていたのに、眠っていればそっと羽織をかけてくれる優しさが堪らなくいじらしくて、必死に眠ろうとする背中が物音がする度に震えるのを見ると無理だった。
可愛らしくて抱きしめたくて、抱き潰したくて堪らなくなった。

かたりと戸の奥から音がする。***が起きた音だろう。ぐすぐすと小さく鼻をすする音が聞こえてきた。暫くするとその音は消えて静かになる。と、戸が空いた。

「銀ちゃん、おにぎり半分、いらない?」

昨日も一昨日も。大きな握り飯を半分差し出してきた***を思い出して振り返る。

「ん、貰う」

そう返せば隣に銀時と同じように座った***の手から半分になった握り飯を受け取る。

「ふふ、ジャリジャリしてる。誰だろうこれ作ったの」
「ヅラや高杉じゃねーのは確かだな」
「持ってきてくれたの坂本さんだし坂本さんかな」
「あいつ頓着なさそうだもんな」

なんということも無い会話。***はいつものように笑うと塩っぱそうに顔を歪めて握り飯を口に運んだ。

「良かったね、戻って」
「ん、ありがとな」
「体変なところとかない?後遺症は?」

***の指が手を掴んできて、脈拍を測ると額に伸びてきて熱を測る。

「ねーよ、重だるかったのが取れて楽になった」
「そう、よかった」

心底安堵するように笑う***にくすぐったくなると同時にとてつもない罪悪感が頭を占める。
いつもこうだ。***は何も無かったように笑う。何も無かったことにしたいように。だからそれに銀時も合わせて何も無かったようにいつも通り笑った。




♭23/11/29(水)

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