*if…01 ※夢主ちゃんもしも攘夷戦争に参加してたら って生存確認の方で話してたやつです。 ※夢主ちゃんには阿修羅姫って二つ名が付いています。 明らかに敗戦だった。戦線が崩壊して仲間が散り散りになっていく。 引くべきだ。誰かがそう言った。 このままこの部隊だけ囲まれて殲滅されるのは目に見えている。 そばで剣を振るう銀時に目配せする。 「てめェら行け!俺が押し留める」 「私も残る!」 「いや、お前はあいつらと行け」 「知ってる?阿修羅って戦の神様なんだよ」 阿修羅姫。戦場を駆け抜ける阿修羅のような女、そう呼ばれるようになったのはいつ頃からだろうか。 「あ〜〜もう!、ったく、俺から離れんじゃねェぞ」 ここで言い争いをしている方が時間の無駄だとばかりに吐き捨てる銀時と共に敵を切り伏せた。 味方があらかた逃げ切るのを見届けると敵を振り切る為に山道へと逸れた。それでも追ってくる姿に険しい道を進むしかない。一手間違うと死が目の前に広がる現状。***は必死で周りが見えなくなっていた。 気がついた時には銀時の姿はなく、ぽつりぽつりと雨粒が降ってくる。慌てて白い姿を捜そうとするも一気に雨足は強くなり木を、葉を地面を叩く。 流した血を洗い流すように強く強く体を打ち付ける。 視界も悪くなり追っ手の心配も少なくなる代わりに、銀時の姿を捜すことも厳しくなった。 雨を避けられるような場所を選んで歩き、周囲からも奥まった場所を探すと体を小さくして隠れた。 今歩いても体力を消耗するだけだ。 極力見つからないように、体から体温を奪われないように努めて体を丸める。だがじっとしていると、傷の痛みやひえから来る寒さが肌を突き刺してくる。 …寒い、痛い。 「…銀ちゃん」 ふと口をついて出た名前に心が少しばかり温かくなった気がした。 銀ちゃんもこうして凌いでいるのだろうか。 大丈夫なのだろうか、そんな心配が頭が過ぎる。 そんな時だった。 がさり、周囲で葉が擦れる音がする。それは次第に近くなってきて大きな影が***の身体を覆うように現れた。 敵かもしれない。そう思って刀に伸ばしていた手は鯉口を切ったところでそれが誰か分かり止まった。 「銀ちゃん」 びしょびしょに濡れ、いつもはふわふわした髪の毛は水分を含んでストレートになっていて、一瞬誰が分からなかったが、紛うことなき白夜叉、坂田銀時だった。 「ばか。離れんなって言っただろ」 銀時の顔は苦虫をかみ潰したかのように苦しそうに歪められると、ぎゅうと抱き留められた。それも普段ではありえない強さを込められて。 受けた傷と冷えで刺すように痛い体が悲鳴をあげそうになる。 「良かった、」 耳元ではぁと吐き出された言葉に逸れた後に必死に捜してくれてたのだと知ると、痛みなどどうということは無い。 触れ合った時に生じたこの痛みが、あの死地を越え2人は今生きてるんだと教えてくれた気がしたから。 「見つけてくれてありがう」 首の後ろに回された手が項を擽る。頭を支えられて顔が迫る。 そういう雰囲気だとは思っていたなかった***にとって不意打ちだった。 「ん、っぅ、は、ぁぎん、ちゃ!んんっ」 ばくばく!なんて音が正しいのかもしれないって思うくらい口唇を重ねられ食べられてしまった。 「ん、は…っ」 「これに懲りたら姫様は暫く大人しくしとけよ」 「わた、んっ」 ちゅっ、言葉を発するの遮るように柔らかい感触が触れては離れる。 「分かったか」 「私は、んっ」 有無を言わせない銀時の口唇のせいか、先程までは寒さの痛みが体を苛んでいたが、いつの間にか恋人の触れ合いに熱は上がっていた。 「分かった?」 「…分かった」 それしか許されない空気に渋々と言葉にした。 「よろしい。雨止んだら動くぞ」 そう言って暖を取るためか密着してくる体の温かさだけでは飽き足らず、銀時自身がここにいて駆けつけてくれたとこにとても喜びを感じていた。 ♭22/06/15(水) ♭22/09/27(火)名前変換追加、加筆修正 (1/4) ← |