12
「ん……っ、ん」
テクニックも何もないキスだと思っていたのに、クチュクチュとモノを扱かれながら舌を絡め取られて、快感に腰が跳ね上がる。
鍛えられた逞しい背中に手を回すと、擦りつけられている梶木のソレが更に大きくなったのが分かった。
「すっげえ我慢汁」
感心するように呟いてぬるついた亀頭を撫でる指の熱さに、敏感な器官が激しく脈打ち、震え始める。
「う、るさいっ、この……下手くそ!」
「こんなに感じてるくせに。下手くそはねえだろ」
「うぁ、あッ」
減らず口の報復に乳首をキュッと抓られた瞬間、充血したペニスの先端から一際濃い先走りの蜜が溢れ出た。
「お前……乳首もエロいな」
「もう、いいからっ、触るな!」
「言ってる事とやってる事が逆だし」
本当に、これ以上はヤバいから止めなければと思っているのに。背中に回した手には力が入り、更なる快感を求めて自分からモノを擦りつけてしまっているんだから、全然説得力がない。
どうせこれが最初で最後なら、思う存分梶木の身体を味わいたいという誘惑に勝てなくて。頭を軽く持ち上げてキスをねだると、すぐに熱い唇が甘い餌を落としてくれた。
「んん、……う」
何で、こんな甘えた声が出てしまうんだろう。
もっと技巧を凝らした濃厚なキスを、他にたくさん知っている。
もっと男同士のツボを心得た愛撫も、慣れた口淫も。それなりの経験は積んできたつもりだ。
それなのに、慣れない手つきで二人分のモノを追い上げながらの不器用なキスが、今までで一番感じるなんて。
「イキそう?」
「う、んッ、ぁ!」
一番感じる括れの部分に軽く爪を立てて囁く掠れた声が、低くて甘い。
血管を浮かび上がらせて脈打つペニスの感触からすると、梶木ももう限界が近いんだろう。
綺麗な額に浮かぶ汗が、オスの色気を増幅させて。真っ直ぐで男らしい、堪らなく好きな顔だと思った。
「絶対、お前より先には……イカない」
「何だソレ」
相手に主導権を握らせたことなんてないのに、ノンケの梶木に翻弄されて、しかも先にイカされて堪るか。
つまらない俺のプライドは、犬猿の仲と言われながらも付き合いの長い同期にすぐに伝わったらしい。
引き締まった腹筋に力を入れて射精の瞬間を抑えていた梶木の顔に、困ったような、それでも今までに見せてくれたことのない笑みが浮かんだ。
「意地っ張り」
「……っ、んん、あッ」
「もう、その声聞いてるだけでやべえんだっての。変な意地張らないで、出せよ」
(*)prev next(#)
back(0)
■TEA ROOM■