中世のイメージ


からん。
グラスの中の氷が崩れるかすかな音に、はっとネズミは意識を現実に引き戻された。
ふわふわと柔らかいものに抱かれているような妙な感覚と、ぐらりぐらりと頭を揺さぶられるような不快感がネズミを襲う。
かろうじて吐き気をこらえながら視線をめぐらせると、かすむ視界に猫足の優雅なテーブルと、今にも壊れそうな繊細なグラスを捉えることが出来た。先程の氷の音は、このグラスから聞こえてきたようだ。

ネズミは回らない頭で、ぼんやりとそのグラスを眺めた。シャンデリアの光をやわらかくあつめて、グラスの中の液体は琥珀色に美しく光っている。その中に浮かんでいる氷も橙色に光っており、ネズミが見ている前でまた、融けてからりと音をたてて形を崩した。

そこでやっと、ネズミの記憶が途切れ途切れに蘇ってきた。

ネズミは首尾良くこの屋敷に、小姓として採用されたのだった。



氷が融けきっていないところを見ると、あれからさほど時間は経っていないようだった。失神していた時間は半時もないというところだろう。


─────

力河(貴族)×ネズミ(スパイ)が書きたかったんです…
たしか、ネズミに「おれは、獅子身中の虫になるかもしれないぜ?」とかいう台詞を言わせたかった記憶が。
で、力河が「ふん、飛んで火に入る夏の虫」と応酬する感じ。
そしたらネズミが「へぇ。どっちかな。ところでさ、虫は虫でも、胡蝶に例えてもらいたいね。このおれに失礼だと思わない?」ふふん。みたいな。
敵同士な力ネズが好きなの私。
でも途中で心が折れました…
いつか奮起して書きますね…


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