渡しそびれた大切な物(コトバ)〜1〜
―――もう、行っちまうのか・・・?
―――・・・うん、もう行かなきゃ。父さんが待ってるから・・・
―――・・・お前は・・・
―――・・・何?
―――・・・っ、・・・何でもねぇ。
―――変な松山。
―――・・・うるせぇ。
―――・・・楽しかったよ。また・・・みんなと会えるといいな・・・
―――・・・会おうぜ。
―――・・・え?
―――だから、絶対会うんだ。岬は俺たちふらののチームメイトだろ?
―――・・・松山・・・。
―――・・・だから、約束。な?
―――・・・うん。また、会おう。
―――絶対だからな!!
―――・・・うん。ありがとう・・・松山・・・
***
ふと、目が覚める。
「・・・夢、か・・・?」
辺りを見渡すと、まだ真っ暗であった。
松山はゆっくりと身を起こし、そのまま伸びた。
ぼんやりと暗闇を見つめながら、さっきまで見ていた夢のことを考えていた。
「・・・懐かしい夢・・・見たな・・・」
幼い自分と岬との、別れる瞬間に交わした会話。
あの時の岬の顔が、松山の頭を過ぎる。
あの時、松山が言いかけたことがあった。
でもそれは、その時の二人には・・・岬には、どうすることもできないことで・・・。
その一年後、彼らは再会した。
全国少年サッカー大会という場所で。
岬がサッカーを続けていることが、松山にとって何よりも嬉しかった。
そして、自分が無理やりした”絶対”という約束が叶って嬉しかった。
でも、その後岬はまた姿を眩ました。
あれから数年が過ぎ、二人は大人になった。
だから、松山にとっては、さっきの夢は本当に懐かしい光景であった。
「・・・もう、忘れかけてたのにな。」
ふっと松山は笑う。
―――・・・今夜は多分、もう寝付けないだろう。
そう思った松山は、ボールを持って外へと飛び出した。
―――――――――――――――――――
ようやく始めました、7月の連載です!
・・・7月って言っていいのかな?(笑)
これはすぐに切り上げたいですが・・・
目標7話くらいで。
・・・が、頑張ります!!
[*prev][next#]