おお振り(短編) | ナノ








今年の夏は猛暑だったな、11月になって
イチョウ並木がやっと紅葉し始めた。

今日は卒業して4年経った母校、
高校の文化祭にやってきた。

あの子はいるかな、あの人も来ている
だろうかと胸躍らせながら正門を入り、
イチョウ並木から奥に見える校舎を眺める。

すぐ横には在校生達がクラスの宣伝や来場者に
挨拶をしている。制服をみると丈が短いスカートに
目がいく。私も4年前まで・・・今考えるとこの
時期によくスカートなんて履けていたなと考える
だけで、寒くて身震いが。


「あ!」
「!」
「久しぶりじゃん!きてたんだな!」
「田島っ」


小柄なそばかすの男の子4年前は私と同じ目線に
いたはずなのに、今ではちょっと見上げる感じ。
そのちょっとの差を手を伸ばして再確認。


「俺、背伸びたろー?」
「ほんと、伸びてる。なんか変な感じ!」
「いいじゃん!いいじゃん!」


ニシシと笑い私に背を向けて走り出す
笑う表情は少しも変っていなくて、
身長が伸び体つきが変わった後ろ姿に
少し、どきどきした。
なんて、田島にはないしょ。



私もあなたも成長してる。


(やっぱり、わたしは)
(あの頃から今も好き)

20131127.







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