「なまえ、頑張ったな」
そう言って私の頭を撫でるネジ先輩。
私の努力が報われ、夢にまでみた第一志望に合格したのだ。
「かっこよかったー!頭撫でられちゃったよ!」
私は親友であるサクラに先ほどの出来事を話していた。
一年前に卒業してしまったネジ先輩。
今日は近くを通ったから職員室に顔を出したのだという。
「ネジ先輩って成績いいし、運動もできるし、かっこいいし、優しいし、もう言うことないよね!」
「ちょっと、もう少し声抑えなさいよ!」
賛成してくれるかと思いきや、サクラの顔が曇った。
「おい、帰るぞ。」
「え!?」
声の主は幼なじみのうちはサスケ。
今までずっと同じ学校で、毎日登下校を共にしているのだ。
「あーあ。まあ頑張りなさいよね!」
サクラはサスケの後を追う私を苦笑いで見送った。
「サスケー待ってよ!」
いつもなら歩幅を合わせて歩いてくれるのに、今日は前を無言で歩く。
「ねー、何で怒ってるの?」
話しかけても全部スルー。
いくら私でもここまで無視されて平気ではいられない。
「言ってくれなきゃ分かんないよ。」
私は俯き、その場に立ち止まる。
考えても原因なんて思いつかなくて、そんな自分が嫌になる。
「...ああいう男が好きなのかよ」
サスケが私の数メートル先で言った。
「え?」
私が聞き返すとサスケは私に歩み寄ってきた。
「ネジ。さっき教室で話してただろ。」
自分から歩み寄ってきたくせに、ふいっと顔を背ける。
「ネジ先輩は普通にかっこいいと思うだけで...」
もしかして、いやサスケに限ってそれはない。けど、もし私の直感が当たってれば...
「ねえ...サスケ、嫉妬してる、の?」
私の言葉を聞くや否やサスケはくるっと背を向けて歩き出してしまった。
やっぱり違ったか。
「悪いかよ」
サスケが小さく呟く。しかし、私の耳にははっきりと聞こえた。
そして再びサスケが振り向く。
「…なまえ、俺のもんになれよ」
恥ずかしさからか、サスケがフイッと目を逸らす。
その言葉は私が小さい頃からずっと望んでいたものだった。
嬉しさのあまり目に涙が浮かぶ。
「はい、喜んで」
END
「憧れと好きになるのは別だよね!」
「あいつみたいに優しくなくて悪かったな。」
ああいう男が好きなのかよ