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短かったり、電波だったり、病んでたり、

#残り香(涼野と倉掛)

恋人だけど執着したくない涼野のはなし






***
晴矢から女の残り香がするようになったのはごく最近のことだ。ねっとりと甘いその薫りが鼻腔を擽った。

それに対して私は無関心だった。晴矢は私の恋人だから普通なら怒るなり嫉妬するなりするんだろうが、私はふぅん、と思っただけだった。女を抱きたくなる時があるのか、まあ当然か、と納得したし、私もそういう時があるから理解できたのだ。

晴矢が残り香を匂わすなら、私もそうしていいだろうと思ったのは昨日のことだ。倉掛、と呼べば、あら珍しいですね、貴方もやはり性に逆らえない時があるんですか、と笑われた。

まあそんなところさ。さて君を抱こうかと思ったのはいいが、君の匂いはあまりに芳しいよ。


あら酷い男ですねえ、そんなことだと思いましたけど。じゃあ今日は寝ましょうか。隣へどうぞ、一晩も寝たら私の香りなんてすぐ移りますよ。


明日になったら抱くかもしれないよ。

お相手ぐらいならしますわ。



きっと明日には血相を変えた彼が迎えに来ますよ。



そうかもしれないなぁと思って私は眠りに落ちた。
05/23 16:59
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