who are you?-1

「あー…ねみい…」
ふらふらと歩きながらウェンディルはくぁ、と欠伸を漏らした
「ったくなんであのタイミングで切れるんだよ…クソッ…」
好物である紙パックのミルクティーが夜中に無くなってしまい朝早くから買い出しに出掛けていた
「はぁ…寝直すか……つかなんで食うもんもないんだよ…なんで気付かなかったんだ…」
両手に食糧いっぱいの紙袋を抱え独り言を呟きながら家路へと歩いて行った

「………ん?」
目に入ったのは一本の裏地…目に入ったというよりもここを通らないと帰れないため、嫌でも目に入る
そこに佇む少女。その回りに道を塞ぐように男が数人立っていた
「なぁ…いいだろ?おにーさん達と遊ぼうぜ?」
「え…いや、でも……」
「いーじゃん、ね?ほら、遊ぼ?」
少し離れたところからも会話が聞こえてくる
その会話から察するにナンパかその類いだろう。この辺りではそう珍しいものではなかった
いつもなら無視して帰るのだが場所が場所なだけに無視できなかった
「おーい…通れないんだけどー」
後ろから声を掛けるも反応はなく誰一人としてこちらを見なかった
「…チッ……どけってんだろっ!!」
軽く舌打ちをしたあと、ウェンディルは男の一人に回し蹴りを叩き込んだ
「っ…何しやがんだテメェ!!」
当然のことながら男は声を上げこちらを睨む
「あ?退けつっても退かなかったテメーが悪いんだろうがよ、言葉もわかんねぇバカはさっさとお家帰りな」
相当イラついていたのか表情を変えずに言い放ち、ウェンディルは男の前を横切った
「テメェ…っ!!」
「…うっせーってんだ…よっ」
掴みかかった男に再び蹴りを入れ少女の前へと立った
「持ってろ。」
「…えっ?」
「いいから持ってろ。俺の大事な食糧なんだ、落とすな、絶対にだ。いいな?」
「えっ…えっあ…はい…」
現状が飲み込めてない少女に持っていた紙袋を渡すとウェンディルは振り返った
「…で、言葉のわかんねぇバカは他にもいんのか?」
「んだとテメェ…ッ!」
挑発に乗った男がウェンディルに掴みかかった瞬間、ひらりと身をかわし男の足元に片足を突き出した
「な…ッ!?」
勢いよく転んだ男の背中に座り、子供に言い聞かせるような口調で言った
「ばーか、足元はちゃんと見ましょうねー?」
「テメっ…ふざけ…っ」
「うるせぇ」
未だ声を上げる男に冷たく言い放ち、グリグリと頭を踏んだ
「ほら、かかってこいよ。俺の気は長くねぇんだからよ」


「なんだ…もう終わりかよ…」
服に付いた土埃を払いながら不満足そうに呟いた
「ったく…ああ、わりぃな勝手に持たせてよ」
「えっ…あ……いえ…そんなことは…それよりありがとうございます…」
「気にすんな、アイツらが邪魔だっただけだ。大体なんでお前みたいな女がこんなとこうろついて……」
紙袋を受け取ろうとした手が思わず止まった。
「……お前、家族か親戚に人間じゃないとか変な、変わった奴とか言われたのいなかったか…?」
「えっ…?」
手が止まった理由は簡単だ。少女から僅かに同族の匂いがする。人間ではなく、こちら側の匂い。
「…着いてこい」
「ちょ…ちょっと待ってください…っ!一体どこに…っ」
少女の問いに答えることなくウェンディルは紙袋を受け取り足早に歩き出した

「ど…どこですかここ…」
「いいから入れ、話は後だ。」
訳のわからないまま少女がなかに入るとウェンディルは辺りを警戒しながらドアを閉めた
「……もう一回聞く。家族か親戚に変わった奴はいなかったか…?」
「い…いえ……知らないです…」
「そうか…いきなり悪かったな」
ウェンディルはガシガシと頭を掻き呟いた
「…俺の思い過ごしか…」
「えっ?」
「いや、なんでもねぇ。詳しい話は後だ、出掛けるぞ」
「ど…どこに行くんですか…?」
「あー…知り合いの家だ。いつまでもこんなきたねぇ部屋は嫌だろ」
足元に散らばっている書類を乱雑に足で払った
「それに…ここだと安全とは言えねぇからな…」


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