baby come come!
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**ちゃんを見ると、ふんわりと幸せそうに微笑んでいて。
「気が早いんですけどね…」
そっと俺の手を掴むと、そのまま**ちゃんのお腹に当てられる。
「…今ね、6週目なんですよ…」
少しだけ期待をしていたことが、“事実”として漸く俺の頭の中にストンと落ちてくる。
「今日ね、心音も確認してきました」
説明をする**ちゃんは、キラキラと輝いていて。
「少しだけ…つわりが始まってて…今日もすぐに玄関に出れなくて…ゴメンなさい…」
「**ちゃん!」
「わっ!く…苦しいよ…そらさん…」
気づけば俺は全身全霊で**ちゃんのことを抱きしめていた。
考えてみれば、すぐに玄関に出てこなかったこと以外にも、**ちゃんの様子がおかしいことには気づいていたはずだったのに。
「…気付かなくてゴメン…。でも…俺、スッゲー嬉しい…」
「そらさん……よかったです…」
顔を上げれば、少し困ったように照れ笑いをする**ちゃんがいて。
「そんなことはないって思ったんですけど…そらさんが喜んでくれなかったらどうしようって…少しだけ考えちゃいました」
「**ちゃん…」
もう一度**ちゃんを抱きしめると、彼女の手が俺の背中に回る。
「嬉しい。…最高の誕生日だよ…」
「そらさん…」
「ありがとう、**…」
嬉しいとか、愛おしいだとか、たくさんの感情が入り込んでうまく言葉にできない。
それでも、俺の気持ちが伝わるようにただただ**ちゃんを抱きしめた。
「これから親子3人川の字で寝れるんだね…」
「ふふっ、そうですね」
恥ずかしいようなむず痒い感覚に、自然と緩み赤くなる頬。
「これは…着れる時までのお楽しみだなぁ…」
もう一度**ちゃんのお腹に手を当てる。
(パパ…だよ…)
来年の誕生日は君と三人で、また一生思い出に残るような誕生日を過ごしたいと期待しながら、俺は**ちゃんの頬にキスを一つ落とした。
親子三人でお揃いのパジャマに腕を通す日に思いを馳せながら…。
*END*
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