「今回の目的は神の遺産の一つ『聖櫃』」
どうやらこの屋敷の中から聖櫃を持って帰ってくればよいらしい。
「あ、そうそう。その屋敷、一度入ったら出れないから。」
「…何ですって?」
月宮が聞き返すが、つまりはハメられた、ということになる。
「てめ…何が恩だ!初めからこうやって俺たちを使うつもりだったな!」
日向が怒鳴るが、状況は良くならない。
ましてや、体内に毒が仕込んであるとまで言われる始末。
「絶対帰ってぶん殴ってやる…『聖櫃』の角で!」
ドッ
後ろの建物が爆発した。
身体が恐怖を感じる程の力と衝撃……
「ノーマルな人間はこれで全て抹消。神の遺産の秘めごとは、明かされることなく守られました。」
肩までの髪の女性が今倒したであろう男の首筋に噛みつき血を吸う。
「ねえ、隠れた方がよくない?」
「そうね…(私と同じ半吸血鬼だ)」
しかし私の提案も空しく、移動する前に見つかってしまった。
「お…おい月宮、なまえ!『聖櫃』があった!」
「え!?」
月宮が日向の方を振り返る。
「危ない!『出現』!!」
敵と月宮の間に滑り込み、出した剣で向かいうつ。
相手は咄嗟に蹴りをやめ、持っていた大剣を辛うじて振りかざした。
「くっ…(重いな…)」
上から振りかかった重圧に圧されながら無理矢理押し返す。
「はぁはぁ…どうやら力勝負ではあたしの方が上みたいね!」
剣先を敵に向けてそう叫んだ。
「月宮、なまえ!『聖櫃』は取った!逃げるぞ!!」
日向が叫ぶ。
「お前らじゃ相手にならない!!聖櫃持って死ぬ気で逃げてこい!!」
続からの焦った声色。
グングニルがどれだけ恐ろしいものかが容易に想像出来た。
対グングニル戦