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▼03/21 23:14

白昼夢という結論に辿り着いた。
そうでなくてはおかしいのだ。
彼女に触れたり、口づけたり、その世界の僕はやりたい放題だった。
夢の中の彼女は頬を染めながらそれに応えた。
だが、意識がはっきりとしたとき、手にも唇にも感覚は残っていない。
そして目の前の彼女が平然と書物を捲るのが何よりの証拠だろう。先程のは、白昼夢なのだ。
日に日に長くなるそれに恐怖こそ感じなかったが、そういう夢を見させているのは自分であることに少しだけ驚いた。
このまま、夢を見続けるのだろうか。永遠に覚めない夢になってしまうのか。それでも構わないと、心のどこかで願う僕がいる。
「私も、覚めないでほしいです」
ぽつりと呟く。書物を閉じた彼女が微笑む。咄嗟に抱き締めた。あたたかかった。
同じ夢を、見ていたのだろうか。



(謎なお話。とりあえず二人は同じ白昼夢を見てたわけっすね!)

▼01/25 18:44

なにかもっともな理由がなければ誘えないなんて、我ながら情けないと思う。
必死に考えて、ふと頭に浮かんだのは欠席したときのプリントのこと。
いいよ、と彼女らしいあっさりとした返信メールだったけど、嬉しかった。
熱いのだろう。目の前の彼女は抹茶ラテを少しずつ飲んでいる。猫舌なのだろうか。可愛い。
わからない問題をシャーペンで指せば、丁寧に教えてくれた。
でも、彼女のキレイな指先に見惚れていて説明を聞いていなかった。だけど僕はとりあえず納得したように頷いた。
ガリガリと問題を解いていると、なんとなく彼女の視線を感じた。顔をあげれば目があった。
「…ん?」
「…」
「どうしました?」
「なんでもない」
そっけない言い方だなぁ。ほんと、僕のことは一ミリも想ってはいないみたい。せつないですね。
「今度斎藤さんの授業のテスト勉強しませんか?」
「うん、いいよ」
彼女は冷めた抹茶ラテを飲んでいる。僕の話、聞いているかな。
だけど、こうして約束しとかなきゃ、また彼女と二人きりで会うなんて、できっこないんだ。

▼01/23 21:26

学校終わったら一緒に勉強しません?とメールが来て、今近くのカフェで瀬田くんと向かい合って勉強中。
私は抹茶ラテを注文してそれをちびちびと飲みながら、机に散らばっているプリントに目を落とす。
「ここ、なんでこうなるんですか?」
とんとん、とシャーペンで指された部分の問題の説明をしてあげれば「なるほど」と少し笑った。カフェの薄暗い照明はその表情をいっそう引き立てる。きれいだ。
それ以降、彼はひたすらにシャーペンを動かした。
ねえ、一緒に勉強しようって言われたとき、私すごく嬉しかったんだよ。
それが欠席した分のプリントを見せてもらうのが目的だとしても、他にも女子がいる中で私を頼ってくれたこと、すごく嬉しかったんだよ。
「…ん?」
「…」
「どうしました?」
「なんでもない」
きっと彼にとってわたしは真面目な友達。ノートやプリントを借りるのに便利なだけかもしれない。でも、心のどこかで期待してしまう私は何なんだろう。
「今度斎藤さんの授業のテスト勉強しませんか?」
「うん、いいよ」
少しだけ温くなった抹茶ラテをわたしは喉に流し込んだ。

(実体験風味な感じ)

▼01/14 12:04

(左之助です。なんとなく書きたくなりました)


ついこの間、幼馴染みの関係は終わった。左之助からの告白によってわたしたちは恋人になったのだ。
幼馴染みのときとは違う距離感に戸惑っていたのはわたしだけじゃなく、彼もだったみたい。
隣に並んで、何歩か進む度に触れる手にはお互い気付かないフリ。
「キンチョーしてるの?」
「んなわけねぇだろ」
とか言いつつ、照れると頭を掻くクセは変わらない。そのことに何だか安心して、それからもっと照れさせてみたくて。
微妙な距離にあった彼の男らしい手をぎゅっと握ってみた。
彼は案の定驚いた顔をした。さっきより照れているのかはわからないけれど、握り返してくれる手のひらが熱を持ちはじめた。
「左之助の手、あったかい」
きっとお互い、どうやって進んでいいのかわからなかったんだと思う。
繋がれた手からどうか、わたしの想いも届きますように。


(サノも好きですよ〜)

▼01/09 20:55

新年、一緒に初詣にきておみくじを引いた。宗次郎はおみくじの入った入れ物をユサユサ揺らして、出てきた棒を巫女さんに見せた。十四番だったみたい。そしたらふいにこっちを向いて「あなたの誕生日の数字ですね」だって。こんな些細なことでも、すごく嬉しかったんだ。


(新年一発目がこんなんでーす!ふーい!)

▼12/30 03:34

「ああ、あの人は中学の時の同級生です」
白い息を吐きながら彼は言った。
よかった、と思うと同時に少しだけ悔しかった。
彼女はわたしが知らないときの宗次郎を知ってる。
それが、なんだか悔しかった。
ただの同級生?彼女だったりしないの?前は好きだったとか?
訊きたい。訊きたい。
でも訊けない。なんだろ、これ。
「…なに落ち込んでるんですか」
ふいに顔を覗き込まれた。咄嗟に背けた。
「落ち込んでない」
「えー、落ち込んでるじゃないですか」
「…落ち込んでないよ」
そんなこと言われると、自分の心の狭さと惨めさに涙が出そうになる。
ああもう…逃げたい。
この場から立ち去ろうと後ろを向いて右足を踏み出したと同時に、彼の腕に包まれた。
じんわりと伝わる熱。背中にだけ春が来たような気がした。あたたかい。
「あの人は僕の体温も、僕のあなたへの想いも、なにも知らないただの同級生ですよ」
心を読まれた。恥ずかしくなった。
「好きです、あなたのこと」
「……バカバカバカ」
「えぇ〜」
「悔しい」
「なんでです?」
「わかんない」
「そうですか」
きっと彼女は、彼から伝わるこの鼓動も知らない。それがただ嬉しくて。
首に回されてる腕にそっと触れれば、彼は嬉しそうに笑った。視界の端に、白い吐息が見てとれた。


(うおおおお)

▼09/20 19:49

「はーいオッケー志々雄だよ☆」


(宗次郎誕のお話を書き始めてますが、如何せん進まん。10月になっちゃったらごめんね宗次郎…)


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