▼ 2.どうしてこんなところで?
「あーそう、うん、ちょっと用事が出来てさ、分かったまた落ち着いたら連絡する」
さて、とメニュー機能はだいたい分かった。ただログアウトが出来ない事からしてもうここで暮らすしかないという最悪な展開になっている。しかもわたしの後ろにヘコヘコついてくるプレイヤー聞けばレベルは27だと言うじゃないか。
「え、レベル27なの?大丈夫?死ぬんじゃない?」
半分冗談混じりでそう言えば青い顔をした彼等はどうしようどうしようとアタフタしている。もう、しょうがないなぁ。リンリン鳴る念話に必死で対応し、彼等を見る。
「PKしちゃえば?」
PK=プレイヤーキラーだ。見たところ武器も使えてプレイヤー同士接触も出来る、金品ぐらい盗めるだろう。
「わたし長くはあんたらと居れないから一回だけ手伝ってあげる、それで手っ取り早く良い装備手にいれなよ」
それに、そのレベルじゃあ戦い慣れしてないでしょう?と付け加え街の外へ。メニュー画面を弄くりとりあえず他のプレイヤーに合わせた装備に着替える。教えるにしたって同じくらいのそう日にしなきゃ、きっと教えてあげる暇もない。
おお、やっぱり出たなモンスター。
「地味に気持ち悪いね」
「いやいや!そんな事言ってる場合じゃないっすよ!早く早くっ!!」
「−−どわぁ!姐さん!」
そんな尊敬用語使われたら照れるじゃないか、体を動かせばなんだか現実世界よりも軽々していて素早く前に拳を打ち出せばモンスターが吹き飛ぶ。おおっ!
「分かった!?こんなんだよ!」
分かるわけがないっしょー!!と焦ったように声を出すレベル27共にもう!と口を膨らませ口頭で説明する事にする。
「考えるより感じろ!とりあえず自分の技を想像して繰り出すのっ!」
最初はそんな無茶な!とかひぇぇ助けてえとすがって来た男共が慣れて来たのかモンスターズを足蹴に出来るまでになった。とりあえず、と言ったところか。
と言うかなんでわたしはこの世界に既に馴染んでるんだ…馴染んでる?その言葉はおかしい、きっとわたしは怖くて堪らない。怖いのはモンスターなんかじゃない、元の生活に戻れないという現実が怖くて受け止められないんだ。だから無償に体を動かしてごまかしているに違いない。
まぁ、とりあえず生きる術を若きプレイヤーに教えてあげなければ。
「成長したねー、次はPKだ!金品がっぽり頂いて自分の盾となる武器防具を身につけろ!」
ーそんなこんなで彼等はボロボロになりつつもPKを成功させ、いそいそと他人の装備を身につけた。まぁ、プレイヤーから見たら最低の行為だけれど…今のところレベルを自力であげるのにも最低限の装備というものが必要である。それを持たずしてはモンスターにもプレイヤーにでさえ標的にされてしまう。
「とりあえず、もうPKはお終いだね。その装備でこの辺のモンスター倒して後はレベルを上げなね。じゃあ、私は…」
−−ザッ
数人の地を歩く音がする。
きっとプレイヤーだ、街以外の場所を探索しに来たのだろう。流石に金品が床に散らばっている状態で出くわすのは流石にまずいな。私はPKしてましたって言ってるのとおなじだし。
すると、逃げるどころが足音が近づいてくる。自分の腕に自信があるプレイヤーなのだろう、きっとその場を見てPKはダメっ!と注意してくるのだろう。どうしよう。
緊張する男共の視線が降り注ぎ、姐さん姐さん姐さんと上擦った声が聞こえる。まったくそれでも男の子ですか!さてと、もう一組ぐらいならいーかとその足音のする方へ体を向ける。
これは…君達を気遣う余裕がなくなった。
体が小刻みに震え熱くなる鼻とバクバクと高鳴る心臓を押さえる。
嘘でしょ、嘘だと言って神様。
−あのソウジロウ君が目の前にいる。
「PKですね、見逃せません」
(可愛い可愛い可愛い!!ほんと可愛いどうしようマジで)
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